三十回目
学校の後、いつものように冒険に出ていると、吉田がいきなり質問してきた。
「坂本、お前最初、レベル一番低かったのに、どうしてそんなに早く強くなったんだ?」
それはどうやら、他の奴らも同じように疑問に思っていたようで、興味津々に俺の方に寄ってきた。
俺は別に隠す事でも無いし、全てぶっちゃけて・・・
さっちゃんにアイコンタクトで伝えた。
「直也くん曰く、家に帰ってから、近所の人達とパーティ組んで、夜遅くまで走って、レベル上げしてるんだって」
さっちゃんへの以心伝心は、いつも驚かされる。
一言一句違いがないのだから。
これはやはり、呪いなのだろうと、俺は思った。
俺、色々呪われすぎ。
「呪いじゃないよ。愛だよ」
おいおい、そんなところまで読みとるとは、下手にエロい事も考えられない。
まあ、別に何を読みとられようと、こんな彼女の方が、俺は面白くて好きなので、なんの問題もないのだが。
「だからマラソン大会でも、あんなに走るのが早かったのかお?凄いお」
佐藤がまた何やら言っているようだが、俺には何を言っているかわからなかったので、とりあえす佐藤の頭に、道端に落ちていた割りばしを突き刺しておいた」
「やめてくれお。僕のナイスヘアーが汚れるお」
どうやら佐藤は喜んでいるようで、良かった良かった。
そんな感じで、俺が世界の平和に安堵していると、高橋がいきなり一言声を発した。
「私も、やろう・・・」
ボソッと言った高橋の言葉は、何を指しているの分からなかったが、とりあえず俺の腕には、鳥肌がたっていた。
それから間もなく、俺たちは、学ランとセーラー服のまま、学校近くの街中を走る事になってしまっていた。
普段どんな感じで走っているのか、みんなが見せてくれと言うからだ。
しかしいつものペースで走ると、きっとみんな、口から血反吐を吐くに違いない。
だからとりあえず、俺が我慢できる、一番遅いスピードで走ってみた。
するとすぐに、吉田と佐藤はヒィヒィ言いだした。
おいおい、このペースは、歩くのと大して変わらないだろうが。
この調子だと、マジで走るとマジで血反吐どころか、ウンコまで口から出てくるぞ。
だけど、それならそれで面白いかもしれない。
おれはみんなにばれない程度に、ペースを少しだけ上げてみた。
吉田も佐藤も必死についてきていて、今にもウンコを吐きだしそうだ。
いやむしろ、笑えて俺がウンコしそうだ。
これ以上は、自分に対しても危険だと判断した俺は、再びゆっくりペースを落とした。
ふ~危なかった。
危うく明日から、俺の愛称が、ウンコマンになるところだったぜ。
こうして俺たちは、いつもより少しだけ多めに経験値を稼いで、帰宅の途についた。




