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恋に勝ちも負けもない! ~婚約者との冷えた関係に疲れてペットに癒しを求めたら、実はそのウサギが王太子だったようです~

作者: 咲倉 未来

「エミリア、あなたは充分に努力していると分かってるわ。でも、ねぇ――」


 褒め言葉は、次にいおうとしている小言の威力を和らげるためのクッションだ。


「あなた達をみているとね、婚約者同士の仲を深める努力が、もう少し必要だと思うのよ」


 王妃は、王太子であるアルベルトと婚約者であるエミリアの仲が良くないことを諭したくて仕方がないようだ。

 こういったデリケートな話は、信頼関係が適切に培われていたとしても少々気まずい。

 流れはじめた重苦しい空気を察した王妃は、ふたたびエミリアを褒めだした。


「エミリアの作法や振る舞いは完璧よ。わたくしは、あなたの伯母ですが、王妃でもあります。そこは身内だからと贔屓はしませんから、安心してください」


 エミリアの母親は王妃の妹だ。彼女が幼少のころに両親は不慮の事故で亡くなっている。

 修道院に預けられていたエミリアを引き取り、王太子の婚約者に据えたのは他ならぬ王妃の計らいであった。

 ゆえに、どうしてもうまくいってくれないと困る。――というのは、よく理解できた。


「王妃様のご期待に沿えるよう、努力します」

「ごめんなさいねぇ。わたくしの息子が魔物討伐にばかり精をだすせいで、あなたにばかり負担を掛けてしまって」


(息子には身内の贔屓が効いてしまうようですね。王妃様)


 両親の死後、お世話になったので感謝も尊敬の念もある。けれど婚約者の件に関してだけは、話題にあがるたび反論と悪口が心の中で渦巻くのだ。


「エミリアは、魔物討伐にも同行しているのよね。あの子が怪我したら手当てしてあげるのよ」

「ハイ」

(アルベルト殿下は強すぎて、怪我も病気もしたことないの知ってますよね。王妃様)


「一緒に前線に立って守ってもらうのも、感動的なんじゃないかしら」

「ハイ」

(魔物討伐は仕事ですので、それはとっても迷惑です。王妃様)


「挨拶をするときに、少し話をふって気を引くとか」

「ハイ、今度試してみます」

(昔、話を続けようとしたら舌打ちされました。王妃様)


 全部笑顔で吞みこんだことは賞賛に値する。エミリアは自らを褒めたたえて気持ちを保たせていた。


 もう何年も王太子からは見向きもされていない。彼は、ほかに気になる令嬢がいるわけではなく、本当に武術と魔物討伐に夢中なのだ。


(困りましたね。どうしたらいいのでしょうか――)


 嫌われないよう努力していたら仲の冷え切った間柄といわれるなんて、と肩を落とした。



 部屋に戻ると、小さな客人がベッドの上にちょこんと座っていた。


「あら、ウサギさん。また来てくれたのね」


 まんまるの目に、両手から少しはみ出すくらいの小さな体。人懐っこい性格なので、誰かのペットとして可愛がられていて、主人が不在のときに散歩をしているのだろうと想像がついた。


