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リア充RPG  作者: 秋華(秋山 華道)
36/44

三十六回目

 宝具を持つ者は、誰かと宝具をかけて戦う時以外は、アプリを起動しないのが、スタンダードになっていた。

 まったく、そんなやり方でゲームに勝ったとして、楽しいのかね。

 俺なんて、寝ている時以外は、ずっと起動しているっての。

 それもまた、「俺たち」パーティのこだわりであり、俺のゲーマーとしての意地だった。

 いつからこんなに、俺は熱くなったのだろうか。

 でも俺は、ゲームにもこだわりを持って、熱くなれる方が好きだ。

 俺は朝食を食べながら、そんな事を考えてニヤニヤしていた。

 すると母さんが、太陽も凍りそうな冷たい視線で、俺を見ていた。

 そんなに見つめられると照れるじゃないか。

 俺は一つ、ウインクを返した。

 すると母さんが何やら険しい顔をして、俺のトーストにワサビを塗り始めた。

 今日もまた、我が家は平和だった。

 しかし、我が家を一歩外に出ると、そこは戦場と化していた。

 電信柱の陰には、六人の勇者が、俺が家から出てくるのを待ち伏せしている。

 いい大人が、通勤前に何をやっているのだろうか。

 俺はダッシュで逃げる。

 するとスーツ姿のサラリーマンが、世間の視線も気にせず、俺を追いかけてくる。

 此処で幼気いたいけな美男子の俺が、「助けてー!」なんて叫べば、一体どうなるのだろうか。

 ちょっと面白そうだが、奴らにも家族はあるのだろう。

 慈悲深い俺は、ちゃんとゲームの中で、お前たちを屠ってやるぜ。

 俺は、駅にまっすぐ向かわず、少し脇道に入る。

 するとそれを追いかけてくるサラリーマン六人。

 俺が本気で走ると、奴らはついて来れないので、ついて来れるように絶妙に調整する。

 よし、かかった。

 俺の後を追っていたサラリーマン達は、急に立ち止まり、スマフォを取りだしてた。

 実は、裏道には、何匹か強力なモンスターを配置してある。

 俺たちのパーティでも、ギリギリ倒せたような強力な奴だ。

「俺たち」のレベルは、おそらく全国でも上位。

 なんせ、親の買い物を手伝ってアイテムを集め、朝から晩までゲームを起動し、走れる時間は全て走って、レベル上げをしているのだから。

 レベルが全てでは無いが、俺たちは今や、優勝候補だと言っても過言ではないはずだ。

 俺は、ガックリと膝をつくサラリーマンを背に、意気揚揚と駅へと向かうのだった。

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