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48歳、6億当たったら人生が壊れた件 〜底辺おじさんと国民的アイドルの秘密の恋〜  作者: れいじ


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第9話 近すぎる偶然

第9話を読んでいただきありがとうございます。


今回は、日常の中で起きる“少しおかしな再会”の回になります。

これまでの出来事が、ただの偶然ではないと感じ始める——

そんな変化を楽しんでいただけたら嬉しいです。


帰り道。


 夕方の空は、やけに赤かった。


「……なんなんだよ、あれ」


 黒沢恒一は、歩きながら頭を押さえる。


 さっきのレース。


 7、11、4。


 順番まで、全部一致。


「……見えた、よな」


 独り言が漏れる。


 偶然じゃない。


 あれは、確実に“結果”を知っていた。


 だが——


 ズキッ。


「……っ」


 頭の奥に、軽い痛み。


 我慢できる程度。


 だが、確実にある。


「……気のせいか?」


 そう思おうとする。


 だが、さっきの感覚といい、この痛みといい。


 どうにも、嫌な繋がりを感じた。


⸻


 コンビニの自動ドアが開く。


 いつもの店。


 いつもの光。


 いつもの匂い。


 変わらないはずの場所。


 なのに——


「……」


 足が止まる。


 何かいる。


 そんな感覚。


 理由はない。


 でも、確かに“いる気がする”。


「……なんだこれ」


 小さくつぶやきながら、中へ入る。


⸻


 缶コーヒーを手に取る。


 レジへ向かう途中。


 視界の端に、映る。


 帽子。


 サングラス。


 人目を避けるような仕草。


「……は?」


 思わず声が漏れる。


 如月レイナ。


 見間違いじゃない。


 さっきまで競馬場にいたはずの人間が、

 普通にコンビニにいる。


「……なんでだよ」


 頭が追いつかない。


 偶然。


 いや——


(……近すぎるだろ)


⸻


 レイナは雑誌コーナーを見ていた。


 完全にオフの雰囲気。


 仕事じゃない。


 本当に、ただそこにいる。


 恒一は少し迷う。


 声をかけるか。


 それとも、無視するか。


(……やめとくか)


 関わらない方がいい。


 そう思って、レジへ向かう。


⸻


「……あ」


 振り返る気配。


 目が合う。


 数秒の沈黙。


「……黒沢、だよね」


「……覚えてたか」


「うん」


 レイナが少しだけ笑う。


「さすがにね」


 競馬場でのやり取り。


 今度は、ちゃんと繋がっている。


⸻


「……なんでここにいるんだ」


 思わず聞く。


「え?」


「いや、普通に考えて……」


 言葉を選ぶ。


「お前が来る場所じゃないだろ」


「ひどくない?」


 軽く笑う。


「普通に来るけど」


「……マジで?」


「うん」


 あっさりと答える。


「家、この辺だし」


⸻


「……は?」


 思考が止まる。


「……今なんて言った」


「この辺住んでるって」


「……」


 言葉が出ない。


 競馬場で会って、コンビニで再会して。


 さらに——ご近所。


(……出来すぎだろ)


⸻


「黒沢は?」


「俺もこの辺だ」


「へぇ」


 少しだけ目を細める。


「じゃあ、ご近所さんじゃん」


「……そうなるな」


 妙な現実感。


 国民的アイドルと、ご近所。


 意味がわからない。


⸻


「……ねえ」


「ん?」


 レイナが少しだけ考えるように言う。


「なんかさ」


「黒沢って、“当たり引きそうな人”って感じしない?」


「……なんだそれ」


 思わず返す。


「うまく言えないんだけど」


 少しだけ視線を逸らす。


「なんか、流れ持ってそうっていうか」


「……」


 心臓が、わずかに跳ねる。


 当てたことは言っていない。


 6億のことも。


 なのに——


「……変なこと言うな」


 軽く流す。


 だが、完全には否定できなかった。


⸻


「……さっきからさ」


 レイナが続ける。


「なんか変な感じするんだよね」


「変な感じ?」


「うん」


 少しだけ首を傾げる。


「また会う気がしてたっていうか」


「……」


 言葉が止まる。


 同じだ。


 自分も、店に入る前に感じていた。


 “いる気がする”と。


⸻


 ズキッ。


「……っ」


 頭に痛み。


 さっきより、少し強い。


「……大丈夫?」


「……ああ」


 軽く手で押さえる。


 誤魔化す。


 だが、確実にわかる。


 さっきのレース。


 そして今。


 何かを“使った”後に、来ている。


⸻


「……黒沢」


「ん?」


「これさ」


 レイナが、少しだけ真面目な顔をする。


「偶然じゃないよね」


「……ああ」


 否定できない。


 もう、無理だ。


⸻


 6億円。


 未来が見えた感覚。


 競馬の完全的中。


 そして、この再会。


 全部が、繋がっている。


「……これ、全部おかしくねぇか」


 小さくつぶやく。


「うん」


 レイナが頷く。


「おかしい」


 はっきりと。


⸻


 沈黙。


 コンビニの中。


 何でもない場所。


 なのに、空気だけが違っていた。


⸻


「……めんどくせぇな」


 恒一は苦笑する。


 だが、その顔には少しだけ覚悟があった。


 もう戻れない。


 普通には。


⸻


 ただ一つ、はっきりしている。


 この力は——


 未来だけじゃない。


⸻


“人も、引き寄せている”


第9話を読んでいただきありがとうございました。


競馬場に続き、まさかのコンビニでの再会。

そして明らかになってきた「近すぎる偶然」。


未来を見る力だけでなく、

“人や出来事を引き寄せている”可能性も見えてきました。


次回は、この力のルールに少しずつ迫っていきます。

どこまで見えるのか、何がきっかけなのか——


よろしければブックマークや評価、感想をいただけると励みになります。

引き続きよろしくお願いします。


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