「今クッキーをだすわね。あとは温めの紅茶。――ふふ、普通のウサギさんは野菜と水を好むと思うけど、あなたは違うのよね」


 初めてきたときに出したら、プイッとそっぽを向いたあと、机に飛び乗ってエミリアのおやつをカリカリと食べだしたのだ。

 きっと普通のウサギではなく、魔物をペット用に改良したものなのだろう。

 クッキーを差し出すと、ウサギは器用に前足で受け取り座って食べはじめる。


「可愛い! 癒される‼」


 先程までのウツウツとした気分は、綺麗さっぱり消えていた。


「いいなぁ。私もペットを飼おうかしら」


 王妃との憂鬱な茶会の後には、こういった癒しが必要な気がする。

 独り言を聞いていたウサギの耳がピンと立ち、エミリアの膝の上に飛び移ってきた。頭をグリグリ撫でつけて甘えるような仕草を繰り返している。


「どうしたの?」

「クゥ! クゥ!」

「次は紅茶かしら。ちょっとまってね。――だいぶ冷めたからきっと大丈夫」


 顔の近くまでカップを持っていったが、ウサギはプイッと横を向いた。


「違うのね」


 小さな体を撫でて、なんだろうと思案するのも楽しい。


「あなたの飼い主さんが分かったら、譲ってもらえるようお願いしたいくらいだわ」

「クゥ!」


 タイミングの合った返事は、なんとなく同意してくれている気がしてしまい、笑いを誘う。

 束の間の優しい時間は、あっというまに過ぎていった。


 ◇◆◇◆


「やっと戻ってきた。いい加減にしてくださいよ。アルベルト殿下!」

「おい、カイン。もっと長く変身していられる薬を今すぐ作れ」

「はぁ? この薬すっげー難しいんですけど。邸ひとつ買えるくらいの価値があるんですけど!」


 ウサギから人間へと戻ったアルベルトがいきなり無茶難題をぶつけてきたことに、側近のカインは苛立った。


「年下のくせに反論するとは生意気な奴だ。いいから作れ」

「年下ってバカにするな。最年少筆頭魔術師だぞ! ついでに、しっかり者だから殿下のお目付け役にまでされてんの!」


「己が優秀だとほざく暇があったら、結果で証明しろ」


 不遜(ふそん)、ワガママ、横柄(おうへい)横暴(おうぼう)。けれど国を守る魔物討伐は一切妥協しない。身分に関わらず人々と接するため、人望と人気がある。


「はぁ~。人使いが荒い。そんなに長く変身して婚約者に会って、なにが楽しいんですか?」


 文句を垂れているカインの手元は、改良の魔法術式がいくつも書き記されていく。


「好きな子と会うなら断然人間のほうが便利でしょ。イロイロできるし」


 主にキスとかその先が。年頃の男子であるカインの脳内は、ピンク色の世界を描いている。


「ずっと関わってこなかったのに、急にアレコレしたら相手が驚くだろう」

「いや、それは殿下が悪いんだから、謝って仲よくすればいいだけでしょ」

「それが問題なんだ。――謝ることは、したくない」


 魔法術式を書いていたカインの手が、ピタリと止まる。

 そういえば、この人って。


「今まで謝ったこと、ないですもんね」


 カインの大切な杖を折ったとき、折れるような杖が悪いといって謝罪なし。


 本を水で濡らしてダメにしたときも、ここに置いていたカインが悪いといって謝罪なし。


 魔物討伐でしくじった殿下を庇って怪我をしたときは、働きを褒められはしたが、失態を詫びる姿勢はまったくみせなかった。


「謝ったら立場が悪くなる。俺はエミリアに、王妃のようになってほしくはないからな」


 アルベルト同様に文武に長けた屈強な体躯の持ち主である国王は、王妃にはめっぽう弱い。

 すぐに折れて機嫌取りをする国王の姿は情けなく、言い負かす王妃のことが、アルベルトは嫌で仕方ないのだ。


「俺は勝ってエミリアとの仲を深めるために、ウサギになって偵察にいっているんだ」


 ふんぞり返って自信満々に言う姿に、カインは深い溜息をついた。

 説得するのは無理であり、一度いいだしたらテコでも動かないのは昔からの付き合いなので、嫌というほど体に染みついている。


「エミリアさんに勝つねぇ。まぁ変なことにならないといいですけど」


 カインからの遠回しの忠告を笑い飛ばしたアルベルトは、薬の改良を迫ったのだった。



 ◇◆◇◆



 国境を跨いで連なる山脈は魔物が多く生息している。なにもしなければ魔物が降りてくるため、定期的に討伐が必要とされている。


「――でやぁぁ!!」


 先頭をいく討伐部隊のなかで紅一点。公爵家令嬢のレイチェルが、拳に魔法を纏わせた一撃を繰りだす。

 煩わしいゴブリンたちを突破し、後方にいたホブゴブリンには二発連続で攻撃を命中させた。


「でかした、レイチェル。全員回り込んで仕留めにかかれ!」


 アルベルトの号令で、兵士が勢いよく前進。あっというまに魔物側の陣形が崩れていき、負けを悟ったゴブリンたちは次々に森へと逃げていく。


「一匹も逃すものかぁ!」


 魔物討伐では毎度鬼神の如く暴れまわる王太子が、今日は普段以上の殺気をまとい魔物を切り倒していく。

