表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リア充RPG  作者: 秋華(秋山 華道)
38/44

三十八回目

 夜も、俺の宝具を狙う奴らは、性懲りもなく集まってきていた。

 このサラリーマン達なんて、本当に仕事をしているのだろうか。

 そんな疑問もわき上がってくるが、それを知ったところで、奴らを倒せるわけではない。

 俺は逃げるように、なんとか交番までたどり着いた。

「さっかもっとくんっ!今日も爽やかな夜だねぇ~」

 安藤がまたいつものように声をかけてきていたが、俺はいつものように聞き流し、軽く挨拶を返す。

「ばんは」

 そして集まるメンバーを見回すと、いつもの顔が並んでいた。

 このメンバーで走るのも、もう半年になるのだろうか。

 流石に俺だけじゃなく、みんな強くなった。

 学校の友達とのパーティの方が強いだろうが、こちらももう差は無さそうだ。

 そんな事を考えていると、安藤が聞き捨てならない事を言っているように聞こえた。

「ラスボスの模擬戦が、北武デパートの広場でやってるらしいぞ。勝ってもクリアにはならないが、強さは同じだし、勝てば宝具が貰えるらしい」

 なんて聞こえてきた気がしたわけだが、本当のところはどうなのだろうか。

 俺は陽菜ちゃんの顔を見た。

 すると陽菜ちゃんが

「お兄ちゃん、ラスボスと戦ってみたい。行こうよぉ~」

 と、目をウルウルさせながら、祈るように俺に懇願してきた。

 どうやら、安藤から聞こえてきた気がした言葉は、本当らしい。

 俺は他のマラソンメンバーの顔を見た。

 するとやはり、陽菜ちゃんのお願いを聞かない選択肢は無いようで、みんな笑顔で頷いていた。

「よし、ラスボス倒しに行くか!」

 俺はそう言って、陽菜ちゃんの頭を二回ぽんぽんと叩くと、北武デパートへと走りだした。

「わーい!ラスボスだぁ~」

 陽菜ちゃんの喜びの声に、キムタクは後ろを走りながら、涙を流していた。

「わしはもう死んでもええ」とか「陽菜ちゃん万歳」とか、そんな言葉も聞こえてきたが、流石に少し怖すぎだろうと思い、俺は気がつかないフリをした。

 広場には、大勢の勇者が集まっていた。

 俺は早速スマフォを取りだし、順番待ちをしている人々の先、戦闘フィールドをスマフォ越しに見てみた。

 すると、ラスボスが映し出される。

 流石にでかいモンスターで、いかにもラスボスと言った感じの、重量感ある龍のバケモノだった。

 名前は・・・「ラスボス」・・・

 全くひねりが無いあたり、俺は少し嬉しくなった。

 こうでなくては、このゲームの制作会社じゃない。

 俺はウキウキしながら、順番待ちの最後尾に並んだ。

 きっと、この「ラスボス」を倒せるパーティはいないだろう。

 俺たちもおそらく勝てない。

 だけど、後どれくらいで倒せるようになるのか、目安にはなる。

 ラスボスに近づいている人はいるらしいが、実際にラスボスと戦ったという情報は、まだでてきてはいない。

 どうすればラスボスに近づけるかそれすらも謎だが、やっていればそのうち何処かで情報が得られるだろう。

 それに今は、宝具を集めてしまえば良いのだから、このままそちらでクリアするかもしれない。

 だったら今日のラスボスとの模擬戦は、良い思い出となるのだろうか。

 そんな事を思いながら待っていたら、いつの間にか俺たちの番がやってきていた。

 結果は、意外と善戦したと言えるかもしれない。

 全てが上手く進んでいたら、或いはAI設定や装備にもう一工夫があれば、勝てない相手ではないといった感じだった。

 百回やれば、いや、千回に一回くらいは、まぐれで勝てるかもしれない。

 そう思わせる善戦だった。

 実際は、この後少しが、果てしなく大きいのだろうが。

 模擬戦だから別にそこで死ぬわけでもないし、俺たちはその後、いつものように町を走っていた。

 会話は、やはり模擬戦の話で持ちきりだった。

「あたしの攻撃凄かったよね。ラスボスに三千もダメージ与えたよ」

「凄すぎるぞぉ~キムタクもビックリじゃ!」

 キムタクは驚き過ぎだが、確かに陽菜ちゃんの攻撃はよく当たっていた。

 陽菜ちゃんの武器は、今では「名刀、夜の女」から、「幼刀」に代わっていたが、これがまた凄い武器だった。

 小学生以下しか使えない武器であり、その能力は半端なく凄い。

 宝具なみかそれ以上の攻撃力を誇る。

 要するに、小学生ハンデというか、小学生にも楽しんで貰えるように、配慮された武器なのだろう。

 でも陽菜ちゃんは、このパーティでも二番目に高いレベルだし、学校のパーティメンバーの中に入っても、佐藤に次ぐレベルだ。

 小学生ハンデなんて必要ない強さを持っているわけで、それはもう頼もしい勇者だった。

 もしもこの子が、あっちのメインパーティにいたら・・・

 そんな事を少し思いながら、この日も良い感じに夜の町を走った。

 帰ってからアイテムを確認すると、宝具が二つも増えていた。

 確かに子供も混じっているし、俺たちのパーティは弱そうに見えるだろうけれど、簡単に宝具をプレゼントしすぎだろう。

 まっ、こちらとしては助かるから、いいんだけどね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