表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リア充RPG  作者: 秋華(秋山 華道)
42/44

四十二回目

 放課後、みんなで集まって街に繰り出そうと、校門へ向かって歩いていると、陸上部の奴が、行く手を阻むように立っていた。

 こいつは、未だに俺に、陸上部に入ってくれと言ってくる。

 まったく面倒くさいったらありゃしない。

 ストーカーとして、安藤に通報するぞコノヤロー。

 そう思って陸上部の奴を見ていると、今日はなんだか、いつもと表情が違う事に気がついた。

 いつもなら、悲壮感を漂わせて、俺に入部を懇願してくるわけだが、今日はなんだか勝ちを誇ったように、胸を反らせて立っていた。

 どういう事だ?

 何かヤバイ物でも食べて、頭がおかしくなったのか?

 俺が此処まで考えたところで、陸上部の奴が話しかけてきた。

「陸上部に入ってくれるんだって?ありがとう。俺は嬉しいよ」

 何を言っているんだこいつ。

 俺は陸上部に入るなんて、一言も言った事がないぞ?

 やっぱりヤバイ物を食べて、頭が変になったに違いない。

 何を食べたんだ?

 トリカブトか?

 つかトリカブトって、鳥類なのか昆虫なのか、ハッキリしてほしいぜ。

「なんて、直也くんは思っています」

 おいおい、さっちゃん、手を抜きすぎですよ。

 それじゃ相手に伝わらないよ。

 そう思っていたら、俺の後ろにいた高橋が、説明を開始した。

「あ、私が、五人の入部を伝えておいたよ。だって、南北千住ホテルに泊まれるなら、ラスボス倒しに行くって言ったから」

 そう言えば以前、南北千住マラソン大会がどうとか、聞いた事がある気がするな。

「直也くんが、「もしかして、南北千住ホテルに泊まれるのか?」と言っております」

 すると佐藤、がニヤリと笑って、黙って頷いた。

 なんで佐藤が、南北千住ホテルに泊まる事を知ってるんだよ。

 その場のノリで頷きやがって、ややこしい。

 俺は陸上部の奴を見た。

「泊まるホテルは、高くなければ、何処でも選べるぜ」

 そういう事なら、陸上部に入るのもやぶさかではない。

 それにしても、こんないきなりの展開に、嫌がったり疑問を持つ奴が、一人もいないのはどういう事だ?

 普通なら、「私走るの苦手だし~」とか「そんな面倒な事できるか!」とか、言いだす奴がいるはずだろうが。

「私たち、マラソンしなくても、どうせ毎日それ以上に走ってるんだし」

 さっちゃんの言葉に、俺は納得した。

 そうだな、どうせマラソン大会で走るも、セーラー服で街を走るも、俺たちには何も変わらない。

 しかし、五人でゲームのクリアはできるのだろうか。

 模擬戦で戦ったが、おそらく五人で勝てるほど、甘い敵だとは思えない。

 あと一人、強力な勇者を連れて行きたい。

 そう思う俺の頭の中に浮かんだ人物は、当然陽菜ちゃんだった。

 よし、なんとか陽菜ちゃんもつれていけるように、相談してみよう。

「あのさ、後一人、マラソン大会に参加させたい子がいるんだけど。その子の宿泊費も、部費からだせないか?」

 俺がそういうと、陸上部の奴が、目を輝かせて近づいてきた。

「もしかして、陽菜ちゃんって子か?それならオッケーだぞ。顧問の井上が、是非一度見てみたいって、言っていたからな」

 なんだ?どういう事だ?

 何故こいつが陽菜ちゃんを知っている?

 つか井上が顧問?

 どうなっているんだ?

 話を聞いたところ、まず、陸上部の顧問は、数学教師の井上だった。

 そして、井上の妹が、俺の家の近所に住んでいて、いつも俺や陽菜ちゃんと一緒に走っているらしい。

 だから井上は、その妹から、俺や陽菜ちゃんの事を聞かされていたというわけだ。

 って、あのお姉さん、井上の妹だったのかよ。

 どおりでどっかで見た事がある顔だと思ったら、井上に似ていたのか。

 つか、その顔を見て、俺は綺麗だと思ったり、ドキドキさせられていたのか・・・

 なんだか凄く騙された気がするのは、俺の気のせいだろうか。

 ふと横を見ると、さっちゃんが少し怖い顔をしていた。

 しまった!

 俺の思っている事は、全てさっちゃんに伝わるんだった。

 大丈夫、浮気じゃないから。

 幼稚園児が、先生にあこがれるようなものだから。

 俺がそう思うと、さっちゃんの表情は笑顔へと変わっていった。

 ふぅ~セーフ。

 この日の夜、陽菜ちゃんにこの事を話すと、あっさりと参加を了承してくれた。

 両親には、井上のお姉さんが話をしてくれて、問題無く了解を得られた。

 どうやら、井上のお姉さんも、ついでにキムタクも、この大会に参加するらしい。

 こうして、南北千住マラソン大会への参加が確定した。

 誰か一人忘れている気もするが、それはきっと気のせいだろう。

「俺たち」パーティは、最初からこのメンバーだったはずだ。

 そして気がつけば、何故こんな事になっているのか、冷静に考える間もなく、俺たちは南北千住ホテルで眠りについていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