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地底の星  作者: 広育 春美


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答えに至る夜

 話を聞かされた三人は、ただ呆然としていた。あまりにも現実離れした内容に、思考が追いつかない。

 最初に口を開いたのは澪だった。

 「蕉さん、ちょっと確認させてほしいんやけど……これ、ほんまの話?」

 蕉はいつもの柔らかな笑みを浮かべたまま、静かに頷いた。

 「ってことは、蕉さんって、そのコンチルって種族の人なん?」

 「そうよ」

 あっさりと返され、三人は再び言葉を失う。

 「私がここにいる理由も、これで分かったでしょ?」

 冗談を言っているようには到底見えなかった。

 澪が力なく呟く。

 「……やっぱ夢なんちゃんやろか」

 「澪ちゃんはほんと疑い深いわねぇ」

 蕉が小さく笑うと、颯が静かに身を乗り出した。

 「蕉さん。僕は古いものを調べるのが好きで、ここに来てるんですけど……さっき言っていた巨大な建造物って」

 一度唾を飲み込み、意を決したように尋ねる。

 「……もしかして、ピラミッドとかですか?」

 「そうそう」

 蕉はまたあっさりと肯定した。

 「ギザ周辺の三つはシンフォが作ったわ。オケストが作ったものもあるけど、少し雑ね。シンフォの建造物はもっと整ってるの」

 さらりと続ける。

 「世界中にあるでしょ?ちなみに日本にもあるわよ。一番大きいのが」

 三人の目が一斉に見開かれた。

 「えぇ!?どこどこ!?地下とかにあるん?」

 澪が食い気味に聞く。蕉は悪戯っぽく微笑んだ。

 「さっきまで登ってきてたでしょ」

 「……へっ?剣山?」

 蕉が頷く。

 「今は山みたいになってるけどね。元々は人間監視用じゃなくて、シンフォが遺伝子実験を行う拠点として建造したもの。地上では一番大きくて、一番古いわ」

 「まじか……めっちゃすごいやん、日本」

 澪が素直に感嘆する横で、富貴が冷静に疑問を投げた。

 「でも、ピラミッドって形が全然違いますよね」

 「たまたまよ。富貴ちゃんはギザのモノを言ってるんでしょ、あれはシンフォの建築センス」

 蕉は肩をすくめる。

 「ちなみに、ギザは元々真っ白で綺麗だったの。今は石灰岩が崩れて岩が見えてるだけ。あれには、まだまだシンフォの色んなこだわりが詰まってるのよ」

 どこか意味ありげに笑う蕉に、富貴は少し眉をひそめた。

 「非現実的な話ばかりですね……。じゃあ、スフィンクスもシンフォが?」

 蕉は首を横に振った。

 「あれは別の種族が作ったものよ。この星に立ち寄った別文明の遺物」

 さらりと、とんでもないことを言う。

 「あの場所、あの形、理由は不明。ただ、月が私達の船で、この星に私達が住んでいると気づいて去ったわ」

 一拍置き、まるで天気の話でもするように続ける。

 「三万年くらい前の話ね」

 三人は、もはや何に驚けばいいのかすら分からなくなっていた。

 しかし、その興奮は収まる気配がなかった。次から次へと質問が飛び、言葉が途切れることはない。

 その合間を縫うように、颯が口を開いた。

 「……僕からも、一ついいですか」

 「いいわよ」

 蕉は軽く頷く。

 「遺跡に質問が続いてるから先に言っておくけど、人間が“古代遺跡”って呼んでるものは、ほとんど私達が作ったものと思っていいわ」

