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召喚されましたが、帰ります  作者: 犬田黒
序章
1/73

プロローグ

初投稿です。よかったら楽しんでいってください。

 夏目夜なつめよるは物心ついた頃から耳が良かった。いや、正確に言えば()()()が聞こえた。本人は当たり前のものと思っていたので、この力が非凡なものだと気づくのに5年ほどかかった。

 

 この力のおかげで母には随分と疎まれたものだが、彼女にとっては役に立つものだった。何せ、母の奔放な恋に振り回され散々嫌な目に合ってきたからだ。

 

 最初の父親は暴力、2人目も同様に、3人目にしてまともなのが来たと思ったら酒を飲んで暴力を振るう奴だった。暴力まみれである。そんな男を捕まえる母もここまで来ると一種の才能である。

 

 こんな状況でも夜が捻くれず育ったのは自分より幼い弟妹守るのに必死だったからだろう。両親の心の声を聞いて機嫌を読み、まずい時には弟妹をクローゼットに隠し、またある時は父から放たれる拳から身を呈して守った。

 

 そんなこんなで他の女子より随分心も体も傷つき、強くあろうとした夜は実際他から見ても強くたくましく育った。高校に上がる頃には髪を染め、ピアスも開けてメイクもばちばちにすることで周りから距離を置かれるようにした。

 

 治るだろうと勝手に思っていた夜の能力は止まるところを知らず、半径1キロ圏内の心の声は聞こえてくるし、なんなら動物の考えまで伝わってくる。休む暇もないが、唯一夜が一緒にいて休める人がいた。幼馴染の龍太郎である。

 

 とても寡黙な少年で心の中まで静かである。夜は龍太郎の心の声をはっきり聞いたことはない。だが、感情はうっすら伝わってきてそこに卑しいものは一切なかった。男には懲り懲りだが、夜は龍太郎にだけは気を許している。いつか結婚できたらなーと思うくらいには。


 学校帰り、いつものように龍太郎と歩く。目の前にはクラスメイトたちがふざけ合いながら歩いている。

 光に呑まれたのはその瞬間だった。

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