 味方勢が、若干引くほどに勢いがある。


「やだ、素敵! カッコイイ‼」


 先陣を買ってでるほど豪傑(ごうけつ)なレイチェルは、アルベルトの雄姿に歓声をあげた。


「あー、なんか張り切っちゃって。イヤな予感がする」


 連日の魔法薬改良に追われて目の下に隈を浮べたカインは、疲れた体に鞭打って、防衛魔法を唱えながら、前進するアルベルトを追いかけていった。




 深追いをしたせいで戦いは長引き、傷ついた兵士たちは、後方に設営された陣営へと足を運ぶ。


「少し染みますが、我慢してくださいね」


 手伝いで同行していたエミリアは、いつもの倍の人数の手当てに目を回してた。


「この程度、へっちゃらですよ。――イテテッ」


 致命傷となる怪我を負った者はいない。軽い切り傷や擦り傷が多いので手当も難しくはない。

 それでも人数という数の暴力で攻め込まれれば、陣営内の忙しさは戦場のようになっていった。


「はい、よく頑張りましたね」

「ありがとうございます」


 手際よく済ませていき、治療待ちの人数が落ち着いてきたころ。


「手当を頼む」

「アルベルト殿下!?」


 無敗の王者と称えられる王太子が、ゴブリンごときに怪我を負わされた? 理解できない不安は恐怖に変わり、その場にいた屈強な兵士たちを戦慄させた。


「手の甲を少し、な」


 彼の手には、擦り傷が少しだけあり血が滲んでいる。


 傷の浅さに、その場の全員が、手当いるか? とツッコみたかった。


「……ハイ。今手当てしますね」


 エミリアだけは、長年培った本音を吞みこむスキルを発動したようで、いつも通りの応答をしている。

 汚れを拭くため、お湯で濡らした布で優しく傷口を清め、傷の炎症を抑える塗り薬を指先に少し取り、少し染みますが我慢してくださいねと声を掛けて、アルベルトの大きな手に触れて傷口に薬を塗り込んでいく。

 相手がアルベルトであることを意識してしまい、エミリアは緊張で手が震えるのが恥ずかしくて俯いた。


「あの、痛くはないですか?」

「ああ、大丈夫だ。手際がいいな」


 褒められて思わず顔をあげると、目を細めて優しく笑うアルベルトがいた。


「ハイ」


 はじめて自分をみてもらえた気がした。

 好意すら感じる。

 勘違いかと思い直したが、肌を撫でる優しい空気が気持ちを肯定した。


 その空気は本物で、居合わせた誰もが我に返って、静かにテントを去っていった。


「あの、これで手当ては終わり――」

「はぁ~? こーんな切り傷に仰々しい手当して、アルベルト殿下の株がさがるじゃない!」


 なかなか戻ってこないアルベルトに痺れを切らしたレイチェルが迎えにきたようだ。テントで、ふたりがのんびりと手当をする姿をみて、腹を立ててもいるようだった。


「レイチェル、お前、黙って入ってくるなよ」


「テントにノックするバカいないわよ。それより傷。気になるなら私が魔法で治してあげるっていったじゃん!」


 手当の終わった腕を勢いよく掴むふりをして、レイチェルは豊満な体をアルベルトの背中に押し付けた。


「レイチェル、軽率な振る舞いをしていると注意を受けるよ」


 一緒に入ってきていたカインが、慌てた様子でレイチェルを引き剝がす。


「もう、いっつも私に付いてきて邪魔しないでよ!」

「僕は殿下の側付きなんです。ここへ来るのは必然です!」


 幼馴染のアルベルトとレイチェル、幼い頃から王太子の側仕えになったカインたちは気心知れた仲なのだ。

 討伐のたびにエミリアは思い知らされる。三人の間柄は特別で、混ざることはできないのだと。


「アルベルト殿下、まだ片付けが残っていますから、早く戻ってくださいね」

「わかったよ、レイチェル。すぐ行く。ふたりとも先に行っていてくれ」


 彼らが立ち去ると、テントの中はエミリアとアルベルトのふたりきりになっていた。


「――すみません、気が回らなくて」


 些細な切り傷に包帯を巻き、仰々しい手当をしたことを気にしたエミリアは謝罪をした。


「いや、手当を頼んだのは俺だ。エミリアは悪くない」

「包帯、取りますね」

「いや、必要ない」

「でも、魔法ですぐに治したほうが――」

「いいんだ。これで。――それより、エミリアに渡したいものがある」


 アルベルトにいわれた通りに両手をだすと、青や緑、紫色の魔石が置かれた。


「あの、これは」

「今日の魔物討伐で手に入った魔石だ。質が良いから装飾品にちょうどいい」

「――あ、ありがとうございます」

「戻ったら、好みのものを作らせよう」


 ふたたび震えだした指先を誤魔化すように、宝石を握るように持ち直した。

 装飾品を作ろうと提案されるなんて、はじめてだ。

 嬉しかったが、それよりも気になることがある。


「ど、どうしてこの色を?」


「エミリアが好きな色だろう。それくらい知っている。――婚約者だからな」


 色白で華奢なエミリアは、王妃の好みで赤やピンク、オレンジに黄色といった春色のドレスをよく着ている。そのせいでエミリアの好みは、明るい暖かい色だと思っている者が多い。

