表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48歳、6億当たったら人生が壊れた件 〜底辺おじさんと国民的アイドルの秘密の恋〜  作者: れいじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/58

第23話 揺れる境界

第23話を読んでいただきありがとうございます。


今回は、これまで感じていた違和感に対して、

少しだけ踏み込んでいく回になります。


はっきりとした答えはまだ見えませんが、

確実に何かが動き始めています。


その揺らぎを感じていただけたら嬉しいです。

事務所の空気は、どこか落ち着かなかった。


 事故から数日。


 表面上は、いつも通りに戻りつつある。


 仕事も再開した。


 スケジュールも動いている。


 だが。


 見えない何かが、残っていた。


「……最近さ」


 レイナがぽつりと口を開く。


「なんか、おかしくない?」


 その一言に、恒一の手が止まる。


「……何がだよ」


 できるだけ自然に返す。


 だが、内心は違う。


 少しだけ、息が詰まる。


「うまくいきすぎてたと思ったら」


「急にああいうこと起きてさ」


 言葉を選びながら続ける。


「……なんか、流れが変」


 その感覚。


 同じだった。


 恒一も、感じている。


 だが。


「……気のせいだろ」


 短く返す。


 それ以上は言わない。


 言えない。


 まだ確信がない。


 そして。


 もし本当だった場合。


 言葉にした瞬間、何かが決定してしまいそうだった。


「……そうかな」


 レイナは少しだけ納得していない顔をする。


 だが、それ以上は追及しなかった。


 沈黙。


 重くはない。


 だが、軽くもない。


 その空気の中で。


 恒一は決めていた。


(……試す)


 だが、今回は一人じゃない。



 夜。


 人通りの少ない場所。


 レイナと並んで歩く。


「なんでこんなとこ来たの?」


「ちょっとな」


 曖昧な返事。


 レイナが不思議そうに見る。


「……また何か考えてるでしょ」


「別に」


「顔でわかる」


 小さく笑う。


 その空気に、少しだけ救われる。


 だが。


 心の奥は、静かじゃない。


(……ここで)


 確認する。


 あの力。


 あの違和感。


 もし。


 レイナがそばにいるとき。


 何も起きないなら。


 それは——


 大きな意味を持つ。


 スマホを取り出す。


 レース情報。


 小さなもの。


 目立たない。


「……何してんの?」


 レイナが覗き込む。


「ちょっと遊び」


「競馬?」


「ああ」


 軽く答える。


 本当は違う。


 だが、説明はできない。


「……またやるの?」


「少しだけな」


 レイナは少しだけ考える。


 そして。


「……なら、私も見る」


 その一言。


 逃げ場がなくなる。


「……いいけど」


 小さく答える。


 視線を落とす。


 その瞬間。


 ドクン。


 心臓が鳴る。


(……来た)


 数字が浮かぶ。


 はっきりと。


 前回と同じ。


 いや、それ以上に安定している。


(……)


 一瞬、迷う。


 ここで使うか。


 やめるか。


 レイナが隣にいる。


 もし何か起きたら。


 巻き込む可能性がある。


「……どうしたの?」


 レイナが見る。


 まっすぐな視線。


「……やめる?」


 その言葉。


 試されている気がした。


 だが。


「……いや」


 首を振る。


「やる」


 小さく言う。


「……そっか」


 レイナが頷く。


「じゃあ、信じる」


 その一言。


 胸に刺さる。


(……信じる、か)


 軽く息を吐く。


 もう迷えない。


 購入。


 少額。


 確認。


 レースが始まる。


 画面を見る。


(……来る)


 結果。


 当たり。


 いつも通り。


「……やっぱ当たるんだ」


 レイナが驚く。


「すごいね」


 素直な反応。


 だが。


 恒一は、それどころじゃなかった。


(……どうだ)


 周りを見る。


 空気。


 音。


 時間。


 すべてを感じる。


(……)


 何も起きない。


 違和感もない。


 あの静寂もない。


 普通だ。


 完全に。


「……?」


 思わず眉をひそめる。


 前回とは、明らかに違う。


(……なんでだ)


 理由がわからない。


 だが。


 ひとつの可能性が浮かぶ。


(……レイナ)


 隣を見る。


 普通に立っている。


 何も変わらない。


 だが。


 もし。


 この存在が関係しているなら。


「……どうしたの?」


「……いや」


 首を振る。


「なんでもねぇ」


 だが。


 心の中は、大きく揺れていた。



 その夜。


 事務所。


 静かな時間。


 レイナと別れ、戻ってきたあと。


 スマホが震える。


「……?」


 画面を見る。


 通知。


 ニュース。


 スタッフの一人。


 トラブル。


 軽傷。


 だが。


 現場は混乱しているらしい。


「……またか」


 小さくつぶやく。


 背筋が冷える。


 さっき。


 何も起きなかったはずだ。


 レイナと一緒にいたとき。


 あのときは。


(……なのに)


 時間差。


 遅れて起きている。


 そう考えると。


 辻褄が合う。


「……マジかよ」


 壁にもたれる。


 呼吸が浅くなる。


(……安全じゃない)


 完全じゃない。


 何かがズレている。


 まだ、足りない。


 ルールが。


 見えているようで、見えていない。


 だが。


 ひとつだけ、確実なこと。


 この力は。


 ただの幸運じゃない。


 何かを、歪めている。


 その事実だけが、はっきりと残っていた。


第23話を読んでいただきありがとうございました。


今回、ほんの少しですが“違い”が見えてきました。

同じように見えて、どこかが違う。


その差が、何を意味するのか——


まだ断定はできませんが、

この力には何らかの“条件”があるようにも感じられます。


そして、その条件に気づいたとき、

物語は大きく動くことになります。


よろしければブックマークや評価、感想をいただけると励みになります。

引き続きよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