大人が子供になった日
誰もがせかせかしているように見える街に、ちょっと変わった習慣を持つ二人の子供が住んでいた。
彼らは玩具で遊んでいた。
玩具を持っているのは彼らだけではなかった。部屋いっぱいに玩具がある子供も大勢いた。問題は、実際に玩具で遊ぶ子供がほとんどいないことだった。
何時間もビデオを見るのが好きな子もいれば、授業や部活動、宿題、放課後の活動で忙しい子もいた。人形遊びは小さい子のすることだと言う子さえいた。
ハルはそんなことは気にしなかった。
「紅龍!ファイアアタック!」
少年は赤い龍のプラスチック製の人形を持ち上げ、積み木でできた小さな街の上空を飛ばした。
彼の前には、青い布で作ったマントをまとった人形を抱えたミオがいた。
「魔法結界!」
「そんなことできないよ!」
「どうして?」
「だって昨日、魔法結界を使ったじゃない!」
ミオは頬を膨らませた。
「それで?」
「ルールでは、おもちゃは同じ冒険を2日続けてしてはいけないことになっているのよ。」
ミオは黙っていた。
彼女は人形を見つめた。
彼女はドラゴンを見つめた。
そして、微笑んだ。
「それで…お姫様が大砲を取り出したのよ!」
「どこで大砲を手に入れたの?!」
「見つけたのよ。」
「そんなのおかしいわ!」
「ドラゴンがブロックの街を襲っているのに、意味が分からないなんて?」
ハルは少し考えた。
「確かに。」
二人は笑い出した。
その日の午後、二人はハルのリビングで遊んでいた。二人は隣同士に住んでいて、物心ついた頃からの友達だった。
二人は10歳で、同じ学校に通っていた。
二人にはもう一つ共通点があった。
二人の両親はいつも忙しかった。
ハルの母親は会社勤めで、たいてい日が暮れ始める頃に帰宅した。ハルの父親は在宅勤務だったが、パソコンに向かう時間が長すぎて、ハルは「いつかお父さんもパソコンの一部になるんじゃないか」と言っていた。
ミオの両親もあまり時間がなかった。母親は病院勤務で、父親は小さな会社を経営していた。
彼らは意地悪な人たちではなかった。
子供たちに怒鳴ったりもしなかった。
わざと無視したりもしなかった。
ただ…
忙しかったのだ。
いつも忙しかった。
その日の午後、ハルの父親がコーヒーカップを手にリビングに入ってきた。
「お父さん。」
「ん?」
「王様が必要だ。」
父親は絨毯の上に作られた城を見つめた。
「王様?」
ハルは小さな人形を掲げた。
「前の王様はドラゴンに食べられちゃったんだ。」
「事故だったのよ!」ミオは抗議した。
「お父さんが城の窓から投げ捨てたじゃないか。」
「ドラゴンが怖かったんだよ。」
ハルの父親は微笑んだ。
「複雑な状況のようだね。」
ハルはフィギュアを差し出した。
「君が新しい王様になれるよ。」
男はそれを取ろうとした。
その時、彼の携帯電話が鳴った。
彼は画面を見た。
彼の笑顔が消えた。
「ごめん。電話に出なきゃ。」
「後で遊ぼうか?」
「いいよ。」
「今日?」
父親は少し躊躇した。
「早く終わったらね。」
ハルはゆっくりとフィギュアを下ろした。
「わかった。」
父親はハルの髪をくしゃくしゃにしてから自分の部屋に戻った。
ミオはその一部始終を見ていた。
「うちのお母さんも同じことするよ。」
「お母さんもパソコン作業するの?」
「ううん。いつも『後で』って言うんだ。」
ハルは城を見上げた。
「大人っていつも『後でね』って言うよね。」
ミオは人形をドラゴンの隣に置いた。
「もしかしたら、大人になったらもう遊ばなくなるのかもね。」
「パパは小さい頃はよく遊んでたって言ってたよ。」
「ママもそうだった。」
「だから、大人になると何か変わるんだよね。」
ミオは目を丸くした。
「病気?」
「そう!」
「大人になるっていう病気?」
二人は真剣な顔を見合わせた。
そしてうなずいた。
それは実に理にかなった説明のように思えた。
次の日、二人は再び挑戦した。
今度はミオの家で。
リビングのほぼ全長にわたってコースを作っていた。