 別に暖かい色は嫌いではないし、好みの色を聞かれる機会もないので話したこともない。

 知っている人がいることは意外であり、相手がアルベルトであることに驚いた。


「――嬉しいです」

「ああ。また後でな」



 テントからでたアルベルトは、心のなかで咆哮をあげ、勝機を確信していた。

 やはりウサギに化けて彼女のことを調べたのは正解だった。遠かった距離もぐっと近くなり、不義理すら無かったことにできそうである。


(もっと長く一緒に過ごして、エミリアのことを知りたい)


 そのためには、疲労困憊のカインに薬を仕上げさせねばならないと、アルベルトは意気込んだ。



 ◇◆◇◆



「やっとできたのか」

「めちゃくちゃ頑張ったのに、待たされたように言うのやめてくれます!?」


 何日も床で仮眠を取る生活に身を投じて薬を開発したカインは、ゾンビのような顔でアルベルトの態度を咎めた。


「お前なら、もっと早く作れると思ったんだがな」

「根拠ない見積もりと、期待していたのにって相手を悪く下げる言い方やめてもらえますか。腹立つんで」


 身も心も荒んだ筆頭魔法師は、相手が王太子でも遠慮なく悪態をついている。


「よし。明日はこれを使ってエミリアのところに行ってくる。その間、俺は体調不良で部屋に籠ることにするから、お前はバレないように留守番をしておけ」

「はぁぁぁぁ!?」

「どうせ徹夜明けで寝て過ごすんだろう。俺の部屋で寝ていればいい」

「――ああ、そういう話ですか。まぁ、それなら、ハイ」


 横暴で傍若無人だが、思いやりがないわけではない。バランスが絶妙なせいか憎めないのである。



 翌日、病魔すら裸足で逃げだす健康優良児と名高い王太子が寝込んだという話は、すぐに城内へと広まった。

 アルベルトが寝てれば治るといって面会謝絶にしたため、困った侍女と宮廷医師が国王と王妃に相談するも、お腹がすいたら出てくるだろうと一蹴されて終わったらしい。


「え~、すごいチャンス到来だわ」


 指で毛先を弄びながら、レイチェルはにんまりと笑う。

 弱ったアルベルトの看病をするために部屋へいき、魔法でさっと治療して恩を売り、婚約者に納まる計画を瞬時に立てた。


「私に相応しいのはアルベルト殿下だけですもの。絶対にこのチャンスをものにするわよ!」


 持っている公爵家のツテとコネをフルに使い、その日の午後に王太子の部屋へと向かった。



 ◇◆◇◆



 朝、目を覚ましたエミリアは、部屋で飛び跳ねているウサギに驚いてベッドから飛び起きた。


「ウサギさん、今日はすごく早いのね!」


 部屋に常備するようになったクッキー缶から数枚とりだして皿に載せたあと、慌てて身支度をする。

 戻ってくると、ウサギはクッキーでなく小物入れに入っていた魔石に興味を向けていた。


「ウサギさん、それは大切な人から貰ったものだから食べないで!」

「クゥ!」


 魔物なら魔石を食べる場合もある。エミリアは引き出しの中へと魔石を隠した。

(魔石に興味を持つなんて、この子は一体…?)

 足元をグルグルと飛び回るウサギの正体がちょっとだけ気になって、抱き上げた時だった。


 ――コン、コン、コン、コン


「失礼します。急遽魔物討伐の命が下りました。前入りし準備を整えておくようにとのご命令です」


 兵士の伝言にエミリアは驚いた。魔物討伐を欠かさないおかげで国の治安は良好なはずだ。だとすれば討伐計画のどこかに見落としがあったのだろうか。そうであれば一刻も早く対応しなければならない。


「急ですね。すぐに支度します」


 念のためにと常に討伐用の荷物は準備をしてある。ローブをかぶりショルダーをさげたエミリアは部屋をでる前にウサギに話し掛けた。


「ごめんなさい。私は仕事が入ってしまったの。また今度遊びにきてね」



 扉に鍵をかけずに行ってしまったエミリアを、ウサギは走って追いかけた。


(そんな話は聞いていない。一体なにが起こっているんだ?)


