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チャプター1:「母なる星のため〝迎撃〟せよ」

 ――惑星ジア。

 それが、その者等の故郷たる惑星。


 その母なる星にて、文明を築いた人々は。ついに果てしない宇宙へと飛び出した。


 新天地を目指し、切り拓くための新たな旅路。


 ――しかしその最中で起こった、一つの邂逅。


 それは母なる星を脅かす、強大なる「大帝国」との遭遇。そして衝突の始まりであった。


 迫り来る魔の手より、母なる星を守るべく。

 惑星ジアの人々は、苛烈な戦いへと身を投じる事となる――




 惑星ジア。

 様々な生命、そして人種種族が存在する、広大な宇宙の内の揺り籠。


 そのジアに住まう人々によって起こされ、発展し拡大を遂げた各勢力、国家、コミュニティは。

 最近になってようやく、母なる銀河系にて自在な活動ができるまでにこじつけ。。

 外宇宙への一歩を踏み出した所であった。


 ――だが、それから間もなく起こったのは。友好的では無い――「敵」となる存在、文明勢力との邂逅であった。



 「レギュリオン大帝国」を名乗るその文明勢力。

 高度な文明に技術、そして強大な国力を携え。銀河を越えて広大な宇宙を股に掛ける、宇宙帝国国家。


 そのレギュリオン大帝国は、実態は異様なまでの野心を抱く侵略国家だ。

 宇宙の広く、遥かな果てまでを、その手中に収めることを目的と掲げ。

 保有する巨大で強大な軍事力をもって、侵攻拡大の手をいくつもの銀河へ、宇宙中へと伸ばし広げ。

 あらゆるを飲み込むまでの勢いで、その版図を拡大していた。



 その大帝国とのファーストコンタクトは、早々からの不穏の最たるものとなり。

 そして大帝国から突き付けられた、過大すらを越えた要求――事実上の従属を命じる通告は。


 しかしここまでの歴史にて、あらゆるに抗い続けて来たジアの人々に。大帝国を「反逆」すべき大敵と決定づけさせた。


 会談、交渉の決裂から。それをも見越していたのだろう、大帝国はジアに宣戦布告。

 そして布告と同時に、ジア側の掌握圏に大規模攻勢を開始。


 その、強大で恐るべき大帝国の侵略の手に。

 未だに母なる惑星ジアの内での、統一政府も持たず。今にあっても手探りでの宇宙開拓の時にある。

 広大な宇宙の内では赤子にも等しい惑星ジアは。



 しかし、その誕生からの歩みの内で宿し携えた。

 比類無き。あらゆる巨大恒星よりも輝き、あらゆる希少鉱石よりも強靭な――「精神」と。

 底なしの、困難な運命へ――「反逆」する信念の元。


 〝衝突〟することとなる。



 此度は、その彼等の。戦いの一幕を描く――




 ――惑星ジアの存在する、母なる銀河系。

 その内の、しかし帰る場所たる太陽系を遠く離れた、また異なる別の恒星系。


 その恒星系内でも最大クラスの、巨大なガス惑星を向こうに見て背景とし。

 そして伴う衛星が近くに存在してまた見え。さらに周辺には、まばらなデブリ帯が広がっている。


 そんな光景が周りに広がる宇宙空間。

 その一点。衛星とデブリ帯の近くに、唐突に発生して見えたのは。その光景を不自然に捻じ曲げる「空間の歪み」。

 それが発生して見えたのも、しかし一瞬。


 ――その直後。

 大から小までいくつもの存在、物体が。まさに突然の様相で、立て続けに空間へと出現した。


 それは――ジャンプ現象。

 またはワープとも呼ばれる、超技術現象によって行われた超空間航法。


 そして現れたのは、多数の〝宇宙機〟。それ等の成す群体、隊形だ。


 超空間航法からジャンプアウト、通常宇宙へと出現した宇宙機の数々。それが成す編成隊形。


 それは、この恒星系より遠く離れた、惑星ジアを母なる星とし。

 そのジアに存在する各勢力、国家、コミュニティの内でも。最大規模を持つ巨大な合同体。



 Joint East――略称 JE。

 または東州合同とも名称される、大洋を拠点とする合同体。


 そのJEの組織する、有事組織の一つ。

 航空宇宙隊、JE ASF。



 その編成運用する、〝航宙戦闘飛行群〟だ。



 ――宇宙部隊における編制形態、軍務形態などは。かつてより物語、創作上では海軍に倣う形のものが多く描かれてきた。


 そしてジアの各国々や、連合共同体などが、宇宙に進出するに伴い編成した宇宙軍組織もまた。多少の差に違いはあれど、それに倣う形で海軍式に準ずるものを採用。