 「……やっぱり」

 颯は小さく呟き、すぐに首を振った。

 「でも、それじゃなくて」

 一度、咳払いをして声を整える。

 「グレイって……知ってますよね。あれって――」

 「ああ、あれは偽物」

 言い終わる前に、蕉が遮った。

 「初期の仲間の映像を見て、人間が真似して作っただけ。UFO墜落のニュース、あるでしょ?あれの言い訳用よ」

 あまりにもあっさりとした口調だった。

 「墜落してるのは、人間が私達の技術を真似して失敗した機体。そもそも、私達のものは落ちないし――」

 一拍置く。

 「見えないわ」

 空気が、わずかに張り詰めた。

 「そんな低レベルなものと一緒にしないでほしいわね」

 颯の目が鋭くなる。

 「……人間が、UFOを作っているんですか」

 「技術は教えたからね」

 さらりと返す。

 「空間反転ユニットはさっき話をしたでしょ」

 その単語に、三人の呼吸が揃って止まる。

 「……過去に接触があった、ということですか」

 蕉は、少しだけ考える素振りを見せてから頷いた。

 「まぁ、そうなるわね。簡単に言うと――ここ、擬態星……月にね、人間が何度か来たでしょ」

 淡々と続ける。

 「実験だの何だのって。ここに人間が大好きな核なんて持ち込まれたら面倒でしょ。環境もぐちゃぐちゃにされるし」

 肩をすくめる。

 「だから外に出て、言ってあげたの。“もう来ないで”って」

 あまりにも軽い。だが、その内容は重すぎた。

 「最初は逃げようとしてたけど、捕まえてね。ちょっと話をしたの」

 まるで世間話のように続く。

 「帰りの船の中で交渉されたわ。“五十年は月には来ない。その代わり、何か技術をくれないか”って」

 澪が小さく息を呑む。

 「……それで、渡したんですか」

 「少し考えたけどね」

 蕉の目が、ほんの一瞬だけ細くなる。

 「どうせ五十年もあれば、人間は勝手に争っていなくなると思ったから」

 静かに言い切った。

 「だから、教えてあげたのよ。空間反転ユニットの基礎を」

 間を置かずに続ける。

 「世界十二カ国の代表にね。マジェスティック12――聞いたことあるでしょ?なんか本題と違う話で広まってるけどね」

 三人は、何も言えなかった。現実の輪郭が、完全に崩れ始めていた。

 「まぁ、今のところは完全には扱えてないみたいだけど」

 蕉は軽く笑う。

 「それでも、最近はだいぶ形になってきてるみたいね」

 その言葉に、妙な現実味が混じる。

 ――冗談ではない。

 誰もが、それを理解していた。やがて、嵐のような質問も途切れる。静寂が戻る。その中で、蕉がゆっくりと息を吐いた。

 そして――

 「……さて」

 わずかに、声の温度が変わる。

 「話、戻しましょうか」


 三人は、あまりにも濃すぎる話の連続に、本来の話題を完全に見失っていた。そんな空気を、蕉が軽く引き戻す。

 「で、話それてたけど――二種族が地下にいるって話から始まったでしょ。本能の話」

 「あー……」

 三人の声が揃う。ようやく記憶が繋がった。

 「二種族とも、もともとオケスト星の地下で生活してたの。だから今の環境も不自然じゃないし、むしろ落ち着くらしいわ」

 さらりと続ける。

 「活動にちょうどいい温度は六十度前後。まぁ、地上でも生きられるけどね」

 指先で地面を軽く叩いた。

 「今は地下三千メートルあたりに拠点を築いているわ。地表のちょっと下よ」