 人の姿であったなら、兵士を捕まえて尋問できるのに。ウサギの姿ではなにもできない。

 走って走って飛び跳ねて、どうにかエミリアのショルダーバッグにしがみついた。





「ウサギさん、もうすぐ着くからバッグに入っていてね」


 馬車に乗ってすぐウサギがいることに気付いたが、御者がせかすので戻ってほしいとも言い出せずに一緒に連れてきてしまった。


 それにしても、この討伐、どうも様子がおかしいことは、エミリアも薄々感じはじめていた。

 まず、エミリア以外の討伐部隊が誰もいないのだ。

 先程、逃げ出そうかと扉に手を掛けたのだが、外から鍵が掛かっていて非常用の内鍵だけでは、開かないようになっていた。


「王家の紋章が入っていたから、誘拐、とかじゃないはずだけど……」


 募る不安は、到着した先で一蹴された。


「私が昔預けられていた教会だわ」


 なら、この周辺で魔物が出没したのだろうか。お世話になった教会の危機に、エミリアは気を引き締めて仕事に取り掛かることにした。



「こちらになります」


 連れていかれたのは教会の奥だった。案内役もすれ違うシスターも、エミリアが昔お世話になっていたときには働いていなかった顔ぶれが多い。

 石畳の簡素な部屋で待っつようにいわれて、違和感をもったエミリアが思わず問い掛ける。


「魔物がでた場所へ案内してください。事と次第によっては、今すぐに援軍を要請しないと間に合わなくなりますから」


「――なにも聞かされずに、ここへいらしたのですか?」


「はい?」


 中年のシスターは、まるで憐れむような視線をよこして、エミリアに教えてくれた。


「王太子殿下の婚約者交代があるから、あなたはここに戻されたのですよ」


「……え?」


「ほとぼりが冷めるまでは、教会で静かな暮らしをお約束いたします」


 言い終わると、部屋をでたシスターは扉に錠で鍵をかけて行ってしまった。

 見回した部屋には、生活に必要な一通りが揃っており、壁には配膳用の小さな扉までついている。

 慌てて扉のドアノブを力いっぱいにひっぱったが、びくともしない。

 誰か来るように叫んで扉を乱暴に叩いても、足音ひとつ鳴りはしなかった。


「ウソ、でしょ――」


 嘘である。先ほどから足元ではウサギに化けたアルベルトが、力いっぱいに違う違うと叫んでいる。


「クゥ! クゥ! クゥ!」


 まったく伝わらないし、絶望して混乱したエミリアはウサギのことなど忘れていた。


「どう、して。――なん、で――」


 エミリアの顔がくしゃくしゃに歪み、目から大粒の涙がこぼれだす。


「だって、石の――色、作ろうって――婚約者って――」


 幸せだったあの瞬間が、嘘だった。


「っ――う、うぅ…‥ひっく。イヤだよう。ヤダぁぁ――。うぅ」


 嗚咽と悲鳴をあげるエミリアが、よろよろと床に蹲って泣いている。



(どうして、俺は――)


 周囲を走り回って、体を揺すって、クゥクゥ鳴いて、慰めようと頑張っていた。


(どうして、俺は、ウサギになって会いにいってしまったんだ!)


 こんな姿じゃ、なんにもできない。

 違うと訂正することも。慰めることも。抱きしめることも。助けることすらできはしない。


(――素直に謝ればよかった。きっと許してくれたし、喜んでくれたかもしれない)


 引き離されることに心を痛めて泣き崩れる姿からは、どれほど愛されていたのかが分かる。


(ちゃんと伝えていれば、こんなに悲しませることもなかったのに――)


 何時間も泣き続けて疲れて寝入ってしまったエミリアに、ウサギはそっと体を寄せて、元に戻る時を待った。



 ◇◆◇◆



 王太子の寝室前。

 一向に部屋からでてくる様子のないアルベルトを、仁王立ちしたレイチェルが待ち構えている。

 婚約者であるエミリアを遠ざけるところまでは上手く事が運んだのに、肝心のアルベルトに接触できない。


「朝も昼も食事すら摂らないなんて、あの食欲魔人がありえないわ!」


 本当は重症なのかとも考えたが、なら直ぐに医者を呼ぶはずである。食事を忘れて他事に夢中になっているとしか思えなかった。


「ふっ。この私にかかれば、壁などあってないようなもの!」


 ついに待ちきれなくなったレイチェルは、構えた拳に魔力を込めて全力で繰りだした。


「うらぁぁぁ!!」


 ドン! という破壊音とともに、壁に大きな穴が空いた。


「きゃああああああ!」

「大丈夫、私よ! ――て、あなたは!」

「きゃあああああ――、ってレイチェル、どうしてここに?」


 悲鳴をあげていたカインは、我に返って壁を壊して入ってきたレイチェルに事情を聞こうとしたのだが。


「それはこっちのセリフよ、カイン。なんで王太子のベッドで寝てんのよ!」

「え、あっ!」

「アルベルトをどこにやったのよ。まさか王太子を廃して代るつもりじゃないでしょうね!」


 アルベルトの従弟にあたるカインは、一応は王位継承権を持っている。レイチェルの指摘にカインの顔色は真っ青になった。


「違う違う違う。これはアルベルト殿下から頼まれて――」

「どこの世界に、部下に自分のベッドで寝ろだなんて命じる主がいるのよ!」

「……ですよね~」


 弁解が思い浮かばない。カインは、早々に取り繕うのをやめた。


「で、なにしてたの。アルベルト殿下はどこ?」

「それは、ちょっと言えませんね」


 レイチェルも怖いが、アルベルトはもっと怖い。

 どっちにボコられるか選ぶなら断然レイチェルにする。いや、その前に逃げるという選択肢がほしい。


「どういうこと。あんた年長者に逆らう気?」


(え~ん、怖い! だれか爆音に気付いて助けに来て。――はっ!)


