表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/29

第18話 誰がお兄ちゃんだ

 注文したアボカド料理は意外にもおいしかった。水野を見ると苦渋の表情を浮かべながら食べている。


「おい、何だよその顔」

「はあ? 何が?」


 水野は涙目で俺を睨みつけた。


「お前、全然おいしそうに食べてないじゃん」

「そりゃそうよ。だって私、アボカド苦手だもん」


 水野の言葉に、俺は握っていたスプーンを落としそうになる。


「じゃあ、なんでアボカド料理注文したんだよ」


 水野はアボカド料理と格闘しながらこう言った。


「アランのオマージュ作品を作るのよ。彼が大好物の物だったら、食べないと彼の気持ちが理解できないじゃない」

「お前、そこまでするのか? これは仕事じゃなくてただのセ……、俺のわがままなのに」


 正しくはセーラのわがままだが。


「……俺の?」


 水野は手を止め、じっと俺を見つめた。


「あなただけじゃなくて、私たちのわがままでしょ? 私だって、アランとエドガーの幸せな姿が見たいしね。だから、本気でやるわよ」


 そう言って水野は涙目でアボカド料理を再び食べ始めた。俺はため息を吐いた。


 はあ、水野もどこかの美少年オタク幽霊と同じくらい頑固な奴だ。


「無理するなよ」

「む、無理なんかしてないわよ」

「そこまで食べたらもう充分じゃね?」


 水野は料理を七割ほど食べ終わっていた。


「何としても食べ切ってみせるわ。私、出された物は残したくないし」


 真面目な奴だな。


「ちょっとお願いがあるんだけど」

「お願い?」


 水野は上目遣いで俺を見つめた。


「応援して」

「えっ?」


 ポカンとしている俺に、水野は口を尖らせる。


「お兄ちゃんなら応援してくれるもん」


 もんじゃないだろ、水野さん。


「俺はお前のお兄ちゃんじゃない」


 何を言い出すかと思えば。どんだけ兄貴が好きなんだこいつは。


「お兄ちゃんは、レイちゃん頑張れ、レイちゃんならできるって言ってくれるもん」

「言わねえからな」


 そう言うと、水野は残念そうにがっくりと肩を落とした。


「わかったわよ……言ってみただけだから。チッ」


 あからさまに残念そうにしている水野。というか今、舌打ちしたよな? まあ、むかつくけどしかたねえな。元はと言えば俺がこいつを巻き込んだわけだし。


「……レイちゃんがんばれ」


 俺がそう言うと、水野は目を見開いた。


「これでいいのか?」


 俺が尋ねると、水野は嬉しそうにコクコクと頷いた。


「うん! ありがとう、お兄ちゃん!」

「……だ、誰がお兄ちゃんだ」


 満面の笑みを浮かべた水野に不覚ながらもドキッとしてしまった。


 くそ、悔しい。


お読みくださり、ありがとうございます。


「面白かった!」「続きが気になる!」


と思ったら、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、面白くなかったら星1つなど。


ブックマークもいただけると励みになります。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