『愚者である前に』
『愚者である前に』
㈠
愚者であることは、先天的か後天的か分からないが、それにしても、悪いことではないだろう。現に俺だって、他者から見れば、愚者であるかもしれない。それは分からない、ただ、愚者である前に、愚者にはならないでおこうという努力はできる。
㈡
俺自身が俺自身を愚者だと見定めれば、それは確かに愚者なんだろうが、別に自慢するようなことでもない。しかし何か、愚者って、カッコよくないか、と思うのだ。フール、とも呼ばれるこの愚者は、実に単なるカッコよさである。
㈢
だから、愚者になる前に、愚者になろうとしなければよいし、何なら、愚者である前に、愚者に憧れ、愚者になることだってできる、と言う訳である。であるからして、愚者とは、とても自由な存在だ、ということなのである。