 先程から様子を見に来る兵士の気配すらない。そしてカインは思い出した。

 王太子のベッドで安眠を貪るために、部屋周辺へ防音魔法を掛けていたことを。


「さぁ、今すぐ白状なさい」

「やだ、ヤダヤダヤダ。だれか助けてー‼」


 慌てて防音魔法を解除したことで異変を察知した兵士が駆けつけてきた。ついに王太子が行方不明であることが城中にバレたのである。



 ◇◆◇◆



 明け方。

 周囲がゆっくりと明るくなってきたころ、アルベルトの体の輪郭がゆらぎ、大きく膨らんで人の形へと戻っていく。

 丸くなっていたエミリアを抱き上げると、華奢な体は石畳に体温を奪われて、ひどく冷たくなっていた。


「力加減を間違えたら、壊してしまいそうだ」


 大切に守ってあげるべき相手だった。勝ちたいと考えるなんて、どうかしていた。


「ごめん」


 冷えた体が少しでも温まるように、気を付けながら抱きしめる。

 閉じたまつげは濡れていて、まだ涙を流しているのが分かった。


「ごめん。全部、俺が悪い」


 幼少期は、引き合わされた婚約者よりも、剣を交えることへの興味が勝った。

 成長してもそれは変わらず、魔物討伐で仲間と過ごす時間がなによりも楽しかったのだ。

 それが、ある日突然、ほんとうに急に、エミリアの姿に目を奪われた。

 すぐに言えなかったのは、今更言い出しにくかったからだ。

 周囲から散々、婚約者を大切にしろと注意をされたのに、無視してきた。

 エミリアが、アルベルトに嫌われないよう振る舞っているのが分かり、好かれているのだと安心して、取り繕うことを優先させた。

 不義理な自分を誤魔化したくて、詮索することに躍起になった結果が、これだ。


「ごめん」


 エミリアが目覚めたら誤解を解いて、謝ろう。それから、素直に気持ちを伝えよう。



 ◇◆◇◆



 さて。

 王太子が行方不明と聞いて、当初は慌てる者がいなかった。


 なにせ煩い男である。居場所など、嫌でも伝わってくるだろうと誰もが思ったのだ。

 ところが、アルベルトはどこにも見当たらず、城中の兵たちはこぞって首を傾げている。


「アルベルト殿下が、誘拐? 相手は手練れの暗殺者だろうか――」

「バカ。あの殿下だぞ。最低でも一矢報いるだろいうし基本は返り討ちだ。そもそも狙う奴とかいないだろ」


 偵察の段階で依頼を受けちゃいけないってわかるはず。わからないような愚鈍が引き受けたのなら瞬殺されるはず。そう力説す兵士の話に、その場で聞いていた全員が頷いた。


 捜索はされているが、緊張感はあまりない。

 そうこうしているうちに、日が沈み夜になった。


「本当に、ウチの愚息はどこにいったのかしら、めずらしい」

「聞いてなくても連絡が入るような奴だからな。はてさて、どこにいったのやら」


 国王と王妃は、いまだ暢気な会話を繰り広げている。誰もアルベルトの安否は心配していない。


「これだけ静かだと、なにか企てをしているとしか思えんな」

「そうですね。早く見つけて阻止しないと。方々に迷惑が掛かってしまいますね」

「いえ、王妃様。殿下は少し遊びにでているだけでして。明日までには戻ってきます」


 未だに黙秘をしているカインが、一応大丈夫だとフォローを入れた。

 変身薬の効果がきれれば人に戻る。戻ればすぐに騒がしくするから居場所がわかるはずなのだ。


「カイン、アルベルト殿下の行き先を知ってるなら案内しなさいよ!」

「僕は留守番を頼まれただけで、行き先までは知りません」

「なにそれ。側近として無能すぎでしょ」

「悪口を面と向かって言わないで下さい!」


 王太子行方不明に関わっているカインと発見者のレイチェルは、国王と王妃と一緒にアルベルトの帰還を待った。


 そのまま朝日が昇り、いよいよ国中を探す命令をだすべきかと国王が考えだしたとき。


「たたた、大変です! 王太子殿下の居場所が分かりました。国外れの教会にいらっしゃったそうです!」


 転がり込んできた兵士が、ひと呼吸おいて大声をあげる。


「男子禁制の教会内にて、女性とご一緒だったとのことです‼」


 国王、王妃、カインにレイチェルが、揃って目を剥いた。





 エミリアを抱きかかえて城へ戻ったアルベルトは、そのまま誰の話も無視して自室へと直行した。

