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お飾りの妻にするつもりが、夫の方がお飾りになった話  作者: 彩紋銅


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15/15

【オマケ②】夢での邂逅

 ◆


「卒業おめでとう、エヴァン!」


 そう言ってグラスを掲げるのは、アーノルド様。

 現侯爵夫妻と、家令のアリスターもいる。

 どうやらオレの卒業記念の祝賀会を開いてくれたらしい。

 豪華な食事が用意されている。

 部屋も飾り付けがされいるけれど、ちょっとダサいのはアーノルド様のセンスだなぁと思った。

 季節や行事ごとに彼から送られてくるプレゼントは高価な文房具が多く、学園でもとっても役に立ってありがたかったけれど、デザインのセンスが独特だった。おかげでオレはクラスメイトに変な趣味の人と思われていた節がある。


「ウェズリーにも声をかけたんだが、まだ来ないな。流石にすっぽかしてはいないと思うんだけど。ま〜た、女の子と遊んでいるのかな?」


 アーノルド様は、困ったものだと苦笑している。


 ()()()()()()()()()()()()? 

 まあいいか。


「ありがとうございます」


()()()()どう? ホリーとはうまくいっているみたいだね。君がいてくれて良かったよ。領地のことはなんとかなるだろうけど、流石に彼女のことは心配だったしね」


 空色の瞳が、細められる。


「はい。とても良くしてもらっています」


 ああ、これは夢だ。

 だってこの頃オレは、ホリーとまだ出会っていない。

 それでもオレの口は自分の意思とは関係なく言葉を紡ぐ。


「まあ、後継も問題ないみたいだし、君なら大丈夫そうだし、これからも皆の事、よろしく頼むよ。領地の事はついでで良いからさ!」


 そのとき、おずおずといった風に扉がノックされた。


「お、ようやく来たか。ちょっと失礼するよ」


 アーノルド様が席を外す。

 扉の外の会話が聞こえてくる。


「やっと来たな。ん? お前が泣いて謝るなんて、子供の頃以来だな〜。なんか面白いな! まあ、私は別に怒ってはいないよ。そんな事より彼女が……」


 そのうち声が遠くなり、視界も白くなった。


 そして──。


 ◇◆◇


 目を開ける。


「──!?」


 アーノルド様と同じ空色の瞳がオレを見つめていて飛び起きる。


「おとうさま、おきた〜」


 長男がオレのことを覗き込んでいた。


「おはよう! おとうさま!!」


 今年、四歳になる長男は朝から元気いっぱいだ。

 そういえば、昨夜はホリーが最近生まれた次女のお世話でお疲れだったので、オレは長男と一緒に寝たのだった。

 長女と次男三男の双子は、義父母と一緒に寝ている。


「おとうさま?」


 ぼんやりしているオレを不審に思ったのか、長男が改めてオレの顔を覗き込んできた。


「あ、ああ、おはよう。変な夢見てぼうっとしてたよ」


「ゆめ〜? どんなゆめ?」


「どんな? ……あ〜、忘れちゃたな」


 アーノルド様が出て来たような気がするが、内容はあまり覚えていない。

 たまに見る夢だ。


「ふ〜ん」


 長男はピョンッとベッドから飛び降りる。

 そして──。


()()()最後までやり遂げるね、おとうさま!」


 そう言って、長男は笑った。


 






おしまい。



※時系列や辻褄が合わない部分があると思うので(修正漏れ)、追々直します。申し訳ナスです。

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― 新着の感想 ―
エヴァンも好きだけど、アーノルドまじ人格者!好き! アホ弟も最後の最後に救われたっぽいし、みんな幸せでよかった(^ ^)
長男くんが生まれ変わりだとしたら、もしかして下の子供にも生まれ変わりが居たりと……不安を感じました。
ささいな嫉妬から兄を死に追いやってなければ(次期)侯爵の弟として何不自由ない暮らしが送れただろうし、ホリーを丁重に扱っていれば子供は爺様のばらまいた血筋から有望な養子を取ればいいだけだから毒を煽ること…
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