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降誕・新・水滸伝・続篇  作者: velvetcondor guild


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22/59

22

闇の向こうから、無数の松明の火がうごめきながら近づいてきた。

それは、高俅こうきゅうが送り込んだ、血に飢えた官軍の伏兵――その数、三千。

雪を蹴立てる馬の蹄の音が、地響きとなって梁山泊の好漢たちの足元を揺らす。

「来たか……」

宋江が呟くのと同時に、呉用が扇を鋭く振った。

「各個、陣を敷け! 迎え撃つのではない、奴らの喉元を食い破るのだ!」

一、 咆哮の先鋒

最初に動いたのは、黒旋風・**李逵りき**であった。

「がたがた抜かすな、この小役人どもが!」

二丁の大斧を風車のように振り回し、李逵は官軍の最前列に真っ向から飛び込んだ。

鎧を断ち、盾を砕く。雪の上に真っ赤な血の花が次々と咲き乱れる。その背後から、**魯智深ろちしん**が六十二斤の禅杖を振り下ろし、馬ごと官軍の将を叩き伏せた。

「阿弥陀仏! 地獄への道連れは、俺が引導を渡してやる!」

二、 氷の刺突

混戦の中、官軍の伏兵が宋江の本陣を狙って左右から包囲しようとした。

そのとき、暗闇の中から銀色の閃光が走った。

豹子頭・**林冲りんちゅう**である。

林冲の蛇矛じゃぼうは、吹雪を切り裂く一筋の雷光のようであった。

突き出されるたびに、官軍の騎馬兵が喉を射抜かれ、崩れ落ちていく。その顔は驚くほどに静かであった。かつて禁軍の師範として、自分を陥れた高俅の軍を、今、自らの手で屠っている。その皮肉な運命を噛みしめるように、彼の槍は一分の狂いもなく、死を運び続けた。

「高俅の犬どもに告ぐ。我が名は林冲。恨みは深い、命を捨ててかかってこい」

三、 宋江の決断

伏兵の指揮官、党世雄とうせいゆうは、梁山泊のあまりの強さに戦慄した。

「おのれ、これほどまでとは……。全軍、引くな! 数で押し包め!」

しかし、宋江は馬上で冷静にその動揺を見抜いていた。

花栄かえい、あの指揮官を止めろ」

「御意」

宋江の傍らにいた小李広・花栄が、大弓を限界まで引き絞った。

放たれた一矢は、雪を切り裂き、闇を貫き、叫び声を上げようとした党世雄の兜の真ん中を射抜いた。

指揮官を失った官軍が、雪崩を打って崩れ始める。

四、 勝利の向こう側

激突は、刻が経つのを忘れさせるほど凄惨なものであった。

夜が白み始める頃、野には官軍の亡骸が点在し、梁山泊の旗だけが冬風にたなびいていた。

「……勝ったな」

李逵が返り血を拭いながら笑った。

だが、宋江の顔に喜びはなかった。足元に転がる官軍の兵士の顔を見た。彼らもまた、命じられるままに戦場へ駆り出された、この国の民に他ならない。

「これが、俺たちが歩み始めた道の正体か」

宋江の声は、勝利の凱歌ではなく、告解こくかいのように低かった。

結界を破り、外の世界に出た彼らが最初に手にしたのは、かつての同胞たちの血であった。

「兄貴、立ち止まってはいけません」

林冲が、血に濡れた槍を収めながら言った。

「高俅は、これを待っているのです。我らが罪を重ね、真の『逆賊』として世に疎まれることを。我らは行かねばなりません。この血の雨のその先へ」

宋江は、東の空から昇る寒々しい太陽を見上げた。

百八の星は、今や大地に降り立ち、その輝きを血の色に変えながら、深く、暗い歴史の渦へと足を踏み入れていった。

高俅との最初の激突は、梁山泊の圧倒的な武威を見せつけましたが、同時に宋江の心に深い影を落としました。

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