ミオのお父さんがちょうど帰ってきた。
「パパ!」
「どうしたの?」
ミオはミニカーを2台手に取った。
「レースを1回だけ。1回だけ。」
「今、疲れてるの。」
「あと5分だよ。」
「ミオ…」
「3分。」
男は微笑んだ。
「明日。」
少女は腕を下ろした。
「いつも明日って言うんだから。」
父親は微笑みを消した。
一瞬、何か言おうとしたようだった。
しかし、彼の携帯電話が鳴り始めた。
「出なくちゃ。」
ミオは何も答えなかった。
ハルはコース脇に座っていた。
男が姿を消すと、ハルは尋ねた。
「まだ遊ぶ?」
ミオは2台の車を見た。
「うん。」
彼女は座った。
しかし、その時のレースはあまり楽しくなかった。
数日後、学校からの帰り道、二人は奇妙なものを見つけた。
コインランドリーとコンビニの間に、二人とも見たことのない小さな店があった。
ドアの上に看板がかかっていた。
ツキトイズ。
ショーウィンドウにはアンティーク品が所狭しと並んでいた。
木製の兵隊人形。
人形。
電車。
コマ。
ゼンマイ仕掛けのおもちゃ。
眼帯をした大きなテディベア。
ハルはガラスに顔を押し付けた。
「私の!」
「もう見える!」
「あのロボット、すごい!」
「あのドールハウスを見て!」
二人は店内に入った。
ベルが鳴った。
カラン。
店内は木と古書の香りがした。
カウンターの向こうには老女がいた。
彼女は真っ白な髪で、悲しげな表情をしていた。
リラックスして。
「ようこそ。」
子供たちは店の中を探検し始めました。
見たこともないおもちゃがたくさんありました。
ハルは木の騎士を見つけました。
ミオは黄色いドレスを着た小さな人形を見つけました。
「かわいいね」とミオは言いました。
「おもちゃはいつも待っているのよ」と老婆は答えました。
子供たちは振り返りました。
「何を待っているの?」とハルは尋ねました。
「誰かが一緒に遊んでくれるのを。」
老婆は小さなコマを手に取りました。
「昔は子供たちには時間があったし、大人も遊ぶことの意味を覚えていたわ。今はみんなどこかへ急いでいるみたいね。」
ハルとミオは顔を見合わせました。
「私たちの両親は全然遊んでくれない」とミオは言いました。
「全然?」
「明日って言うんだ」とハルは答えました。「でも明日はいつもまた明日なの。」
老婆はくすくす笑いました。
「不思議な悩みね。」
「両親は大人になるという病にかかっているんだと思う」とミオは説明した。
老婆は眉を上げた。
「恐ろしい病気ね」
「やっぱり!」ハルは叫んだ。
ミオはハルを肘でつついた。
老婆は小さな木の星をカウンターに置いた。
「もし願い事が叶うとしたら、何を願う?」
ハルは即座に答えた。
「両親が子供に戻ってくれたら!」
ミオは手を挙げた。
「僕も!」
老婆は軽く頭を下げた。
「両親だけ?」
二人は黙り込んだ。
ハルは一人で家に帰るクラスメイトのことを思い出した。
ミオは、父親がいつも仕事で家にいないと言っていたクラスメイトのことを思い出した。
そして彼は微笑んだ。
「違うよ」
ハルは理解した。
「みんな!」
「みんな?」
二人は星の上で手を合わせた。 「大人たちがみんな、もう一度子どもみたいに遊んでくれたらいいのに!」
老婆は数秒間、二人の様子を見ていた。
「願いって不思議な生き物ね。」
「生き物?」ハルが尋ねた。
「口から出た願いは、時に想像もつかないような形で膨らんでいくのよ。」
子どもたちには理解できなかった。
老婆は微笑んだ。
「願いは叶ったわ。」
何も起こらなかった。
ハルは待った。
「これで終わり?」
「そうよ。」
「明かりは?」
「ええ。」
「雷は?」
「ええ。」
「爆発は?」
「そうじゃないといいんだけど。」
ミオは頭を下げた。
「ありがとう。」
ハルもミオの真似をした。
二人が去ると、老婆は星空を見上げた。
「さあ、二人が理解するまでどれくらいかかるかしら。」
翌朝、ハルは物音で目を覚ました。
バン!
そしてまた。
バン!