 王太子室の壁に大きな穴が空いており、一瞥をくれたあと、隣の王太子妃室の扉を開ける。

 ベッドの上にエミリアを降ろすと、困惑している彼女の頭を撫でて落ち着かせるように話し掛けた。


「少しの間、ここで待っていてくれ。体も休めておくように」

「あの、この部屋は――」

「王太子妃の部屋だ。俺の部屋と繋がっているが、そっちに行ってはいけない」

「王太子妃、室……」


 婚約者の肩書しかないエミリアは、この部屋の存在自体知らされてはいなかった。


「城内の安全がわかるまでは、ここで一緒に暮らそう」

「一緒に、暮らす……」

「なにか必要なものがあれば俺が運ぶ。遠慮せずにいってくれ」


 目まぐるしく変わる扱いに、エミリアの混乱は増すばかりだ。


 朝目覚めたら、婚約を取り消されたはずのアルベルトの腕の中にいた。

 抱きしめられて、謝罪され、延々愛を語られたのだ。至近距離で。そして今に至る。


「あの、私の部屋に取りに行きたいものがあるんです」

「俺が行ってくるから、君はここにいてくれ」

「す、すぐに戻りますから」

「ダメだ。何が欲しいか言うんだ」

「……頂いた魔石を。――部屋の引き出しの一番上に、しまってあります」


 大切なんですと、ぽしょぽしょ話すエミリアを、アルベルトは力いっぱいに抱きしめていた。


 ◇◆◇◆


 国王と王妃の呼び出しに、やっと応じたアルベルトは、早く済ませてくれという態度を隠そうともしない。


「お前、自分のしでかしたことを分かっていないだろう」

「別に悪いことなどしていない」

「相手がエミリアだからって、郊外で一夜を明かしていいわけないでしょう。少しは体裁というものを気にしなさい!」

「魔物討伐で夜営などよくしているのに、なにを気にする必要があるのです?」

「あなたねぇ!」


 頭を抱える国王と顔を真っ赤にして怒鳴る王妃に、話はそれだけなら用事があるので失礼すると、アルベルトは言い放った。


「待ちなさい! 少しはエミリアの気持ちを思いやったらどうなの。あの子がこの状況をどう思ってるか考えたことあるの?」


 王太子の婚約者として勤勉に過ごしてきたのに、初夜に当たる行為が成り行きで済まされてしまったら悲しむにきまっている。王妃はエミリアが不憫でならなかった。


「それは――」


 様子の一変したアルベルトをみて、王妃の勢いが増す。


「どう思ったの。言いなさい!」


「一晩中泣かせてしまったのは申し訳ないと思っている。だから今は体を休ませるように言ってある」


 同衾したと思い込んでいる王妃には、返す言葉が見付からなかった。

 口をパクパクとさせて驚いている彼女の横で、国王がぼやく。


「一体どういう育て方をしたんだ、お前は」


 責めるような一言が、王妃の堪忍袋の緒を静かに切り落とした。

 若い頃、国王が遠征先でちょっと羽目をはずしたことを、一度たりとも忘れたことなどない。王妃のプライドにかけて笑って流してやっただけで。

 そこから長年積み重なった不満と鬱憤が、大波となって押し寄せてきた。


「誰の子だと思ってんのよ!」


 間違いなく王家の血。それすなわち国王の血のせいだろうが。

 喧嘩しだした両親を止めることなく、アルベルトは御前を後にした。彼にとってエミリアの頼まれ物を取りに行くことが最優先なのだ。



 ◇◆◇◆



「うう~。どうしてよぅ、ひっく」


 城の魔法研究棟。カインの研究室ではレイチェルがしゃっくりをあげて泣きじゃくっていた。


「まったく、なんでアルベルト殿下の婚約者に成り代わろうなんてしたんですか」


 ちょっと危うい立場になってしまったレイチェルを心配して、カインは彼女を匿うことにした。

 泣いているレイチェルを慰めつつ、もしものときには庇えるようにと真相を聞き出そうとしている。


「だってぇ。アルベルト殿下しかいないんだもん」

「国民の半分は男です。年齢を加味すればもう少し狭まりますが、他にもいますよ」

「いないもん。私より強い、男の人。アルベルト殿下しかいないもん!」


 うぇ~んと子供のように泣き出したので、慌てて口をおさえようとしたらビンタされた。


「触らないでよ!」

「なら、静かにしてください。泣き声を不審がって誰か来たらどうするんですか」

「防音魔法使いなさいよ。ひっく」

