第4話
過去回想編です。読み飛ばしても大丈夫です・・・と見せかけて物語の核心に一気に迫ります。
赤、赤、赤・・・そこは万を軽く超える人々の血で埋め尽くされていた。俺は、俺たちはその場に佇んでいた。
「ひどい戦いだったな・・・。」
「何故、こんなにたくさんの人々が死ななければならないのですか・・・。」
「遊びだよ・・・。奴らにとってこれは遊びなのさ。この世界の頂点に立つ存在にとって人族、亜人たちの欲望は奴らの好奇心をくすぐるものなんだろうよ。その欲望を操り、捻じ曲げ、増大させるだけさせておけば、後は勝手に戦争が起きる。この前もその前もそうだったろう?」
「だとしても・・っ!」
「もうよせ、エレーヌ。」
「ロイ・・・。あなたはなんとも思わないの!?今回の戦争はこれまでの戦争とは比べものにならないほどの被害が出たのよ!!私たちはいつも奴らの後手に回って、駆けつけた時には戦争がもう始まっていて、止めようとしても奴らの使徒が邪魔して足止めされて、人が死ぬのを見せつけられてなんとも思わないの!?・・・ああなんとも思わないわよね。だってあなたは奴らに」
「やめろ。」
「っ!!・・・わかったわ。だから剣を下してちょうだい、アイン。のどに剣が当たって痛いのよ。」
「・・・。」
アインが剣を引き、さやに戻し切る前にエレーヌは背を向け歩き始めた。おそらくカルマのもとに向かったのだろう。
「アイン・・・、すまない。」
「気にするな、エレーヌだって本当はあんなことを言うつもりはなかっただろうよ。」
「だけどよ・・・。」
「ロイ、それほどまでに過去に苦しめられているならお前が奴らに裁きを下せ。誰かを玩具にする奴はたとえどれだけ強かろうと屑に変わりはない。その屑に命乞いをしたとしても俺はお前を軽蔑しない。何故なら今、お前が奴らを、魔人を殺そうとその拳に血をにじませながら努力しているのを知っているからだ。」
「っ!!・・・。」
「さあ、行くぞ。いつまでも感傷に浸っているわけにはいかん。」
「・・・アイン。」
「なんだ?」
「俺は・・・
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「あの時、俺アインになんて言ったんだっけ・・・」
目を覚ました俺は今はいない仲間のことを思い返していた・・・。
「奴ら」の正体がわかりましたね!本当は「称号」に《魔人殺し》を入れたかったのですが、ネタバレになるのでやめときました。