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召喚されましたが、帰ります  作者: 犬田黒
第三章 ラピス王国
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38 図書館っていいよね

 自室に戻る前に夜は図書室に寄り、そこでステータスを確認する事にした。図書館が好きな夜は、この世界でも図書館に通い詰めている。ただで本が読めるなんて、最高ではないか。絵本もあるし、よりどり緑。夏は涼しく冬は暖かい。これほど家からの逃げ場に適した場所はないだろう。


 いつものように自分の定位置に座り、本を読んでるフリをする。


「鑑定」、と自分に手を当てながらぼそっと呟くと、目の前にステータスが表示された。


【ステータス】


名前:夏目 夜 Lv.30 HP:500/500  MP:900/900


年齢:15歳    契約:フェンリル(白雪)


職業:歌姫(天使)


適正魔法:古代魔法,空間魔法


習得魔法:空間魔法、水魔法、火魔法


固有スキル:成長補正,言語理解,鑑定,無限収納,精神耐性,身体耐性,威圧,聴心,天使の歌声


 ステータスを見て、夜は驚きのあまり声を出しそうになったが何とかこらえる。


 (天使が追加されてる………。)


 以前のステータスを覚えていないので、違いにあまり気づかない夜。魔族との闘いでレベルも20ほどアップしているがそれにも気づいていない。


 何んとなしに”天使″の部分に触れてみると、説明が表示された。こんな機能があるのかと、少し感心する夜。説明を読んでみる。


【天使】

能力:人間離れした力を常時発動する。聴心、飛行、望遠など。なお、能力の発動には条件が必要となる。


条件:自身を天使だと理解することによって能力が発現する。天使に追随する力にはそれぞれ条件が必要となる。(聴心:環境が劣悪であること,飛行:大きな絶望,望遠:部不相応な希望を持つ …………


 といったような内容が表示された。能力に関してはまだまだ続いたが、見るのも疲れるため今後時間があるときということで片を付けた。


 (てか能力の発現条件くそじゃないか?!生まれた時から虐待受けてた私の環境は劣悪だったっから心の声が聞けたってわけね、ちょー納得。)


 一人でうんうん頷いている夜に背後から誰かが近づいてくる。心の声が聞こえる夜とって、死角から話しかけてくる人間など恐れるになかった。


「あのー……」


「あーはい、えーっと、司書さんですよね?何か?」


 話しかけられすぐに振り向く夜に、司書はたじたじになる。それでも持っている本からこちらの手伝いをしようという心遣いが伺えた。


「…そ、その、歌姫様…ですよね?えっと、よく、ユルグ様といらっしゃるところお見掛けして…。歌姫について調べていらっしゃいますよね?」


 震えながらも話してくれる彼に、夜はなるべく優しく聞こえるようにして話した。


「ええ、確かに。ユルグ様はわたしが歌姫に興味があるって言ったら手伝うって言ってくださって。もしかして、司書さんも?」


 夜の言葉に司書は嬉しそうに顔を輝かせ、こちらに本を差し出した。


「これ!その、この本は歴代の歌姫様の自著というか日記になっていまして…。本来は読めないんですが、今回は特別にということで…。」


 どこで許可が出たのか深く突っ込みはしないが、これはとても有難かった。なんせ、歌姫に関する資料は非常に少なく、自伝なんて皆無に等しかったからだ。素直にその本を受け取り感謝する夜に、そんなとんでもないです…!と顔を赤らめ司書は去っていった。


 司書によるとこの本は貸出厳禁とのことなので、椅子に座ったまま読み始める。本自体には保護魔法といった少し高度な魔法が施されているようで、古さは感じない。開けてみると早速一人目の歌姫の日記が綴られていた。どうやら、今より800年も前のものだった。日記は言語理解のスキルのお陰で、見慣れた文字で読むことができた。便利だなこのスキル。


 1日目

母様が死んでから辛いことばかりだったのに今は夢を見てるみたい。全く知らない場所に人々、怖かったけれど皆優しかった。歌姫なんていうのは初めて現れたらしい。今後は様子を見ながら、自分たちを救ってほしいんだって。こんなにも必要とされるのは母様以来だなぁ。彼らの期待に応えられるよう、努力しないと。

 

 そんなことが書いてあった。夜と同じように酷い目に遭ってきたようだが、また捨てられないよう必死なのだろう。言葉の端々にそれが感じられる。その後は日常のことが綴られていた。勉強を始めただとか、可愛いと褒められて嬉しかっただとか。しかし、一ヶ月が経つ頃に変な言葉が見られた。 

 

 31日目

歌姫の力は彼らにとって素晴らしいものみたい。街の人々が素直になって政策が楽になったとか、今までにないほど体が快調だとか。ここまで感謝されるのは初めてで何だか恥ずかしい。そうそう!王子様との結婚も決まったの!これからは幸せな家庭を築きたいなぁ。


 ......歌姫の力が物騒なものに思える。この文面だとまるで支配しているかのような....。


 (どういうことだろう、歌姫の力は天使のもののはず。天使には人間を支配する能力があるの...?)


 すると後ろからまた声が聞こえてきた。


ーどうしよう、もう昼食の時間だけど...あーでもなんだか集中しているみたいだしなぁ....。いやでもお腹を空かせたままっていうのは....。


 聞くに耐えず、バッと立ち上がりくるりと後ろを振り向いた。司書は驚きビクッと肩を動かした。


「すみません、お腹が空いてしまって。続きは昼食後でも?」


「は...はいもちろんです!あの、よければ一緒にお食事とか....。」


 あ、と顔を青ざめる司書。いらないことを口走ったと後悔しているようだ。夜はふふ、と微笑みぜひ、と答えた。司書はとても嬉しそうに目を輝かせ、い、行きましょう!と夜を引っ張った。


ーああ嬉しい!ずっと歌姫様気になってたんだよなぁ、夜会ではお話しできなかったし。


 夜会、と言うことは彼は実は貴族なのだろうか。


ー歌姫様にはバレないようにしないと、僕が第二王子ってこと。兄様が言うには本好きでも権力者のことは嫌いだから関わるなってことだけど...でもそれってバレなければいいんだよね!


 大変残念であるが、たった今夜にバレてしまった。が、気づかない司書こと第二王子イリヤ。アルベールは純真無垢なイリヤが夜と関わらないよう画策していたようだが、無事失敗に終わった。


 (私のことなんだと思ってんだよ、あのクソ王子)


 執務室で仕事に追われているアルベールは夜の殺気を感じて1人体を震わせた。

また長くなってしまいました、それともこのくらいがちょうどいいのか?この回は色々詰めすぎて修正する箇所がたくさんある気がします....。


魔法に関して!

基本魔法は四つ、火魔法,水魔法,風魔法,木魔法です。そっからさらに色々派生してる感じです。

適正がある方が取得しやすく、より強い魔法(攻撃用)が使えます。

適正がなくとも取得は可能ですが、簡単なことしかできません。生活用と思っていただければいいです。攻撃用の魔法は扱えません。

って言う感じです。


ブクマ増えてました!嬉しー!!!

ありがとうございます!!

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