「――確かに」


 魔法を展開し終えると、レイチェルは遠慮なく喚きだした。


「こんな怪力、みんな嫌って、言うからぁ~。ほ、褒めてくれるのアルベルト殿下しかいないもん!」

「そんなことないでしょ」

「アルベルト殿下は余裕で私に勝ってくれるから。彼しか、いないの~」

「ほ、他にも強い相手はいますよ。絶対に、いる、はずです」


 涙を乱暴に拭ったレイチェルは、カインの胸ぐらを掴んで睨みつけた。


「どこにいるのよ。私知らないわよ。そんな奴!」


 まっすぐに向けられた瞳にたじろいだカインは、もごもごと口ごもってしまう。態度が不誠実だとキレたレイチェルが、二発目のビンタお見舞いした。


「いったぁぁ! どうして今ので僕が殴られるんですか!」

「中身のないフォローに傷ついたからよ! 嘘つき、意気地なし、大っ嫌い!」


 物理攻撃とメンタル破壊を浴びせられたカインは虫の息だ。けれど勇気を振り絞って伝えた。


「ぼ、僕は、この前の模擬試合で、あなたに勝ちましたけど」

「ガキじゃん。年下じゃん」


 カインの残りゲージがゼロに到達。

 マイナスへ浸食しだしたたため応答がなくなった。


(年下だけは、努力で解決できないんですよ……)


 強い男が好きだと知ったから、最年少で筆頭魔法師になったカインである。

 そろそろ届いてほしい。振り向いてほしい。


「え~ん。私の王子様、どこ~?」

(うう、僕の恋の行方、どこ~?)


 しばらくの間、ふたり仲良く泣いていた。



 ◇◆◇◆



 アルベルトとエミリアの同衾事件は、ほどなくして誤解が解けた。

 国王の謝罪を王妃が受け入れ、両陛下も和解。

 カインとレイチェルは、なにかを振り切るように魔物討伐に精をだしている。


 日常が戻りつつあるなか、エミリアは王妃のお茶会に招かれていた。


「バカな息子が迷惑かけて、本当にごめんなさいね」

「迷惑なことなんてないです。大切にしてもらっています」


 はにかみながら笑うエミリアに幾分安心はしたものの、王妃はどうしてもアルベルトの素行が気になってしまう。


「アルベルトに遠慮しちゃだめよ。困ったらすぐにわたくしに相談しなさい。我慢しなくていいわよ」


 きっと国王と同じようになる。その時に助けてあげられるのは王妃である私だけ。妹の忘れ形見に降りかかる不幸は、全力で取り除くのだと意気込んでいるようだ。


「それで、本当のところはどうなの?」

「え?」

「必要があれば人払いもするわ。酷いことはされてない? ――あら、ウサギ?」

「あっ!」


 テーブルの上に小さなウサギがちょこんと乗っていた。

 まんまるの目に鋭い光を宿したウサギは、跳躍してティーカップと皿を次々とひっくり返し、中央のアフタヌーンティを、王妃めがけて蹴り倒した。


「きゃあああああ!」

「ダメよ、ウサギさん!」


 大慌てでウサギを捕まえたエミリアは、挨拶して無理やりその場をあとにした。

 このウサギの正体は、勿論。


「どうして暴れたりしたんですか、殿下」

「あんなことを言われる筋合いなどない」


 人の姿に戻ったアルベルトは、王妃の悪口に激怒していた。


「大人しくしているって約束しましたよね」

「俺の親だからといってエミリアが我慢する必要はない」

「殿下!」


 王妃の部屋のある方角を睨みつけているアルベルトの顔を、両手でつかまえてグリンともってくる。


「約束してください。もう、こんなことしないって」


 むっと口を引き結んで怖い顔をしたつもりのエミリアだったが、ちょっと困った顔になっている。


「すまない、困らせるつもりはなかったんだ」

「困ってません。怒ってるんです!」

「そうなのか。可愛いな」

「殿下!」


 アルベルトの笑顔に毒気を抜かれたエミリアは静かになった。

 それが心の壁のように感じとったアルベルトは、彼女をさっと抱き上げて歩きだす。


(やはり軽いな。元気になっても優しく扱わないと壊してしまいそうだ)


 とにかく骨が細い。触れるたびに大切に扱わなければと思わずにはいられない。



 恋に、勝ちも負けもない。

 ただただ、愛おしいばかりである。


 ~END~


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