10 訓練開始
翌朝、なんとかメアリーに歌姫でなく、夏目と呼ばせることに成功した夜はそこで改めて考えを巡らせた。
(歌姫ってなんだ.....?歌とかあんまり歌わないんだけど)
考えてわからない物は調べるに限る。広い王宮だ。図書館の一つや二つあるだろう。
「メアリー、図書館とかってどこにあるの?」
そう尋ねると、メアリーは快く教えてくれた。
「こことは別の棟にございますよ。しかし、行くのはもう少し後がよろしいかと。」
なんで?と聞こうとする前にその理由がわかった。
(今日からやるのか、訓練とか言うやつ。)
「本日から魔法の訓練がございますからね、ささ、支度して参りましょう。」そう言うと、未だ寝巻き姿の夜を早業の如く着替えさせ、髪を結い上げた。
メイクはどうするのかと思っていたところ、
ー昨日のメイクは濃すぎるわね、もっと薄くて十分だわ。
という感じでこの世界ではギャルメイクは不評のようだ。まあそんなことは関係ない。自由にやりたいことをやる夜は、自分の持っていたメイク道具を駆使して昨日には劣るがギャルギャルさせた。
メアリーは相変わらず不満一杯だったが文句はつけなかった。
そんなこんなで訓練場と言われる場所に連れて行かれた夜は、そこに他4名の姿を確認した。
ーあれ、夏目さんなんか違うような...?
という黒井の直感に一護がすかさず答えを言った。
「夏目っち!今日はギャル薄めだねー?」
ーそっか、ちょっとメイク薄いんだ。と清水。そんなに気になるか?メイクが。
「うん、まあね笑」と曖昧に答えておく。メイク好きの一護は興味津々な顔をしてこちらを伺っている。昨日の黒井並に心の声が騒がしい。
そこに宮廷魔法使いのユルグが歩いてきた。
「よし、お前ら。手を的にむけて、なんでもいい。唱えてみろ。」
突然の指示に一瞬ぽかーんとしたが黒井が構えるとみんなもハッとして構えた。
ーやっぱ定番はこれだよな!「ファイアーボール!」
黒井の声と共に掌からバレーボール大の炎が現れ、放たれた。真っ直ぐに的に向かっていった炎はそのまま的を焦がした。
「「「おおー!!」」」 3人の声が重なり、自分たちも!と各々が呪文のようなものを口にする。
ー俺の適性は、火と風だから.....「ウィンドカッター的な?」
白木の雑な言葉にも魔法は応え、的は真っ二つに切断された。
「水って何がいいのかなー?」という一護の独り言に黒井が答えた。
「ウォーターボールとかが定番じゃないか?!」
「ウォーターボール?水の球って感じかなぁ」
最初は水がちょろっと出ただけだったが、水の球と一護が言った途端水は丸くなり的を濡らした。
ーイメージが大事っぽいな...木...木「木っ端微塵!」
木でできていた的は内側から文字通り木っ端微塵になった。
「君、いい感性持ってるね!!」清水の魔法を見てようやく声を上げたユルグ。
ーあいつ.....清水さん贔屓だな...。
ここに来て初めてみんな(夜含め)の考えが揃った。
最後まで残った夜は自分の適性魔法を思い出す。
(私は空間魔法とかあったっけな)
そう思い、的の空間が消える想像をした.....途端、的が一瞬で消えた。
皆一様に驚いた顔をしている。開口一番、黒井が目をキラキラさせながら叫んだ。
「え、夏目さん今なんも言ってないよね?!やばー!!!」
黒井と同じことを他の3人も思っているようだ。そしてユルグは.....
「ナツメ.....君は居残り。他は俺の部下のとこで引き続き魔法教わってくれ。シミズ、案内しといて。あ、残りの魔力量ちゃんと気をつけろよー。」
じゃ、解散というとユルグは夜の肩に手を置いた。その瞬間、夜たちはもうその場にはいなかった。
ブクマなどの数を確認できるところ、ようやく見つけまして....。ブクマされてた!嬉しい!!
ありがとうございます!!!




