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悪役令嬢を降りますので、後は好きにやってください  作者: 雲乃琳雨


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17/20

17、恋人たちの日当日

「やっぱり……、おそろいだった」


 カロリーナを迎えに来た、お忍び用の馬車から降りてきた王子を見て、ペアルックだと分かる。


「何か言ったか?」

「いえ聞こえてるでしょうよ」


 カロリーナは、王子の手に自分の手を乗せて馬車に乗り込んだ。首都の街はすでに祭りでにぎわっていた。メイン会場は街の中心部から少し離れた広場だ。商店街前の道は、片側に馬車を止められて片側通行になっている。会場周辺は、馬車の乗り入れが禁止だ。二人は馬車を降りて、歩いて会場に入った。


 広場までの道には、色とりどりの屋台が道に並ぶ。串に刺した肉を食べながら歩いたり、学校でも食べたフルーツサンドをまた食べることが出来た。


(食べ歩き最高!)


 一通り食べると、王子が店に案内する。


「贈り物をするから店に入ろう」

「え?」


 恋人たちの日は贈り物を贈り合う。今度は何にしようか。特に考えていなかった。二人は宝石店に入った。


「さあ、婚約指輪だ。選べ」

「ぎょ」(これは逃げられないようにするやつ)


 プラチナの、大きな四角いダイヤが付いたものを手に取った。


(テレビで見た四角いでかいダイヤだ! 前世で見て憧れだったんだよね。王子の財力ならこれぐらい買えるよね)


「気に入ったのか?」

「はい」(とても♡!)

「よし、これをもらおう」

「ありがとうございます。手直しがいりますのでサイズを確認します。どうぞこちらへ」


 店員は、カロリーナを席の方に案内する。王子は購入手続きをしにカウンターの方に行く。


(男性の婚約指輪は買わないよね。何か別の物)「あの、男性用の物を見たいのですが」


 カロリーナは、店員にこそっと耳打ちする。


「では、こちらなんかどうでしょう。男性用の宝飾品です」


 サイズを見る前に、先に商品を見せてもらう。指輪に似た少し小ぶりの石が付いたカフスを見つけた。


(これこれ、指輪と同じカットのダイヤのカフス、素敵!)


「これを後日届けてください」

「かしこまりました」



 広場に明かりがともり、音楽が流れ、恋人たちが踊り出す。学園のみんなもいた。二人も踊る。

 帰りの混雑を避けるため、二人は一足早く広場を後にした。祭りの賑わいが遠ざかる。手をつないで、外灯に照らされた静かな歩道を歩いて行く。降りた場所で、到着していた迎えの馬車に乗った。



「楽しかったです!」(恋人たちの日、最高!)

「私達も恋人たちだろうか」


 王子が、急に問いかける。カロリーナは恥ずかしそうに、戸惑って答えた。


「そうですね」


 横を向いて頬をかく。


「では、そろそろ愛称で呼び合おう」

「はい……」

「公爵はリーナと呼んでいたから、俺はリナにしよう」

(私はカロリって呼んでますけど)


 最近は、カロリと前世が大分なじんできた。


「俺のことは、みんなジークと呼ぶから、お前はウィルと呼べ」

「はい、ウィル……」(王子を愛称で呼ぶなんて、なんか変な感じ)


 ぼーっと王子を見るカロリーナの横に、王子は移動してくる。二人が親密な時間を過ごせるのは、今は馬車の中だけだった。王子が顔を寄せてくる。


(これはキスをするということかしら! きゃー!)


 カロリーナが目を閉じると、王子はキスをした。


(でも疑問がある)「王子は私が好きなんでしょうか?」

「!」


 カロリーナは真顔で聞いた。王子は赤くなって答える。


「私は好きでもない女とキスをしたりしない!」

(政略結婚だから、役割だけを求めているのかと思ったけど違うんだ)


 その言葉にカロリーナは、ほっとして赤くなった。王子がカロリーナを覗き込む。バチッと目が合う。


「お前は好きでもない男とキスをするのか?」

「!」(そんなことしない……)


 王子から視線を外して、前を見て考えた。


「私、王子のことが好きなんだ!」


 言葉が思わず出た。それを聞いて、王子はカロリーナを抱き寄せた。カロリーナも王子に腕を回した。

 今日の日は、素敵な思い出になった。


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