 三人の喉が、同時に鳴る。

 「……どうする?」

 蕉が微笑む。

 「せっかく人類初のことばかり体験してるんだし、会いに行く?まぁ――話が合わないから自慢できる話にはならないと思うけど」

 軽い口調。だが、その一言の重みは計り知れない。三人は顔を見合わせ、小さく輪になった。短い沈黙。やがて、富貴が前に出る。

 「……連れて行ってください」

 迷いはなかった。

 「価値があるとかないとかじゃなくて、純粋に――知りたいんです。会ってみたい」

 澪と颯も、静かに頷く。蕉は満足そうに目を細めた。

 「いいわよ。行きましょう」

 そして、何気なく続ける。

 「今から行けるけど、心構えはいい?」

 「……え、今からですか?」

 颯が思わず聞き返す。

 「確認とか――」

 「もう済ませたわ」

 あっさりと返す。

 「三人と話してる間にね。来てもいいって」

 少しだけ口角を上げる。

 「ただし、会うのはシンフォ種族の代表だけ。オケスト種族は……見たらたぶん驚くどころじゃ済まないから」

 どこか楽しんでいるような表情だった。三人はもう一度だけ視線を交わし、そして同時に頷く。

 「行きます」

 「お願いします」

 「ついて来て」

 その一言と同時に、蕉は振り返った。

 そして――

 蕉は何もない空間に、手を差し込む。次の瞬間、空間が“裂けた”。まるで布を引き裂くように、現実が二つに割れる。その向こうに広がっていたのは異質な空間だった。氷のような柱が、あらゆる角度で交差し、重なり合い、ゆっくりと蠢いている。静止しているはずなのに、確かに“動いている”。

 中央には、青と赤の光点が三つずつ。それぞれが軌道を描きながら、静かに回転していた。

 その下に――二つの円形の石板。

 三人は吸い寄せられるように近づく。

 刻まれているのは、ここに来たときのような呪文のような文字列。以前見たものは三重のリングだが、それよりさらに複雑で、五重のリングとなっている。

 蕉が振り向いた。

 「これ、探しに来たんでしょ?」

 軽く顎で石板を示す。

 「普段は使わないけど……今日は特別。三人のために使ってあげる」

 颯の目が見開かれる。

 「もしかして、これが……アーク?」

 「違う違う」

 蕉は小さく笑った。

 「アークはただの金の箱。これは――その中身」

 一歩、石板に近づく。

 「エーテル・スレート。空間移動装置よ」

 青い光を指さす。

 「こっちがシンフォの拠点に繋がってる」

 富貴が息を整えながら確認する。

 「……ここに来た時のものと、同じですか」

 「そう思ってくれていいわ、結果は同じになるからね。じゃ、この範囲に手を置いて。私から行くから、続いてくれる」

 三人は無言で頷く。

 蕉は青いリングの上に手をかざした。蕉の指先が触れた瞬間――青い光が、静かに弾けた。次の瞬間、蕉の姿は消えていた。

 残された三人。一瞬だけ、呼吸が揃う。

 そして――

 富貴が手を差し出す。澪と颯が重ねる。言葉はない。ただ、決意だけがあった。

 三人は同時に、リングへと手を置く。青い光が視界を満たし――世界が、途切れた。


 次の瞬間、声が直接意識に流れ込んできた。

 「ようこそ、オリジン・クレイドル・シンフォへ」

 顔を上げた三人は、言葉を失い、次の瞬間には本能的に声を上げていた。そこに並んでいたのは、常識の枠を軽々と踏み越えた存在――人の体躯に、動物の頭部を持つ巨人たちだった。

