14 夜も深まり女子会
午後6時ちょうどにやってきた一護と清水を満面の笑みでメアリーが迎え入れた。夕食も三人分用意され、3人でぐるりと囲いながら食した。食べている間は他愛もない会話が繰り広げられていたが、主に一護が話しているのを夜と清水で聞いているだけだった。
清水に至っては会話というより、
ーご飯おいしい という声から食事に夢中なことが伺えた。
食事もそこそこに、一護はここからが本題というように椅子に座り直した。肘をテーブルに置き、顎を手の甲に乗せる。意味深な笑みから発せられた一言ー。
「君たち、女子会のメインイベントって知ってるー?」
これには夜は見当もつかない。なんせ初めてのことだから。清水は、、、
ー食後のデザートないのかな?
まだ食べ物に夢中なようだ。素直に首を横に振ると、得意げな顔をして教えてくれた。
「それはねぇ.....ズバリ、恋バナよ!!!」
「恋バナ?!!!!!!」
先程まで部屋の隅で壁に徹していたメアリーが飛びついた。
「そう、恋バナ!ずっと気になってなんだよねぇ、なつめっち、彼氏と歴長いでしょ??」
「え、、ナツメ様には恋人が?!」
顔いっぱいに驚いた顔を浮かべるメアリーに一護がそうなんだよー隅に置けないよねぇなどと答えている。.....なぜ一護が答えるのか。解せぬ。
ー夏目さんの彼氏、、、気になるかも。
気づくとさっきまで食べ物に夢中だった清水も興味津々にこちらを向いている。
「.....恋バナ、したことなくて、何話せばいいか分かんない.....。」
俯き気味に答えると、一護がじゃあ私から話すねーと言った。
「イチゴ様にも恋人が?!わたし、、私まだ独身なのに、、、、。」悔しそうにメアリーが顔を歪める。それでも、恋バナはしたいらしく、気づいたら椅子に座っていた。あまりにナチュラルすぎて気づかなかった。
んふふ、と一護が微笑む。
「私のはねぇまだ片想いなんだ。一年前からずっとね。」
その言葉にメアリーがきゃーと歓声を上げつつ紅茶を淹れなおした。出来る侍女である。
「....うちのクラスメイト?片思い相手って...」
清水の問いに一護はにや〜っといたずらっ子のような顔をした。
「みんなも知ってるよぉ、......白木くんなの」
最後の言葉は小さな囁き声となってテーブルに落ちた。顔を桃色に染めた一護に、それ以上に目をキラキラさせるメアリー。清水は気づかなかった、と言葉を溢し、夜はなんとなく頷いた。
「あれー、もしかしてなつめっち気づいてたぁ?バレてない自信あったんだけどなー。」
そう言いながら肩をすくめる一護はしかし、嬉しそうな顔を見せた。
「ね、私話したから次なつめっちの番。出会い教えてよー。どうやったらあんなイケメン君捕まえられるの?」
みんなの期待の視線が夜に刺さる。夜は堪忍して口を開けた。
「龍.....龍太郎は幼馴染なの。家が近くて、いつも私のこと助けようとしてくれた。本人は全然守れてないっていっつも言ってるんだけど、私にとって龍太郎の存在そのものがお守りみたいなんだ。」
虐待の話はうまく避けて話すと皆すんなりその話を受け入れた。メアリーの表情は夢心地そのものである。
「いいですねぇ。幼馴染との恋!それじゃあ王太子なんか入る隙もありませんね。」
冗談めかしてそう言ったメアリーに清水が問いかけた。
「前から思ってたけど、もしかしてこの世界に召喚された人ってみんなこの世界の人と結婚してるの?」
食べ物ばかりを脳に支配されているとは思えない流暢さである。
メアリーはええ、と答えて話し始めた。
思ったより長引いてしまったので、女子会延長です...。




