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1話

 体が軽くなっていくのを感じた。俺は、多量出血と疲労のため倒れこんでしまった。そして体がだんだん言うことを聞かなくなっていくのを感じた。 


 ボロボロになったローブ越しに吹き付ける冷たい風の感触が無くなり、辺りに散らばった敵将の死体

 から発せられる血と炭と化した肉が混ざり合った強烈な臭いがしなくなった。


 それでも、俺にまだ意識というものがあった。俺は決して死んだわけではない。まあ死ぬ一歩手前ではあるが。


 バタバタバタッ


 この広間に至るための階段から足音が聞こえてきた。恐らく魔族軍の親衛隊だろう。

 それはつまり、仲間たちが敗れたことを意味している。


「カルマ、アイン、エレーヌ・・・、皆逝っちまったか・・・。」


 俺は今の状況を確認する。


 仲間は全員死亡、俺は死ぬ寸前、しかも体の左半分が消滅していている。おまけに俺の相棒である剣は先ほどの戦いで粉々に砕け散ってしまった。


「やべえ・・・詰んでんじゃん、俺。でも・・・死ぬわけにはいかねえよなぁ・・・。」


 命が惜しくなったわけではない。この戦争に参加した時点で、生還できるとは万に一つも思っていなかった。けれど、それでも俺は戻らなければならない。俺には「あいつ」と交わした約束があるのだから。


 足音がだんだん大きくなってくる。ちくしょう、来るなよ。このまま近衛兵達に見つかればすぐに殺されるか、捕縛されてしまうだろう。それが分かっていたから俺はこの場を離れようとしていた。しかし、体が言うことを聞かない。くそっ、血を流しすぎた。もう指一本動かねぇ。呼吸するのも億劫になってきた。


 (くそっ、何でもいい、誰でもいい、この状況を何とかしてくれっ・・・!!)


 そう思った瞬間、 


 俺は光に包まれた。


 

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