かみさま?と、あったぼく
キレたきのこ
「うーん…、ん?ここは…何処なんだろう?」
ある日目が覚めると僕は真っ白な部屋に居た。
しかし、みんなが考えている無駄にだだっ広い不思議空間とは違い、例えるなら畳3枚位の狭い部屋だ。
こんな所に来た記憶が無い事から、拉致された可能性も考えたけれど、そんな事はありえない。
僕はちょっとキノコ好きの何処にでも居る普通過ぎる高校生で家も普通だ、自分で言うのもアレなんだけどこんな場所に監禁する程の価値はないはず。
宇宙人に拉致られたのなら話は別だけど…。
「とりあえずここから出ないとなー。」
今こんな事を考えてても意味が無いと判断した僕は立ち上がり部屋を見渡すと、出入り口が無い事に気付いたが。
たぶん隠し扉かなんかが有るんじゃ?
と前向きに考え、白くて狭い部屋の壁を調べていった。
…
……
…………
「…何処にもないっすよ。」
あれから体感時間で1時間程、壁や床を探し回ったのだけど、出入り口はおろか何の仕掛けも見つからない。
こうなったら逆にどうやって連れて来られてきたのかが気になるなー。
などと感心してしまうけど、感心している場合じゃないのだ、早く帰って夕飯を作らねばならないからね。
今日の夕飯はシメジと椎茸を大量投入した〈キノコの和風パスタ〉と〈マッシュルームのサラダ〉に〈キノコの炊き込みご飯〉にするかな、また家族に
「今日もキノコ…。」とか。
「この1年キノコ料理のみ…。」とか。
「マリオって大変だな…」とか、不満を言ってくれやがるのだけど、料理しない、できない人が悪いのだ、だから僕は悪く無いし、勿論キノコも悪く無い。
第一毎食キノコの何処が悪い?最高じゃないか、まったく理解に苦しむね。
それに、おじいちゃんがキノコ農家で〈キノコ栽培の王〉と呼ばれる程の人物なのだ、そのため毎食のキノコ代はタダで、その分家計も大助かりなのだからキノコを尊敬し感謝するべきだと僕は思うんだ!
………………。
…って、なんで今が夕方ってわかったんだろ…?
……何か気持ち悪いな…。
コツ、コツ
「ん?」
僕が自分の訳ワカメの力に若干引いていると、上から足音が聞こえてきて。
パカッ
と天井の一部分が開いた。
…そんな所にあったのかー、今までの時間を返して欲しいよー。
何て考えていると。
スルスルスル
お次は縄ハシゴがおりてきて、ピンク色のジーパンを着た足が出てきた。
ちょっジーパンがピンクってダサッ!て言うか初めてみた!
僕があまりのジーパンの色に衝撃を受けていると。
「あ!」
とゆう言葉と共にピンクの足がピタリと止まる。
「スンマセン、忘れ物したんで待っててもらえます?」
「あ、はいー。」
「すぐ戻ってきますんで。」
「おかまいなくー。」
そう言うと、ピンクの足が引っ込み駆け足で何処かに向かっていった。
ふむ、顔は見えなかったけど、なかなかのイケメンヴォイスだったなー、待つ間キノコの事でも考えるとするかねー。
とゆう訳で僕はまたキノコの事で物思いにふけていった。
…
……
………
コツ、コツ、ドサドサ
「待たせたね。」
「あ、いいえー。」
あれから暫くしてピンクさんが戻って来て、天井の穴から紙束を放り投げてきやがった。
当たったらどうするんだ!
しかも忘れ物ってこの書類だろうか?ぞんざいな扱いをされている事から、そんなに大切な物じゃないようだけd---って、なんで僕は律儀に待って居るんだ!早く逃げなきゃと思いながら!馬鹿か?馬鹿なのか!?はい、そうです僕は馬鹿です!
そもそもピンクのジーパンに気を取られt---っは!わ、罠か!おのれピンクさんやりおるな!
そんな事を考えていると、ピンクさんが縄ハシゴをスルスルと降りてきているのが見える。
すると上着が水色で背中にでかでかと【神】と書いてある事実が発覚。
うわー、ダッサダサだー、やべしだし馬鹿みたいだし帰りたいー。
あ!これも罠か!自分の服に注意を向けさせて、拉致った事実を忘れさせる作戦か!
くっそピンクさんなかなかのやり手だな!つーか、ど、どうする(焦)?ピンクの野郎が降りて来やがったら無事じゃ済まないかもしれない!
そんな事を考えている間にピンクさんが床に足をつき此方を振り向こうとしている。
「いやあ、書類が見つからなくっt---
ドズン!
ぐぼぁ!!???」
僕はそんなピンクさんに対して反射的にボディブローを喰らわせた。
ふぅ、危ない所?だったよー、咄嗟とは言えピンクの野郎が油断している隙にボディブローをやれるとは、さすが僕!やったねー♪
それに僕のボディブローはボクサーの兄や、空手師範代の父ですら
「や、やめてくれ!お前のボディは刺さるしヤバいから!俺が悪かった!だ、だから勘弁してくれ!た、た、頼むから!」
と言わせる程らしいから、ピンクの野郎も立ち上がるのは無理だろうねー。
と、思いきやピンクさんはふるふるしながらでも体制を整えようとしている。
「ぐふっ、い、いきなり……なにを……?」
や、やばい!
