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召喚されましたが、帰ります  作者: 犬田黒
第二章 それぞれの冒険
31/73

30 潜んでいた悪

翌日、朝早くからエイダン、エドワード、夜は馬車に乗り込んだ。例の森へと向かうためだ。夜の護衛騎士キリヤも馬で同行している。


 (相変わらず鍛え抜かれた体だ。)


 エイダンは夜よりも護衛騎士に夢中だ。


 (どんな訓練を受けているのか、知りたい..。)


 ふと視線を感じ、前に顔を戻すと夜とばちっとまた目が合った。今度は夜の方からふいっと目を逸らす。


「そういえば、辺境伯様はフェンリルを見たことはありますか?」


 あからさまに話を持って行かれた。フェンリルは伝承上の生き物だと言うのに、彼女は何を言っているのだろうか?


「いやぁ〜フェンリルは伝承上の生き物ですからな。最後の目撃例も何百年も前という話ですし...。」


「ではあなたは会ったことがないんですね?」


「ええ、一度でいいから見てみたいですね。」


 それまでにこやかだった夜の顔が一瞬真顔になり、すぐ笑顔に戻った。


「そうですか、いやぁー私も会ってみたいなぁと思いましてね。」


 何だろう、彼女のこちらを見透かしているような感じは。何だか、心の声でも聞こえているかのような...


 そこまで考えてエイダンは自分の考えを打ち消す。その間も話は進み、気づくと好きな馬の部位の話になっていた。いや何故。


 そんなこんなで馬車は目的地に到着した。エイダンがドアを開けるより先に夜はさっと扉を開け、外へ駆け出した。


「え、ちょ、ちょっと、、!」


 慌ててエイダンも外へ飛び出す。と、すぐに息苦しさを感じた。以前は光に満ち溢れ、気持ちの良い空気で一杯だった森は、暗く澱み、変な圧さえ感じた。


「空気、、、いや魔素が濃すぎるのか、しかもこれは魔族のものではないか...。」


 エイダンの1人ごとに夜が反応し、ばっと振り返った。


「魔素!?これが魔素...。重苦しいわね、生き物達も苦しそう...。早く何とかしなきゃ。」


 最後はほとんど聞こえないくらいの声で夜が1人ゴチる。


「辺境伯は来ましたかー?」


 後ろを振り返り、エドワードを確認する夜。


「ここに!」


 エドワードはエイダンの真後ろに立っていた。心なしか嬉しそうな顔をしているように見える。そんなに歌姫と森に来れたことが嬉しいのだろうか。


 すると突然歌声が森に響いた。エイダンは驚き、夜の方へ顔を戻した。夜が歌う側から澱んで見えた空気は軽く、浄化されているように見える。


 (この歌声は....確かに素晴らしい。)


 言葉は理解できないはずなのに、どこか懐かしさも感じる。それ以上に、夜の守りたい、救いたい、という気持ちがエイダンにまで伝わっているようだった。


 突然、夜がこちらに振り向いた。エイダンに向かって手を広げる。いや、正確にはその後ろにいるエドワードに向かって。


「うぐっ、うっ......。」


 エドワードが苦しそうにうめき出す。


「な、何をするんだ....やめてくれ....!」


 だがその切望は、次第に悲鳴に変わっていく。


「あ...あぁぁぁぁ!!!!!!」


 エイダンは驚きで目を見開く。自分の声とは思えないものが口から出る。


 うめくエドワードの口から黒いもやが吹き出していた。エドワードは自分の首を絞めるようにしながら、もがき苦しむ。


 夜の歌声は次第に高く、大きく広がっていく。それに連れて、エドワードから出るもやも大きくなり、遂に完全に姿を現した。

小説って難しいですね...。これでエイダンの話終わらせるつもりだったんですけど....全然続きます。

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