16 新・水滸伝・続篇
新・水滸伝・続篇
梁山泊の夜は、深かった。
秋でもなく、冬でもない。
季節は名を持つことをやめ、ただ空気だけが澄んでいた。
百八の星がそれぞれの運命を背負って、この山に集まった。
怒りを持つ者。
失った者。
帰る場所を失くした者。
そして、まだ何者でもなかった者。
今、その全員が、再びこの山の中にいた。
聚義庁――
その名を掲げた大広間は、以前と同じ場所に、同じ形で建っていた。
だが、同じではなかった。
灯が少ないのである。
かつては夜ごと、松脂の火が柱から柱へと燃え、
笑い声と怒声と杯のぶつかる音が絶えなかった。
今は、中央の燭台に、三本の火があるだけであった。
その火は揺れていない。
揺れる理由が、ここにはなかった。
奥の席に、宋江が座っていた。
顔は変わらぬ。
痩せてもいない。
老いてもいない。
だが、その人の周囲だけ、時間の流れが遅れているように見えた。
彼は、誰の顔も見ていなかった。
見ているのは、おそらく、この場にいない者たちであった。
ひとり、またひとりと、男たちは集まり、
言葉もなく、それぞれの場所に立った。
林冲は、柱のそばにいた。
座らなかった。
座れば、自分の中の何かが終わると知っている者の立ち方であった。
魯智深は、壁に背を預けていた。
腕を組み、目を閉じていた。
眠っているように見える。
だが、ここにいる誰よりも、深く目覚めていた。
武松は、入口に近い場所に立っていた。
外へ出る者の位置である。
李逵は、宋江のすぐ下にいた。
座っていたが、膝の上の拳が、時折、わずかに動いた。
何かを待っている拳であった。
呉用は、灯の下にいた。
火の明かりが、その顔の半分だけを照らしていた。
残りの半分は、影の中にあった。
その影が、この男の本当の居場所のようであった。
誰も口を開かなかった。
百八の星が、ここにあった。
欠けてはいない。
だが、満ちてもいなかった。
風が、外を通った。
山の木々が、それに応じて、低く鳴った。
それは、歓迎の音ではなかった。
問いの音であった。
梁山泊とは、何であったか。
そして――
これから、何であるのか。
宋江が、わずかに顔を上げた。
その動きは、あまりに小さく、
見た者はほとんどいなかった。
だが、呉用だけは見ていた。
見て、何も言わなかった。
まだ、言葉が生まれる時ではなかった。
ここにあるのは、終わりではない。
始まりでもない。
そのあいだにある、
名を持たぬ時間であった。
灯は、静かに燃え続けていた。
まだ、誰のものでもない未来を照らしながら。