そして…
「お前には私を倒せない!」
ハルは目を開けた。
それは父親の声だった。
彼はベッドから飛び降り、リビングへ走った。
彼は立ち止まった。
父親はソファの後ろに隠れ、おもちゃの剣を持っていた。
母親は毛布をマントのように羽織っていた。
「降参しなさい!」と母親は叫んだ。
「絶対に嫌だ!」
「じゃあ、私の秘策を受けなさい!」
母親はクッションを掴んだ。
「そんなことするな!」
バン!
クッションが父親に当たった。
ハルは口をあんぐりと開けた。
「ママ?」
二人は振り返った。
母親は微笑んだ。
「ハル!」
彼は父親のもとへ駆け寄った。
「もう一人騎士が必要だ!」
少年は喜びで胸がいっぱいになった。
「一緒に遊んでくれるの?」
「もちろん!」
「本当?」
「うん!」
ハルは自分の部屋に駆け込んだ。
「待って!」
彼は大きな箱を抱えて戻ってきた。
「もっといいものがあるよ。」
15分後、リビングは戦場と化していた。
ドラゴン。
騎士。
ロボット。
ブロック。
車。
父親はクリムゾンドラゴンを操っていた。
「撃て!」
「パパ!自分の城を壊しちゃダメだよ!」
「僕のドラゴンは国境なんて認識しないんだ!」
「そんなのおかしいわ!」
母親はロボットを手に取った。
「私がドラゴンを攻撃する!」
「反逆だ!」
ハルはお腹が痛くなるほど笑った。
その時、玄関のチャイムが鳴った。
彼女がドアを開けた。澪がそこにいた。
「ハル!」
「澪!」
「ママが私の人形遊びしてる!」
「私の両親も!」
二人は両手を上げた。
「うまくいった!」
完璧だ。
本当に完璧だ。
約1時間後。
「お腹すいた」とハルは言った。
誰も返事をしなかった。
「ママ。」
母親は塔を作っていた。
「ママ。」
「ちょっと待って。」
ハルは瞬きをした。
その返事は聞き覚えがあった。
「朝ごはんは何?」
「後で。」
ハルは眉をひそめた。
澪が台所から現れた。
「パパは外にいる。」
「仕事?」
「ううん。」
二人は窓辺に行った。
ミオのお父さんは、ベンチからどちらが遠くまでジャンプできるか、別の男性と競っていた。
「変だね」とハルは言った。
すると、クラクションが聞こえた。
プップー!プップー!プップー!
バスが道路の真ん中に止まっていた。
運転手が降りていた。
彼は他の大人たちとサッカーをしていた。
「バスはどこ?」とミオは尋ねた。
乗客も降りていた。
ほとんど全員が遊んでいた。
子供たちも降りた。
そして、彼らはその欲望の大きさを理解した。
警官がシャボン玉を吹いていた。
会社員がハトを追いかけていた。
二人の女性がショッピングカートで競争していた。
男が歩道の真ん中に段ボール箱で砦を作っていた。
「ここは俺の縄張りだ!」と彼は叫んだ。
誰かが窓から巨大な紙飛行機を投げた。
「飛べ!」
ハルは微笑んだ。
「これは…」
「すごい!」ミオは叫んだ。
学校は休みだった。
先生はかくれんぼをすることに決めた。
校長先生は木に登ろうとしていた。
子供たちは喜んだ。
「授業がない!」
後になって彼らは気づいた。
昼食がないことに気づいた。
料理人たちは食べ物で遊んでいた。
その後、バスが何台か止まった。
お店が閉まり始めた。
ゴミが山積みになった。
大人たちがレースをしようと、通りを塞いでいた。
午後になると、楽しいはずだったのに、だんだん楽しくなくなってきた。
「お腹すいた」とミオが言った。
「私も」
二人は家に帰った。
ハルのお母さんはテーブルの下に潜り込み、おもちゃの電車を動かしていた。
「ママ、料理できる?」
「後でね」
「でも、お腹すいたよ」
「クッキーがあるよ」
子どもたちはクッキーを食べた。
2時間後、まだお腹が空いていた。
「料理しなきゃ」とミオが言った。
ハルは冷蔵庫を開けた。
「料理できる?」
「ご飯なら炊けるよ」
「どうやって?」
「お米を入れるんだね…」
「うん。」
―それで…
ミオは黙っていた。
―…ご飯にするんだね。
ハルは冷蔵庫を閉めた。
―素晴らしい説明だ。
二人は卵料理に挑戦した。
二つ焦がしてしまった。
一つは床に落ちた。
三つ目はなぜかスプーンにくっついてしまった。
ようやく、食べ物らしきものができた。
二人は席に着いた。