ズドム!
「ごぼぁ!?!?!?」
ボズン!
「がっはぁ?!?!?」
ふぅ、やっとおとなしくなったよ…。
僕は体を丸めビックンビックンしているピンクさんの上着を脱がし、それで彼の両手両足を縛り付け、縄ハシゴを使い上に登っていった。
するとそこは無駄に広い真っ白空間で、扉はおろか壁や天井すら見えない。
「ここ何処なんだろ…?」
「ここは【無】…、君達の世界では〈亜空間〉や〈狭間〉と言われている場所だ。」
僕が困惑していると後ろからそうやって説明してくれる人が現れた。
誰だろうと振り向くと---
「キモーーー!!」
「ひどくない!?」
そこにはピンクさんが居た…。
まぁ居たのは仕方ないとして問題はその格好なのだ。
僕がピンクさんの両手両足を後ろでまとめて拘束したため、奇妙なブリッジ状態で、更にバランスを取るために指をシャカシャカ動かし微妙に移動して来やがる。
て言うか、その状態でよく縄ハシゴのぼれたな!つーかキモッ。
シャカシャカシャカシャカ
「元を辿れば君がわが輩をこんな状態にしたのだぞ!それを棚に上げキモイとは失礼な!」
そう言いながら、シャカシャカと段々此方に近付いてくるピンクさん。
「う、うゎわわ、わわわ---。」プッツン
「だから早くコレをほどいt--……え?ちょっと何を…?」
「来るなーーー!!」
「え…
ドグッシャア!!!
ギャァアアアアア!!」
…
……
…………
「っは!僕は何を…?」
どうやら意識がとんでいたらしく、周りを見渡すとピンクさん?がモザイクが無いと、とてもじゃないが見られない状態になっていた。
うん、やり過ぎたねー…。
なんて考えていると、ピンクさん?がいきなり淡く発光し始め、元のお姿にお戻りに。
なるほどー、僕のボディブローを受けてもすぐに活動出来たのは、これが理由かー。
ってか、これ魔法じゃ?
「あの…。」ビクビク
僕がピンクさんが使ったらしい魔法?を不可思議に見ていると、ピンクさんが話しかけてきた。
「何ですかー?」
「これ、ほどいてください。」
「…ほどいたら何かするんじゃ?」
「しません!(その前に恐ろしくて出来ない!)」
「本当ですかー?」
「本当です!」
とゆう訳で僕はピンクさんの拘束をとく事にしたけど、その前にボディに一発。
…
……
「で、ここは何処なんですかー?」
ピンクさんの拘束を解いてから、暫くボディのダメージで苦しむピンクさんが落ち着いてから会話を始める。
ピンクさんの魔法?はどうやら一定以上のダメージを受けないと発動しないみたいだ。
「さっきも言ったが此処は【無】、分かり易く言えば精神だけが行き来できる世界かな。」
「…じゃあ貴方は?」
「わが輩はこの世界の管理者、早く言えば神だな。」
「…うそつけー。」
「嘘じゃ無いぞ!?」
「…ピンクさんが神様なら、何であんなふざけた登場?」
「ピンクさん!?それってわが輩の事!?」
ピンクさんの抗議に僕はもう一度ピンクさんの格好を見る。
うん、ピンクのダッサイジーパンが強烈だねー。
「…そうだけど?」
「そうだけどって…。」
「じゃあピンクさんの名前は何ていうんですかー?」
「○★◎▲!!♪■だが…、人間には発音が難しく言える人は居ないので〈神〉とでも言ってくれれば…。」
「わかりましたカミ?
で、なんであんな登場をー?」
「今は天界も省エネ中で、あまりコストがかかる事ができないんだ。
あと、疑問符はいらないし最後に〈様〉を付けてくれるといいんだが。」
…天界が省エネって…、残念な感じだねー、夢も希望もないよ…。
あ、もしかして…。
「魔界みたいな所と戦があるんですか!?」
「いや、ないよ?
この前も魔王の2人と、3人で温泉に行ったから仲は良い方だね。」
「…そっすか。」
魔王と神が温泉って…、なんかシュール。
「だとしたらなんで省エネ中なんです?」
「それは、今天界が異常な程のアニメブームだから。」
「…マジ?」
「…マジでだ。
そもそも天界には無かった文化なんだが、ある日人間界から持ち込まれて広まり、娯楽が少なかったのもあって爆発的人気になったのだ。」
「…ふざけてる?」
「…ふざけてない。
で、人気になったは良いが、その分エネルギー需要率が跳ね上がってしまって供給が足らなくなり今に至るとゆう訳。」
「………まぁそんなくだらない話は捨て置いて。
僕は今どんな状態なんですかー?」
「(…自分から聞いて置いて……。)
…うむ、君は今精神のみの状態になっているね。」
「じゃあ、僕は今幽体離脱の精神バージョン的な最中って事?」
「いや、君は死んだんだ。」
「…え。」
「正確には存在が抹消されている。」
「な、なぜですか!ゴミサマ!」
「一文字違いで酷い名前に!?」
「いいから説明しろ!」
「はい!分かりました!だからボディはやめて!」
僕はそれから暫くピンクさんの説明を受ける事にした。