07 これからのこと
「まず、君たちには訓練と授業を受けてもらう。」その言葉に3人ほど嫌悪感をしめした。
ー異世界に来てまで授業とか...。
黒井はあからさまにがっかりしている。白木や一護も授業には乗り気でないらしい。
「授業は君たちにとってとても重要なものだ。君たちの世界とこちらではマナーが違う。これから勇者として活躍していくのだから、貴族や王族とも必然的に関わる。だから、そう言う時に知識やマナーがないと君たちの評価が下がってしまう。」
わかるかな?と王太子が言うと、不満顔だった3人も納得したように頷く。
因みに清水は....
ー異世界のこと学べるとか楽しすぎでしょ!
と言うような調子である。勤勉でよろしい。
「それで、訓練についてだけど、まずクロイ殿とシラキ殿。君たちは騎士団長のガイウスに剣を教わってもらう。それから、魔法に関しては、宮廷魔法使いのユルグ、さっきの魔法使いだ。彼に教わってもらう。これは5人全員だ。そしてイチゴ嬢、君は隠密に関して個別で我が国の諜報部隊から教わってもらう。」
それから、と清水に顔を移しながら話を続ける。
「シミズ嬢、君は神聖魔法にも適性があるから聖女から教わってもらう。こんな感じだが質問は?」
皆が首を横に振るのを確認すると王太子は部屋を用意する、と言った。
今日は疲れているだろうから個人の部屋で休んでほしいとのことだ。侍女もあとで手配するらしく、今日の食事は部屋でとることとなりそうだ。
正直、ずっと周囲の声を聞いていて疲れていた夜にとってはありがたい話だった。
(ヘッドホンして休みたい)
心の声が頭に響くのでヘッドホンをしたところで、あまり変わらないが、要は気持ちの問題である。少なくともヘッドホンをしていれば、耳に届く音は妨げられる。
(はやく1人になりたい...。)
そう思い、密かにため息を吐くのだった。