ハルは一口食べた。
―僕のお母さんの方が料理上手だ。
ミオはうなずいた。
―ずっと上手だ。
沈黙が流れた。
初めて、二人とも遊びたがらなかった。
夜が更け、街の一部は暗くなった。
一部のサービスは自動的に稼働を続けていた。
そうでないものもあった。
大人たちは遊び続けていた。
ハルはソファで赤い龍を抱きしめて眠っている父親を見つめた。
―ミオ。
―なあに? ―僕たち、間違ってたと思う。
少女は彼の隣に座った。
「私も。」
「ちょっと遊んでほしかっただけなの。」
「僕も。」
ハルは自分の手を見つめた。
「どうして今まで遊んでくれなかったんだろう?」
ミオは思った。
彼は朝のことを思い出した。
母親が仕事の準備をしながら朝食を作っていた。
父親が教科書を持っているか確認していた。
服は清潔だった。
食事は用意されていた。
家は片付いていた。
病気の時は誰かが医者に連れて行ってくれた。
怖がっている時は、怪物なんていないと分かっていても、誰かがベッドの下を覗き込んでくれた。
「ハル…」
「何?」
「君が何に時間を使っていたのか、僕たちには分かっていると思う。」
少年は両親を見た。
初めて、彼は何かを理解し始めた。
大人になるということは、遊ぶことを諦めることではないのかもしれない。
もしかしたら、遊ぶ方が好きでも、やらなければならないことがあるということなのかもしれない。
でも、彼女はこれまで何度も耳にしてきた言葉を思い出した。
「明日ね。」
「明日ね。」
「明日ね。」
「でも、彼らが私たちと遊んでくれなかったのは、おかしいわ」と彼女は言った。
「そうだね。」
「じゃあ…」
「私たち、ちょっと間違っていたんだね。」
ハルはため息をついた。
「大人になるって、複雑そうね。」
「本当に。」
二人はその店を思い出した。
二人はそこへ駆け出した。
街全体が巨大な遊び場だった。
大人たちが走り、
歌い、
遊び、
くだらないことで言い争っていた。
ついに、二人は到着した。
店はまだそこにあった。
二人は中に入った。
カチャリと音がした。
おばあさんが二人を待っていた。
「もうすぐ戻ってくるわね。」
「願いを取り消して!」ハルは叫んだ。
「もう両親と遊びたくないの?」
ハルは首を横に振った。
「ええ、遊びたいわ!」
ミオは一歩前に出た。
「でも、私たちは両親が大好きよ。」
老婆は黙ったままだった。
「私たちは両親を子供に戻したかったわけじゃないの。」ミオは続けた。「ただ、私たちと過ごす時間が欲しいだけなの。」
老婆はかすかに微笑んだ。
「それはあなたがたが願ったことじゃないわ。」
二人はうつむいた。
「わかってるよ。」ハルは呟いた。
「じゃあ、願い事の第一のルールを学んだのね。」
「どのルール?」
「本当に願うことを知ること。」
ハルは顔を上げた。
「直せる?」
「できない。」
「えっ!?」
「願い事をしたのはあなたよ。大人がそれを解かなきゃならないのよ。」
ミオは顔色を青ざめた。
「みんなおかしいわ!」
「おかしくなんかないわ。ただ一時的に何かを忘れているだけよ。」
「何?」
老婆はドアの方を指差した。
「遊ぶことは大切よ…」
それから二人を指差した。
「…でも、いつおもちゃを片付けるべきかを知っていなくちゃいけないのよ。」
二人はすぐにその答えを見つけた。
帰り道、ハルとミオは小さな広場を横切った。
大人たちが鬼ごっこをしていた。
その中にハルの父親がいた。
「お父さん!」
「ハル!こっちへ来い!」
男はハルの方へ走り出した。
その時、それは起こった。
ボールが道路に転がった。
ミオはボールを追いかけたが、坂を下ってゆっくりと近づいてくる車に気づかなかった。
「ミオ!」ハルが叫んだ。
少女は振り返った。
彼女は凍りついた。
ハルの父親は持っていたおもちゃをすぐに落とした。
「ミオ!」
彼は走り出した。
彼女を掴んで引き離した。
車が彼らの横を通り過ぎ、ゆっくりとフェンスに激突した。
数秒間、誰も言葉を発しなかった。
男は荒い息をしていた。
「大丈夫か?」
ミオは震えながら頷いた。
「ええ。」
「どこか痛いところはないのか?」
「いいえ。」
男は彼女の様子を確かめた。
それからハルを見た。