 あまりの光景に思考が追いつかない三人の背後で、堪えきれずに吹き出す気配がした。振り返れば、蕉が肩を震わせて笑っている。

 「やっぱり驚くわよねぇ」

 その声に、ようやく現実が輪郭を取り戻し始める。やがて一体の巨人が前に出た。ハヤブサの頭部を持ち、頭上の光がひときわ強く輝いている。

 「……驚かせてしまったかな」

 低く、しかし穏やかな声だった。

 互いに向き合ったまま、言葉のない時間が流れる。その静寂は数秒だったはずなのに、永遠にも感じられた。そして三人は、ほぼ同時に“それ”に気づく。

 「エジプトの壁画の……」

 「太陽神や……」

 「……ファラオ……?」

 「颯、それはちゃうやろ、人間や」

 澪が即座に否定し、富貴は震える声で名を辿った。

 「セト、ホルス、オシリス、ラー、イシス、アヌビス、トト……」

 名を呼ばれた七体は、静かに一歩前へと進み出る。その動きだけで、空間の重さがわずかに変わったように感じられた。

 「……凄い。ほんまに、おったんや」

 澪の呟きは、もはや畏怖に近かった。

 中央に立つラーが、ゆっくりと頷く。

 「改めて言おう。ようこそ、オリジン・クレイドル・シンフォへ。ここへ来た初めての人類――フキ、ミオ、ハヤテ。歓迎する」

 その声音には威圧ではなく、確かな敬意が込められていた。

 「人間とこうして対話するのは久しい。ぜひ、今の地上の状態を教えてほしい。そして、今の人間という存在についても」

 三人はただ、その姿に見入ることしかできなかった。特にラーの存在は圧倒的で、言葉を返す余裕など残されていない。ラーは一度振り返り、トトへと視線を送る。

 「トト、拠点時間を最大限に遅らせてくれ。彼らの時間を消費させないように」

 トトは静かに頷くと、両手を合わせ、低く言葉を紡ぎ始めた。聞き取ることはできないが、その響きは空間そのものに作用しているかのようだった。やがて両手をゆっくりと開くと、周囲の空気がわずかに沈み込み、そして広がる。

 「これで、時間を気にせず話せる」

 富貴が、ようやく口を開いた。

 「……時間を操作しているんですか」

 「特定の空間における時間次元を調整しているに過ぎない」

 ラーが答える。

 「……どれくらい遅くなっているんでしょうか」

 その問いに、トトが穏やかに応じた。

 「地上での一秒は、この空間ではおよそ四十二時間に相当するな」

 三人の呼吸が止まる。

 「逆に加速させることも可能だ。けど、その状態を恒久的に維持することはできない。時間次元は、いずれ元の形へと回帰するな」

 説明は簡潔だったが、その内容はあまりにも常識外れだった。やがて、七人は同時に頭部へ手をかける。静かに仮面を外すと、その下には人に近い輪郭を持つ顔が現れた。完全に同じではないが、どこか懐かしさすら覚える造形だった。

 「これは正装だ」

 ラーが静かに告げる。

 「大切な客人と会う時のな」

 その一言で、張り詰めていた空気がわずかに和らぐ。

 それから三人と七人は、長い時間をかけて言葉を交わした。地上の現状、人間社会の変化、争いと進歩、矛盾と可能性。三人は知る限りを語り、七人はそれを静かに受け止めた。

 やがて三人は気づく。彼らは異なる存在でありながら、決して理解不能な存在ではないということに。むしろ、人間に近い感覚と、深い思いやりを持っている。だからこそ、干渉せず、距離を保つという選択をしているのだと。

 三日間、彼らはこの拠点で過ごした。その間、オケストとも対面することになったが、その姿は心の準備がなければ立っていられないほどの威容を持ちながらも、やはり同じように穏やかな内面を感じさせる存在だった。

 別れの時、富貴が静かに問いかける。

 「……また、会うことはできますか」

 ラーはわずかに目を細め、そして答えた。

 「会わない方がいいだろう。それが、互いのためだ」

 短い言葉だったが、その意味は重かった。三人は何も言えず、ただその言葉を受け入れるしかなかった こうして、彼らは蕉と共に拠点を後にし、再び月へ、そして剣山の洞窟へと帰還した。しかし――あの光景は、決して忘れることはなかった。


 剣山の夜は、静かだった。空にはまだ明るい月が浮かび、まるで何もなかったかのように、いつも通りの世界が広がっている。

 その中で、富貴はずっと胸に引っかかっていた疑問を、ようやく口にした。

 「蕉さん、最後に一つだけ……聞いてもいいですか」

 「まだあるの?」

 蕉は少しだけ笑う。

 「答えられることなら、何でも答えるわよ」

 富貴は言葉を選びながら、ゆっくりと話し始めた。

 「私達、最初は言われたのとは反対に川上に向かってたんです。駐車場が近かったから。でも途中で森に入ってから、ずっとおかしかったんです。歩いても歩いても、結局この洞窟に戻ってくる……そんな感じで」

