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リア充RPG  作者: 秋華(秋山 華道)
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三十四回目

 学校が終わった後、宝具持ちの勇者が、俺に近づいてきていた。

 当然、迎え撃つ準備は万全で、俺は公園のベンチに座る。

 パーティのメンバーは、十メートル以内を維持するギリギリのところに散って、俺は一人で読書をしている風を、装っていた。

 さあ、かかってきやがれ。

 できれば少人数でかかってきやがれ。

 六人でもいいが、装備とかAI設定ミスって、弱い奴かかってきやがれ。

 そう思って読書を続けていたが、一向に宝具持ちが襲ってくる気配がない。

 このままでは、俺はマジでこの小説を読み終えて、読書の似合う男になってしまうぞ。

 そう思って、俺がチラッと勇者らしき者たちを見ると、六人集まって、スマフォをいじりながら、何やら相談しているようだった。

 聞こえてくる声から、戦いの前に、AI設定や装備などを、色々変更しているみたいだ。

 おいおいおいおい~、そんな事は、敵の前でやっちゃ駄目だろう。

 さっちゃんが、俺たちパーティメンバーの十メートル圏内を移動しながら、さりげなくそいつらに近づいてゆく。

 そしてあっさりと、二メートル圏内を通りすぎた。

 そいつらは驚いて、さっちゃんを見る。

 その表情は、誤って犬のウンコを踏んでしまった、小学生のようだった。

 どうやら楽勝で、「俺たち」の勝利のようだ。

 スマフォを取りだし確認すると、装備もAIも無茶苦茶だったようで、バカみたいに「俺たち」は楽勝していた。

 そして手に入れた宝具は、「ルシフェルの翼」だった。

 俺は早速「ルシフェルの翼」を装備し、「悪魔の羽」は、さっちゃんに貸し与えた。

 宝具は取られる恐れもあるので、その場合は返してもらう約束で。

 それにしても、これで宝具は、三つだ。

 うち二つは装備しており、俺は各段に強くなっていた。

 宝具がそろってくると、取られる心配も、どんどん無くなってゆくようだ。

 いつの間にか集まってきた仲間と、俺たちは顔を見合わせ、怪しくニヤリと笑った。

 俺たちにやられた奴らは、とぼとぼと駅の方へと歩いていった。

 その後ろ姿は、母親におっぱいをねだったが、吸っても出なくてガッカリし、立ち去ってゆく子供のようだった。

 その後は、特に何事もなく、俺は帰宅の途についた。

 夕飯を食べたら、再び俺は冒険にでる。

 交番に行くまでは、迫ってくる宝具持ち勇者がいないか、一応チェックだ。

 すると、まだ少し距離はあるが、「俺たち」が昼間に宝具を奪った奴が、再び俺に近づいてきていた。

 おいおい、宝具を複数持っている奴だったのか。

 昼間情けなく宝具を取られたから、リベンジといったあたりか。

 俺は警戒する中、無事交番にたどりついた。

 これで今日は、きっと大丈夫だろう。

 走ってレベル上げしている俺たちは、半端なく強いからな。

「さっかもっときゅ~ん。今日もぼくちん、会えてうれしいよぉ~ん」

 ヤバイ、気持ち悪くて倒れそうだ。

 安藤の奴、リアルに俺を殺す気か?

 全然今日は大丈夫ではなかった。

「こ、んばんは」

 まあでも、この苦しみの後のランニングは、正に天にも昇る楽しさだから、安藤の気持ち悪い言葉も、スイカにつける塩のようなものかもしれない。

 俺はお姉さんの綺麗な顔を見て口直しをした後、陽菜ちゃんに

「こんな人とだけは、結婚しちゃダメだよ」

 と言って安藤を指差し、みんなを連れて夜の町へと走り出した。

 走りだしてすぐ、昼間の奴らが視界の隅に入った。

 そいつらは走って、俺たちの後を追ってきた。

 しかし全然俺たちについて来れず、今にも倒れてしまいそうだ。

 おいおい、ちゃんと二メートル以内に入ってくれないと、戦闘できないじゃないか。

 そんな事を考えながら、そいつらを見ながら走っていると、何やら言いあった後、ついてくるのをやめて、脇道へと入って行った

 どうやら先回りして、俺たちの前に出る作戦のようだ。

 俺は別にそのまま戦っても良いのだが、なんだか面白かったので、コースを急に変更し、そいつらから離れるように走ってやった。

 そいつらの悔しがる顔を想像しながら、今日も俺は夜の町を楽しく走っていった。

 十時も近くなる頃、流石にそろそろ可哀相になってきたので、俺はそいつらのいる方向へと進路をとった。

 道端でもがき苦しむ奴らの姿は、一般人が見ると、流石に気持ち悪いものだからな。

 そう思って近づくと、六人いたはずの奴らは、四人しかいなかった。

 おいおい、せっかくこっちから近づいてやったのに、完全体じゃないのかよ。

 だけどこっちもそろそろ帰る時間だし、待ってあげられる余裕はない。

 俺は容赦なく、道に倒れてピクピクしている奴らの、二メートル以内を通り過ぎた。

 あっさりと、俺の宝具の数は増えてしまっていた。

 こいつら、もう二度と、俺と遊んでくれないだろうな。

 俺は少し、寂しい気持ちになった。

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