15 夜更かし万歳女子会
「もうお聞きとは思いますが、元の世界に帰る手段はありません。ですから、今まで召喚された方々は王女や聖女なんかとご結婚されますね。歌や物語として残っているんですよ、こう言うお話は。」
その言葉に一護は少し顔を曇らせた。
「....白木くんも聖女とかと結婚したいのかしら...。」
その言葉にメアリーは慌てて顔を横に振った。
「大丈夫ですよ!話によれば、異世界人同士で結ばれた方もいるようですし。何より、イチゴ様のような可愛らしい方なら殿方なんて百発百中ですよ!」
そう言いながらそっと一護の手に自分の手を乗せる。
「それに、私は恋する乙女応援隊ですから。何かあれば仰ってください。お手伝いしますよ。」
「私も。そう言うことなら手伝う。白木と愛菜ちゃんくっつける。」
メアリーに続き、ふんす、とやる気満々な清水。流れに釣られ夜も声を出した。
「私も手伝う。できることないかもだけど、ちょー応援するよ。」
その言葉に瞳をうるうるさせる一護。
「みんなありがとぉ。私、ぶりっ子だって言われてあんまり信頼できる友達できたことなくて....。もう帰れないのはちょっと辛いけど、みんなと友達になれて嬉しい....。」
「友達.....?」
一護の言葉に驚いて反復した夜。みんなが不思議な顔をして夜を見つめる。夜は慌てて弁解した。
「いや、あの、友達いたことなくて....。」
(恥ずかしいこと言った気がする....。)
恥ずかしさで土に潜りたい気分だ。顔を上げられない。
「何言ってんの、もう友達でしょ、私たち。」
「そうですよーナツメ様。私は支える身分ですが、今はお友達です。」
「友達だよ、この状況に巻き込まれた時から。」
3人の声にはっと顔をあげる。笑っている人は誰もいなくて、皆優しい笑顔を浮かべている。
(本心だ....。心の底から思っているんだ、この人たちは。)
夜は初めて自分の能力を心から受け入れられた。母に気味悪がられ、弟妹たちを守るためだけに使ってきたこの力。
今はただ、この能力に感謝した。夜もゆっくりと微笑み、言葉を返した。
「ありがとう」
夜も更けてく女子の密会。その後も話は続き次の日みんなが寝坊したのは言うまでもない。
夜にようやく友達ができました....。彼女が初期より弱気に見えるのは、今まで高圧的な人とばかり接していて、同年代と接する機会が少なかったからです。自分より年下か年上の方が話やすい感じの子です。
次回は視点が変わります。




