四つ目
さて、いよいよ通学路のヌシを倒す時が来たようだ。
俺は行きの電車内で、まずは「AI」を確認する。
「AI」とは、「人工知能」という意味であるが、このゲームでは、戦いが全て自動で行われるので、前もって、AIを設定する事になる。
たとえば、HPが百を切ったら、回復魔法を発動するとか、武器での攻撃を八割、魔法での攻撃を二割だとか、そういった事を、事細かに設定できるのが、AI設定ってわけだ。
それをしっかり設定しておく事は、強い敵であればあるほど、重要になってくる。
俺は念入りに確認して、AI設定画面を閉じた。
次に、ざっと装備を確認し、戦闘態勢は万全だ。
もちろん、「うさ耳」もつけている。
一応、属性付与って効果があって、「うさ耳」は炎属性だそうだ。
「おいおい、なんで炎やねん。このゲームの制作会社おかしいだろ。ウサギなんだから、もっと優しい属性にしようよ」なんて思うわけだが、そう決まっているから仕方がない。
ちなみに、このゲームの属性には、光、闇、炎、水、風、地とある。
武器、防具、魔法などには属性がついているものがあり、自分の属性を変化させる事により、アイテムの効果や、魔法の威力が変化する。
更には敵モンスターやプレイヤに対しても、相性や競合が発生する。
光と闇は、互いのプレイヤや属性に対して競合するが、相性はなく、それぞれの属性の魔法やアイテムの効果を増大させる。
他の四つは、光と闇以外の属性と競合し、相性も存在する。
炎は水に弱く、水は風に弱く、風は地に弱く、地は炎に弱い。
と言うわけで、通学路をずっとふさいできたヌシは、「イシコローン」とか言う名前の、地属性のモンスターだったから、「うさ耳」付けてりゃ楽勝だろう。
俺は意気揚々と、いつも死んでいた場所に足を踏み入れた。
ふはははは!
予想通り、今まで俺様の行く手を阻んでいたモンスターは、あっさりと倒す事ができた。
これで学校内でも、ゲーム三昧な毎日が過ごせる。
と思ったら、校門のところで、俺のスマフォがプルプルと震えていた。
ポケットからスマフォを取り出して確認すると、どうやら校門前に、水属性のモンスターがいたようで、俺はあっさりとやられていた。
なんだよこの嫌がらせ。
この学校には、最低一人は嫌な奴がいるって事だな。
くそっ、絶対そのうちヒィヒィ言わせてやる。
俺はそう心に誓って、肩を落として教室へと向かっていった。




