03 鑑定してみるか
「それじゃあ早速この水晶に手をかざしてもらう。」そう言いながら透明な水晶をローブの中から取り出す。
あんな丸い水晶入らなくね?とか思ってるとまた声が騒がしくなる。
ー鑑定キターーーーーーー!やばいちょー楽しみ、勇者かな?勇者だよね!!
非常に盛り上がっていらっしゃる黒髪くんが前に進み出る。
「はいはーい!俺から!!」彼が水晶に手をかざすとその真上に四角いスクリーンのようなものが浮かんだ。
ステータス
名前:黒井 陽 Lv.8 HP:100/100 MP:200/200
年齢:15歳
職業:勇者
適正魔法:火魔法,水魔法,風魔法,木魔法
固有スキル:成長補正,言語理解,鑑定,無限収納
「君は勇者か、それじゃ次。来い。」
淡白な魔法使いに比べ周りの反応はすこぶる良い。黒井本人はもっとうr..すごい。
「勇者キタコレーーーーーーーー!!!!!」もはや口に出てしまっている。
ー素晴らしい!勇者だ!四大魔法全てが操れるのか、今後が楽しみだな。
ー彼は活発で印象もいい。HPやMPはこれからの修行で増やしてもらおう。
「お、君は剣聖か。騎士団長が喜ぶな。」もう次の鑑定も終わったらしい。
ステータス
名前:白木 彰 Lv.11 HP:150/150 MP:100/100
年齢:16歳
職業:剣聖
適正魔法:火魔法,風魔法
固有スキル:成長補正,言語理解,鑑定,無限収納,剣技
「剣技って....剣道やってたからか....?」黒井と違い静かな反応である。しかし、顔は綻んでいる。やはり特別な力というのは嬉しいものなのだろう。
周りも黒井の時のようにおお、と歓声を上げている。
「わたしなんだろー?」間延びした声に映し出されたステータスは意外なものだった。
ステータス
名前:一護 愛菜 Lv.10 HP:200/200 MP150/150
年齢:15歳
職業:女忍者
適正魔法:水魔法,風魔法,テイム,影魔法
固有スキル:成長補正,言語理解,鑑定,無限収納,隠密,意思疎通
女忍者と言う職業に周りがざわついた。
ーこれは将来諜報にも役立つのでは?
ー勇者よりも固有スキルが多い...。それにこの職業なら魔王を打ち倒した後も...。
ーくのいち....。いい響きだ。
若干1名変なやつがいるが、こちらも反応は上々。
「おー珍しい。いいね。」.....先ほどから随分雑じゃないか?この魔法使い。
そして黒髪ロングちゃんも水晶に手をかざす。
ステータス
名前:清水 舞 Lv.8 HP:90/90 MP:500/500
年齢:15歳
職業:女賢者
適正魔法:火魔法,水魔法,風魔法,木魔法,神聖魔法,回復魔法
固有スキル:成長補正,言語理解,鑑定,無限収納,魔法生成
賢者という表記を見た瞬間、魔法使いの顔が変わった。
「賢者やっときたか!!!!俺が指導する!なんだよ、魔法生成ってずるい!!!俺も欲しいそのスキル!!!」
その勢いに圧倒され清水の顔が引き攣る。アハハと苦笑いしながら今にも抱きつきそうな魔法使いからジリジリと距離を取る。
「あ、最後、夏目さんだよ!ほら行って行って!」私を前に押し出し自身は後ろに隠れる。
途端、魔法使いの顔が仏頂面に戻る。早くしろよ、ったくと言う声も聞こえてくる。
どうせ私は巻き込まれただけだろう。特別な力なんてこれ以上いらない、と思いながら手をかざした。