三十九回目
宝具を使うプレイヤも、圧倒的に光属性を使う人の方が多い。
以前にも話した通り、光属性には、回復系魔法が充実しているからだ。
だから、闇を集めている俺たちとしては、競争相手が少なく、都合が良かった。
手に入る宝具は、ことごとく闇の宝具であった。
要するに、強い敵に挑む時、みんな保険を持って挑んでくる。
そうして負けていった者たちは、みんな闇の宝具を、俺にプレゼントして去ってゆくわけだ。
昨日手に入った宝具は、「守護霊の盾」と、「深淵の指輪」だった。
「守護霊の盾」は、俺が今まで使っていた「罪盾」よりも、少し能力が低かった。
理由は、「罪盾」が成長型の盾で、俺のレベルがクリアレベルをはるかに超えていたためだ。
正直、どちらを使うか俺は悩んだが、俺はそのまま、「罪盾」を装備する事にした。
せっかく今まで、強さを積み立ててきたわけだしね。
その代わり、これで負ければ、「守護霊の盾」を相手に奪われる恐れもあるわけか。
「負けた時の事など考えない」、戦いでは、当然のように言われる教訓だ。
俺はそれに素直に従う事にした。
「深淵の指輪」は、闇属性をパワーアップさせるものだった。
今までは「炎のリング」をつけていて、炎属性を「俺」に付与してきたけれど、今となっては魔法攻撃もあまりしないし、「深淵の指輪」をつける事にした。
こうして今日も、俺は戦いの中に身を投じた。
なんとか学校まで辿りつくと、俺はスマフォで、自分の手持ちアイテムを確認する。
学校までの道のりで手に入れたアイテムが、どんな物か見る為だ。
その中に、今までのアイテムの感じと、少し違う雰囲気を放つものがあった。
どうやら、逃げ回っている間に宝箱に遭遇し、ゲットしたアイテムのようだ。
そのアイテムの名前は「重要な手紙」で、レア度が最高ランクのものだった。
レア度最高ランクは、宝具と同一である。
俺は昼休み、早速みんなを招集して、このアイテムをどうするべきか相談した。
「使ってみないと、何が起こるか分からないのだから、とりあえず使ってみよう」
吉田の言う事はもっともだったが、全くひねりが無いのはどうだろうか。
「ちょっと待つお。何処かで使わないと駄目なアイテムだったら、もったいないお」
佐藤が何を言っているのか当然理解できなかったが、吉田の意見に反論しているのであろう事は分かった。
「手紙だから、何処かに届けなければならないって事もあるかもね」
高橋はそう言って、ニヤリと笑った。
これは、俺たちを混乱させる為に言った意見だろう。
気にする事はない。
だけど高橋の言葉に踊らされる人もいた。
「どうしたらいいか、私には全然分からないと思うの。届けるとか、見てみるとか、何処かで開封するとか、どれも正しいと思えるの。だから私はそれが三つ集まるまで、待つ事を提案すると思うの。これがベストアンサーだと思うの」
南・・・それはどう考えても、ワーストアンサーだと思うぞ。
つか、吉田が最初に正しい意見を言うから、みんな従いたくなくて、日和ってしまったじゃないか。
「じゃあみんなの意見をふまえて、とりあえず使ってみましょう」
全然ふまえて無かったが、さっちゃんが言うとなんとなく、まとまってしまっている感じがするから不思議だ。
ナイスさっちゃん。
俺はさっちゃんにラブラブ光線を放っておいた。
さっちゃんの顔は見えなかったが、うなじが赤くなっているのが分かった。
どうやら俺の愛は伝わったようだ。
とにかく、意見もまとまったようなので、俺はそのアイテムを使用した。
するとそのアイテムは、招待状へと変化していた。
要するに「重要な手紙」を開けて、中から「招待状」が出てきたという事だ。
説明を読んでみる。
「この招待状を持つ者が、ホテル南北千住に泊まると、必ずラスボスと出会えるであろう」
そう書かれていた。
おいおい、こんなところでも金儲けかよ。
提携ホテルに儲けさせる為に、こんな手まで使ってくるなんて。
いくらゲームクリアの為とはいえ、泊まる理由もないホテルに泊まって、クリアしても面白くないのだよ。
俺たちは一気にしらけた。
一瞬ゲーム自体やる気が失せそうだったが、必殺、忘却の呪文を使って全てを忘れ、俺は気持ちを新たに頑張る事にした。
招待状は、倉庫の奥深くに押しやって・・・




