途中下車する人たち
まるで 捨てられた
読みかけの本のように
いつも 人は
中途半端で いなくなる
死は いつも
命を 軽々と 奪っていく
涙も 叫びも
失われた 命に
重さを 与えてくれない
だから 人は 想い出の中に
命が 続くと 信じたい
命の泉の 水を
想い出という 小さな盃に
すべて汲み取れると 信じて
ああ 物語の最後のように
終われる人がいれば
幸運と言えよう
いつも命の乗り合いバスは
停留所のない荒れ地に
人を途中下車させる
人の殆どは
不運にも
そういう風に 去って行く
そういう風に……