彼の表情が変わった。
「ハル?」
「パパ?」
男は街を見渡した。
遊んでいる大人たち。
放置された車。
散乱したゴミ。
「何…?」
ハルは微笑んだ。
「パパ!」
彼女は彼に抱きついた。
広場にそよ風が吹き抜けた。
女性がボールを落とした。
警官が瞬きをした。
「一体何をしているんだ?」
運転手は放置されたバスをじっと見つめた。
「私のバス?!」
ドミノ倒しのように、少しずつ大人たちは記憶を取り戻し始めた。
ミオの母親は真っ先に駆けつけた一人だった。
彼女は時計を見た。
「私、病院に行かなかったの?!」
ハルの母親は、部屋いっぱいに積み上げられたブロックの塔を見つめた。
「これ、私が作ったの?」
ハルの父親は塔を指さした。
「まあ、それなりにうまくできたな。」
「今はそんな時間じゃない。」
「ああ、そうだね。」
沈黙が流れた。
「でも、うまくできたじゃないか。」
「ああ。」
子供たちは笑い出した。
その後の数日間は困難だった。
非常に困難だった。
街が復興するまでには長い時間がかかった。
何が起こったのか、誰も正確に説明できなかった。
大人たちは断片的な記憶しか持っていなかった。
集団夢だったと主張する者もいた。
それについて話したがらない者もいた。
校長は木登りをしようとしたことを断固として否定した。
写真があった。
彼は否定し続けた。
小さな玩具店はなくなっていた。
ハルとミオはコインランドリーとコンビニを探した。
壁が一つだけ残っていた。
「もう二度と見られないと思う?」ミオが尋ねた。
「見たくないな」
「どうして?」
「次はもっとひどいものを注文するかもしれないから」
「確かに」
一週間後、ハルはリビングに座っていた。
目の前には古城がそびえ立っていた。
彼は紅龍を手に取った。
「今日は一人で攻撃するんだろうな」
足音が聞こえた。
父親が現れた。
片手に電話を持っていた。
「ハル」
「何?」
「仕事があるんだ」
少年は俯いた。
「ああ」
父親は電話をしまった。
「でも30分くらいなら待てるだろう」
ハルは顔を上げた。
男は絨毯の上に腰を下ろした。
「まだ王様が必要なの?」
ハルは微笑んだ。
「前の王様は死んでしまったの。」
「また?」
「ミオが塔から突き落としたの。」
「ドラゴンが怖かったのよ!」ミオが叫びながらドアを突き破って入ってきた。
両親も後に続いた。
ハルの母親が台所から現れた。
「また戦争?」
「ええ!」
「じゃあ、ドラゴンが欲しいわ。」
「嫌!」ハルは抗議した。「あなたはいつも一番強いものを選ぶのよ!」
「大人の特権ね。」
皆は席に着いた。
30分間、ドラゴン、お姫様、ロボット、レース、お城、そして人形が戦車を運転できるかどうかという真剣な議論が繰り広げられた。
それから大人たちはそれぞれの仕事に戻った。
そして子供たちは遊び続けた。
こんなことは毎日起こるわけではなかった。
両親は本当に疲れ果てていた。
また、どうしてもやらなければならない仕事もあった。
しかし、「明日」は「いつか」という意味ではなくなった。
ハルとミオも変わった。
二人は少しずつ家事を手伝うようになった。
遊ぶ時間を持つということは、誰かが大切なことをきちんとやらなければならないということだと、二人は学んだのだ。
その夜、数ブロック先の、かつて空きビルが建っていた場所に、小さな玩具店がほんの数分間だけ現れた。
おばあさんがテディベアをショーウィンドウに置いた。
それから、木の星を手に取り、微笑んだ。
ドアには小さな看板がかかっていた。
「大人になるということは、遊ぶことをやめることではない。
遊ぶことは、成長を止めることでもない。」
ベルが最後に一度鳴った。
カラン。
そして数分後、誰かがその通りを通った時……
店はもうなくなっていた。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!
この物語についてのご感想をお聞かせいただけると嬉しいです。特に気に入ったシーン、登場人物、場面などがありましたら、ぜひ教えてください。
コメント、感想、評価は大歓迎です。今後の執筆活動の励みになります。
この短い物語にご参加いただき、ありがとうございました!