 さらには、この広大な宇宙で接触を果たし、戦端を開く事となった大帝国軍のそれもまた。

 その形は、海軍式のそれに倣い類似するものであった。


 しかしそんな各例の内。

 JEにあっては宇宙において戦いを担う組織を、独自の形態で編成。

 元より、航空宇宙隊――諸外国における空軍組織が、宇宙分野を同時に担っていたこともあり。

 その流れのまま、宇宙作戦におけるあらゆる形、在り方は空軍式を倣った。


 そこには、JEが航空戦力(空軍)偏重のきらいがあり。

 そして同時に、宇宙を「海」ではなく、「空」と例え考える文化が主流であったことも大きかった。



 そんな背景経緯を持つ、JE 航空宇宙隊の航宙戦闘飛行群を形成するは。大小から形式まで様々な、各宇宙機。


 その詳細概要、内訳を見て行く。



 まず一番に目を引くは、全長数百rw(m)はある巨大な宇宙機。

 惑星上の大海での王者である戦艦すらを、優に越える大きさを持つそれは。

 縦長の流れるような、全翼機のそれである形状を持つ。超大型のシャトル機。


 ――Lsr-140 ジェーエンシャルフライト型宇宙機。


 敵対する大帝国からは、位置づけとして「巡洋戦艦」クラスと認識分類されているが。


 JEにおける正式な形式区分は「長距離作戦機」。

 ジアの諸外国からは「超重爆撃機」とされるものであり、そのそも「艦」ですらない。


 そのジェーエンシャルフライト型(以降、略称JEF機)が、まず一機。



 続けて見えるは。

 全長100rw程、今のJFE型より大分小型のシャトル型宇宙機が。

 しかしさらに何か、そのシャトルの倍以上はある。縦長でごてごてとし、そして多数の武装装備を持つ、宇宙ステーションのような構造物を引っ張る。

 そんなような全形の宇宙機。


 ――Lsr-533 ダイアストロフィズム。


 「地殻変動」の名称を持つ、JEの「巡行作戦機」――諸外国の形式に当てはめれば、「重~中型爆撃機」。

 見た目にある通り。シャトル機が武装プラットフォームをけん引する形を取った機体。

 略称、DF機。

 大帝国からは、軽巡~駆逐艦クラスで認識される機体。


 それが三機。「指揮官機」であるJEF型の周りに随伴する形で隊形を作り、「飛行」している。



 さらに見えるは、DF機のシャトル部よりさらに一回り小柄の。全長70~80rw程のシャトル型宇宙機。

 その機体下面、腹には。数発の大きな誘導弾体、ミサイルを抱き装備している。


 ――G-1098 ガン・プレーン。

 略称、GP機。

 「火力作戦機」――実態を諸外国の呼び方で表せば、「重攻撃機」。


 大帝国からはコルベットクラスで認識されているそれが、四機。

 飛行群の外周りを囲うように、また随伴飛行している。



 まず見えるそれ等の「大型機」が、飛行群の主力だ。



 そしてさらには、その飛行群主力に一瞬だけ遅れる形で。しかしほぼ同時に続々とジャンプアウトして現れたのは。

 数十機の宇宙機。

 主力の大型機各機よりも大分小型で、その分の身軽さを見せつけるそれ等は――「戦闘機」群。


 飛行群の直援の戦闘機隊だ。


 その戦闘機隊の多くの機は、ジャンプアウトからすぐに飛行群本隊の周囲に合流。援護のために展開配置。

 いくつかの機は、飛行群本隊の近くを飛び抜けて越えて。前衛を担うべく、その前方へと進出していく。



 そんなそれぞれの行動を見せる、各戦闘機の内の一機。


 ――Ffq-421 ショウゲキ、制宙戦闘宇宙機。


 元は、惑星の大気圏内を活動の場とする大型ジェット戦闘機。

 しかし(比較的)余裕のある大型の機体を利用し。無理くり大型航宙エンジンを複数基増設搭載。

 他、宇宙戦闘機として運用可能とするための改造を施され。宇宙へと駆り出された経緯を持つ機体機種。


 無線識別「アイザック4」の、その操縦席内にて。



「――ジャンプアウトの影響ナシ。そんじゃぁ、開始だな」



 ――ジョウサク コフア。

 航空宇宙隊、予佐(諸外国の大尉と少佐の間の階級)は。


 眼下に飛行群主力の隊形を眺めつつ。

 同時に、その大分に険しい造形の顔に、なにか不敵な色を見せて。


 これよりの「作戦」開始に向けて、そんな言葉を紡いだ。

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