第11話 幼なじみって奴は厄介だ
「どうして私に呼び出されたのかわかる?」
放課後、俺はさゆり姉ちゃんに呼び出され、教室に居残りをさせられていた。
「……わからない」
「水野さんのことよ」
「なんでだよ。俺はただ水野の前の席に座ってるだけだぞ」
さゆり姉ちゃんは一枚の紙を見せた。
「私の机の上にね、これが置かれていたの。そこには『水野レイが来なくなったのは黒田誠太郎が関係している』と書いてあったわ」
あのとき、視聴覚室には俺と水野以外いなかった。いや、もう一人いた。
俺はさゆり姉ちゃんの横に立っているセーラを睨みつける。セーラは俺の視線に気づき、顔をそらした。このちくり幽霊め……。
「何か心当たりがあるんじゃないの?」
さゆり姉ちゃんは俺の顔をじっと覗き込んだ。
落ち着くんだ、俺。あれは学校にエロ小説を持ってきていた水野が悪いんだ。俺に全く非はない。ここはクールにやり過ごすんだ。
「べ、べべ、別に。な、なな、何もないよ」
「本当に? その割にはしどろもどろのようだけど?」
さらに顔を近づけてくるさゆり姉ちゃん。
ま、まずい! なんとか誤魔化さなければ!
「姉ちゃんは俺よりその紙切れを信じるのかよ!」
「信じたいけど、セイちゃんと水野さんよくけんかしてたじゃない?」
さゆり姉ちゃんはじろーっと俺を見つめた。その目は「早く吐け」と言わんばかりだ。何が信じたいだ。百パーセント信じてないだろ。
「そのときに言いすぎたってことはないの?」
俺はポリっと頬をかく。
「まあ? ちょっとけんかして、俺が言い過ぎたことが少しは関係しているかもしれないけど」
「何がけんかの理由?」
俺は水野の涙目になった顔を思い出す。
「それはちょっと。個人のプライバシーに関わることなんで」
さゆり姉ちゃんはため息をついた後、一枚の紙を俺に見せた。
「なにこれ」
「水野さんちの住所。セイちゃん、行ってきなさい」
「はあ!? なんで俺が!」
俺はガタンッと椅子を鳴らして立ち上がる。
「けんかしたならちゃんと仲直りしてきなさい。それにね……」
さゆり姉ちゃんはダンッと机を叩く。
「このまま水野さんが不登校になったら、私の担任としての評価が下がるでしょう!」
「また自分のためかよ!」
俺がそう非難すると、さゆり姉ちゃんはとんでもないことを言い出した。
「うるさいわね! 行かないなら、セイちゃんの恥ずかしい過去を校内放送してくるわよ!?」
さゆり姉ちゃんが睨みを利かせてそう怒鳴った途端、俺の額にはかなりの量の汗が滲んだ。
「ぐっ……、卑怯だぞ」
そんなことされたら俺が今まで築き上げてきたイメージが壊れてしまう……。
「なんとでもいいなさいな! さあ、行くの? 行かないの?」
ジットリと睨むさゆり姉ちゃんの瞳。俺はワナワナと拳を握りしめた。
本当、幼なじみって奴は厄介だ。
俺はさゆり姉ちゃんから紙を乱暴に奪い取った。
「……行けば、行けばいいんだろ!」
そう言うと、さゆり姉ちゃんはニコッと笑顔になった。
「うふふ。素直なセイちゃん大好き♡」
何が大好きだ。この腹黒教師め。
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