四十回目
気がつけば、今日も宝具が手に入っていた。
俺のパーティは強く、チャレンジャーはことごとく返り討ちにしている。
既に五種類の宝具を揃えており、残るは後二種類となっていた。
しかし、どうやらその二種類が問題で、七種の中でもその二つは、数が圧倒的に少ないようだった。
だから俺たちは、しばらくの間、前に進む事が出来ずにいた。
そんなある日、吉田が自動車にはねられ、怪我をして入院する事になってしまった。
俺は一瞬喜びそうになったが、パーティメンバーがこの時期減るのはかなり痛い。
正直パーティメンバーじゃなければ、これほど嬉しい事はないのに。
なんてのは冗談として、マジで一瞬心配しちまったぞ。
ゲームの事は忘れて、病院に駆け込もうとしてしまったが、病院内はスマフォの電源を切らなければならず、見舞いに行くのは断腸の思いで、思いとどまった。
吉田、俺たちは見舞いには行けないが、俺たちの事は気にせず、ゆっくり休んでくれ。
「というわけで、吉田の事は忘れて、五人で楽しくやろうぜ。と、直也は言っています」
俺の気持ちをさっちゃんが代弁し、その言葉に皆は笑顔で頷いた。
そう、これは亡き吉田も、きっと寂しい俺たちの顔なんて、望んでいないだろうから。
「ぷっ!・・・」
おい、高橋、笑顔は良いが、笑っちゃダメだぞ。
そんなわけで、少し沈みかけていたモチベーションも、これを機に一気に上昇していた。
いや、上昇するように努めて頑張っていた。
人数が減っても、戦いを挑んで来る奴らはいる。
六人を相手に五人はきつい。
そう思っていたけれど、逆に足を引っ張る奴がいなくなり、佐藤やさっちゃんが回復魔法を使う頻度が減り、俺たちは攻撃的なパーティとなって、今まで以上に強くなっていた。
流石にそれを口にすると吉田が可哀相なので、俺は言葉にしないように心がけていた。
「吉田いない方が、私たち強いよね」
高橋は相変わらず、歯に衣着せない奴だった。
みんな思っていても言わなかったのに、グッジョブ高橋。
「あんまり本当の事言うと、吉田が可哀相だお。言うなら僕みたいに、本人の前だけにするお。やんわりと、「このクズ野郎」くらいにしておくお」
佐藤が何を言っているのか分からなかったが、「僕みたいに」と「クズ野郎」と言った事だけは分かったぞ。
まったく、自分の事を悪く言っちゃいけなよ。
とりあえずそんな感じで、今日も俺たちは勝ちまくったが、残念ながら、残り二つの宝具を手に入れる事はできなかった。




