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リア充RPG  作者: 秋華(秋山 華道)
28/44

二十八回目

 いつの間にか、季節は文化祭を行う頃まで進んでいた。

 ゲームを始めたのが今年の三月だったから、既に八か月ゲームを続けている事になる。

 このゲームは、いったいどんだけ時間がかかるんだ。

 昔のゲームなら、二十四時間体制で、三日もあればクリアできたのに。

 おかげでこんなに健康的な体を手に入れてしまったぞ?

 勉強する癖がついてしまって成績は上がるし、買い物の手伝いをするから小遣いも上がるし、近所の人達とは仲良くなってしまうし、深淵の住人だった俺は、いったいどうしちまったんだよ。

 俺はこのままではいけないと思った。

 何故ならこのまま行くと、ゲームできないは、税金いっぱい払うは、良いところ無しの出世街道に乗って、勝ち組になってしまう。

 俺は定時きっかりに家に帰って、今と変わらないゲーム三昧な人生を送りたいんだ。

 しかし、此処まで頑張ったゲームを投げ出すわけにもいかない。

 仕方あるまい。

 俺は全てを棚に上げて、とりあえず今は、クリアを目指す事を決意した。

 で、文化祭だが、俺たちはリアのプレイヤを集めて、グランドにモンスターをいっぱい放って、「リアフィールド」を作って、お客様方をもてなす事にしていた。

 要するに、文化祭に来たリアプレイヤを、一網打尽にする訳だ。

 かつての敵だった荒川先輩も、今日明日だけは味方だった。

 まあ今となっては、俺たちパーティの敵は、この学校にはいないし、俺はその中でトップだから、もう荒川先輩なんて眼中に無いけどね。

 文化祭は、問題無く一日目を終了した。

 そして二日目も、大した勇者はやってこない。

 流石に文化祭なんかには、そうそう勇者がくるわけもないか。

 せっかくこれだけ大量のモンスターを放っておいたのに。

 どうするよ?このモンスター達。

 我が校のプレイヤみんなで仲間登録して、みんなで放ったモンスターだから、俺たちじゃ倒せないし、ずっとグラウンドに残り続けるのか?

 ちょっとくらい倒してくれないと、肉眼で見えないモンスターとはいえ、気持ち悪いじゃないか。

「ゾンビ」とか、朝礼台の上に配置してあるのヤバイだろ。

 校長の挨拶を見る度に、「ゾンビ」がオーバーラップしてくるぞ。

 それにサッカーゴールの前に、「でかいゴーレム」配置しやがって。

 シュート打っても、全部止められそうだろうが。

 あ~あ、誰か強い奴らこねぇかなぁ。

 そう思って校庭の隅のベンチでグラウンドを眺めていると、六人の他校の生徒が、グラウンドに入って行くのが見えた。

「きたか!」

 俺は期待に胸を膨らませ、スマフォでコッソリ奴らを見る。

 思った通り、勇者だった。

 一人が、スマフォでグランド内を確認し始めた。

 どうやらモンスターに気が付き、倒すかどうか話しあっているようだ。

 すぐに奴らは再び動き出し、モンスター退治を始めていった。

 弱そうなモンスターから倒しているようだ。

 そらそうだろう。

 最初に強いのからチャレンジして、負けたら残りは倒せないからな。

 でもこの中には、俺たちのパーティでも、かろうじて勝てたモンスターも忍ばせてある。

 そのモンスターの見た目は、それほど強そうではない。

 そいつがきっと、奴らをぬっ殺してくれるだろう。

 ドキドキしながら、奴らの行動をコッソリと監視する。

 いつの間にか、我がパーティメンバーが、俺の回りに集まってきていた。

「なかなかやるな。でも、アレは倒せないだろう」

 吉田の言うアレとは、先ほど話していた、俺たちパーティがかろうじて勝てたモンスター、その名も「駄々っ子」だ。

「駄々をこねる」攻撃は、思わず無駄にアイテムを使わされたり、味方に魔法攻撃をさせられたり、マジでヤバイのだ。

 パーティメンバーのバランスが良いと、同士討ちで全滅するぜ。

「なんだかドキドキするね」

 さっちゃんは、とても怖い笑みを浮かべていた。

「きっとアレは倒せないお。僕たちでも苦労したお」

 佐藤が何を言っているのか分からなかったが、その顔はエロ本にかぶりつく、思春期のサルのようだった。

 高橋は、人目もはばからず鼻くそをほじり、取れたブツを佐藤になすりつけていた。

 佐藤は高橋が何やら触ってくるので、少し嬉しそうだった。

 南は相変わらず、無言で目を輝かせていた。

 そして、八割がたモンスターも片付いたところで、奴らはとうとう「駄々っ子」へと向かって歩いていった。

 俺たちは注目した。

 何故か校長も注目していた。

 通りすがりの恵子先生は、校長のケツを注目していた。

 何故そんなところを!

 なんて思って校長のケツを見ると、ズボンのケツの部分が破れているようだった。

 が、今はそれどころではない。

 俺は気になる校長のケツから目をそらし、グラウンドの奴らに視線を戻した。

 そしてとうとう、「駄々っ子」と接触した。

 すぐに結果がでた。

 奴らは膝を落とし、手を地面につけていた。

 勝った!

 俺たちは勝ったのだ!

 一斉にみんな声を上げた。

「ひゃっほーい!」

「よし!ざまあみろだ」

「勝ったお。僕達最強だお」

 俺たちは有頂天になって、その場でみんなで踊り出した。

 すると、グランドの真ん中でガックシしていた奴らが、怒ってこちらに向かって走ってきていた。

 流石に、ちょっとバカにしすぎたか?

 俺たちは一斉に逃げ出した。

 女子たちは当然のように、既にその場にいなかった。

 奴らは俺たち三人を追いかけてきていたが、俺は日頃から走りまくっているので、楽勝で逃げ切る事ができた。

 なんだか楽しかった。

 こうして、文化祭は終わった。

 後日、登校日の朝、佐藤の顔が美男子に変わっていた。

 理由を聞くと、文化祭の日、奴らに捕まってボコられたら、顔の形が変わったとか。

「整形代ういたお」とか、意味の分からない事を言って喜んでいたので、俺は後ろからこっそり佐藤を殴り、元に戻してやった。

 全てが丸くおさまって、めでたしめでたし。

 だけど、朝礼台の「ゾンビ」と、サッカーゴール前の「でかいゴーレム」は、しばらくその場に居座り続けていた。

 まあこれくらいならいいかw

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