 一度言葉を切る。

 「あきらめて休んでた時に、あのお婆さん――蕉さんを見つけて……そこから、全部が始まった気がして」

 蕉は軽く手を上げ、続きを制した。

 「ああ、なるほどね。要するに、“ここから出られなかった”って話でしょ」

 「……はい」

 少したじろぎながらも、富貴は頷く。蕉は、あっさりと言った。

 「大丈夫。ちゃんと帰れるわよ」

 その一言に、三人の肩から力が抜ける。

 「あの時、川下に行けって言ったでしょ?あれはね、このエーテル・スレートに繋がる入口を、森の中に開いてたからなの」

 三人は顔を見合わせる。理解が追いつかない。その様子を見て、蕉は少しだけ言い方を変えた。

 「つまり――ここは“中”なのよ」

 「……中?」

 「剣山のピラミッドの中。あなた達はずっと、その内部を歩いてたってこと」

 沈黙。やがて、澪が空を見上げる。

 「……いや、でもこれ、外でしょ。月も見えてるし」

 蕉は肩をすくめた。

 「その空は“投影”。本物じゃないわ」

 軽く指先で空を示す。

 「昔、地球の生き物を調べるために、この中で飼育してた時期があったの。恐竜とかね。その時の名残」

 あまりにも自然に語られる“異常”。

 「……理解できた?」

 富貴はゆっくりと頷いた。

 「正直、ちゃんとは理解できてません。でも……」

 一度、言葉を探す。

 「感覚が追いつかないっていうか……次元が違いすぎて。夢みたいでした」

 そして、少しだけ笑う。

 「ありがとうございました……でいいのか分かりませんけど」

 澪と颯も、それぞれに言葉を添える。

 「ほんま、すごいもん見せてもらったわ」

 「……一生忘れないと思います」

 澪が肩をすくめて笑う。

 「せっかくこんな経験したのに、誰にも言われへんのはちょっと悔しいけどな」

 颯が続ける。

 「写真、かなり撮ったんですけど……これって公開しても大丈夫なんですか?」

 蕉は少しだけ考えてから、くすっと笑った。

 「見せたいんでしょ?」

 「……まぁ」

 「だったら、好きにすればいいわよ。面白いCGってことにでもして」

 視線が少しだけ柔らかくなる。

 「本当かどうかは、三人の中にだけ残しておけばいい」

 その言葉に、三人は静かに頷いた。

 その夜は、森を抜けるのも危険だということで、蕉の家で一泊することになった。

 そして――翌朝。

 三人が目を覚ました時、そこに蕉の姿はなかった。代わりに、一枚の紙が置かれている。そこには、こう記されていた。

 “記憶を消すことも、書き換えることもできました。でも、それはしません。

  あなた達は、初めてばかりを経験した特別な存在です。――私も含めて。

  このピラミッドは封鎖します。もう誰も迷い込まないように。必要な時が来れば、また使うでしょう。

  今回の出来事が、あなた達にとって良い経験になれば嬉しいです。

  空の上の遠い遠い場所から、コンチル種族 統括ソロ”

  三人はしばらく、その手紙を黙って見つめていた。やがて、誰からともなく外へ出る。そこには、いつも通りの世界が広がっていた。風が吹き、木々が揺れ、鳥の声が聞こえる。何も変わっていない。

 ――ただ、自分達だけが変わっていた。

 三人は顔を見合わせる。言葉はない。けれど、同じ答えがそこにあった。

 あの場所で見たもの。聞いたもの。感じたもの。それは、夢では終わらない。

 現実として、これからに繋がっていく。視線が、自然と空へ向く。あの“向こう側”へ。

 ――宇宙へ。

 三人の人生は、その日、静かに動き始めた。


最後まで読んで頂きありがとうございます。

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