表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リア充RPG  作者: 秋華(秋山 華道)
26/44

二十六回目

 今日は学校で、マラソン大会が開かれる事になっていた。

 まったく、何を好きこのんで、ただ走らなければならないのか。

 なんて一瞬思ったが、スマフォを持って走れば、「ザコモン」倒しができて、レベル上げができるじゃないか。

 俺はスマフォをポケットに入れて、マラソン大会に参加する事にした。

 そしたらパーティのみんなも、同じ事を考えていたようで、スマフォを持って参加していた。

 一応パーティ登録もして、準備万端。

 みんなで意味もなく頷きあうと、マラソン大会という名の冒険に足を踏み出した。

 俺はいつも夜走っているようにスタートしたのだが、いきなりみんなついて来れない。

 なんだよまったく、体力の無い奴らだ。

 いやちょっと待てよ?

 前までは、俺は吉田にも佐藤にもついて行けなくて、二人ともマラソンが苦手だというわけではない。

 明らかに、俺に体力がつきまくっているって事か。

 という事は、みんな夜走ったりして、レベル上げしてねぇのかよ。

 まさかとは思っていたが、どおりで「俺」のレベルが、いつの間にかみんなを追い抜いていたはずだ。

 とは言え、みんなよりも先に行ってしまうと、パーティから外れるし、かといってこんな遅いペースで走っていると、むしろ疲れる気がする。

 俺は知らんぷりをして、みんなを置いて走る事にした。

 後ろから「おい、ちょっと待てよ」とか、「直也くんはやい~」なんて声が聞こえてきていたが、俺は聞こえないフリを決め込んだ。

 すぐに後ろからの声は聞こえなくなった。

「ふう~」

 ようやくいつものペースで走る事ができて、良い感じで風を切る音が聞こえてくる。

 それでも、これは陽菜ちゃん達と一緒に走る為に、みんなに合わせたペースだ。

 その前は、もっと早く走っていたかもしれない。

 俺はドンドンとペースを上げた。

 そうそう、このペース。

 俺は、いっぱい「ザコモン」を倒している情景をイメージしながら、気持ちよく走っていった。

 コースの半分くらいは走っただろうか。

 気がつくと前方に、陸上部の奴らの姿をとらえた。

 おいおい、俺はどんだけ速く走っているんだ?

 このまま走り続けると、優勝しちまうじゃねぇか。

 一番で学校に帰ってみろ。

 俺はみんなから注目され、当然女子たちからは、チヤホヤされるに違いない。

 彼女がいるのに、無用な誤解を生みかねないではないか。

 おまえ、俺の彼女のさっちゃんは、怒らせると怖いんだぞ。

 でも俺の心配は、取り越し苦労だった。

 どうやら陸上部の連中は本気ではなかったようで、俺が近づいていくと、再び俺を突き放して、はるか前方へと走っていった。

 良かった良かった。

 脅かすんじゃねぇよ。

 陸上部は陸上部らしく、ダントツトップで優勝しやがれ。

 そんな事を考えていると、今度は新たな懸念が、俺の目の前に存在していた。

 どうしてこんな時間に、こんな所にリーマンが集まっているだ?

 実は最近俺は、団体行動をしている人達をみると、どうも警戒してしまう。

 勇者のパーティじゃないのかと。

 言ってしまえば「職業病」だ。

 まったく、勇者も楽じゃないって事だな。

 俺は、このまま走っていくと、この狭い河川敷の道では、二メートル以上離れられないと考え、一旦近くの木の陰に隠れて、やり過ごす事にした。

 その時、スマフォを通して一応確認して見る。

 やはり勇者だったか。

 危ない危ない。

 傍から見たら、俺の行動の方が危ない人に見えるかもしれないが、その辺りは、勇者をやっているのだから気にしてはいけないと、自分自身に言い聞かせた。

 勇者たちをやり過ごした後、俺は再び走り始めた。

 やり過ごす間に、何人かに抜かれていたが、すぐに抜き返していた。

 それにしても、俺はえらく体力がついているな。

 本気で走ったらどこまで行けるのだろうか。

 俺はちょっと興味がわいた。

 たかだが毎日三時間、土曜日は八時間、日曜日は一日中走っているだけで、どれくらい走れるようになるのか、試してみたくなったのだ。

 俺は、全力で走る事にした。

 呼吸が苦しくなって、自分の息遣いが聞こえてくる。

 そう言えば、昔は毎回、こんな苦しさの中で、マラソン大会に参加していたものだ。

 なんだかそれが懐かしく感じて、俺は楽しかった。

 気がつくと、目の前に陸上部の連中の姿を、ハッキリと捕らえる事ができる所まできていた。

 また足を抜いて、いや、手を抜いて走っていたのだろうか。

 そう思って近づいていくと、なんだかみんな必死に俺から逃げているように見える。

 おいおい、俺はモンスターじゃねぇぞ。

 そんなに必死にならなくても。

 俺はなんだか楽しくなって、モンスターになりきって、陸上部の奴らを追いかけた。

 間もなく、四人いた陸上部のうち、二人を抜き去っていた。

 マジかよ、俺、陸上部より速くなってるじゃねぇかよ。

 でも残りの二人は、なかなか抜けない。

 そう言えば、地区大会では優勝しているとか、クラスの誰かが言っていたな。

 と言う事は、俺も出場すれば、それくらい走れるのか?

 無いな、きっとこれは冗談に違いない。

 良い勝負をしているように見せかけて、最後は突き放して、嘲笑うようにゴールするに決まっているのだ。

 道の向こうに、学校が見えてきた。

 もう間もなくゴールだ。

 前を行く陸上部の二名とは、ほとんど差はない。

 あれ?抜いちゃいそうなんだけど。

 抜いちゃっていいの?

 どうする俺!

 今まさに抜いてしまいそうな時、突然俺のスマフォが震えた。

 俺は驚いて、こけそうになる。

 なんとかバランスを取ってこけるのは回避したが、その間に、必死の形相で陸上部の二人がゴールしていた。

 負けたか・・・

 って、今「俺」、死んだんじゃね?

 スマフォを取りだして確認すると、凄く強いモンスターが、この場所に配置してあった。

 俺は少しの間、立ちつくした。

 その間に、他の陸上部の二名もゴールし、俺は結局五位になっていた。

 ぶっちゃけ、マラソンの順位はどうでも良かったが、死んでしまった事が何だか凄く悲しくて、何故か涙が出ていた。

 と言うのは冗談で、ただ普通に目にゴミが入って、涙が流れていた。

 それを見ていたみんなは、負けて悔しかったと思ったようで、何故か俺は大声援を受けていた。

 俺は恥ずかしくなって、こそこそとゴールした。

 くそ!やっぱりマジで走るんじゃなかった。

 恥ずかしいは、「俺」は死ぬわで、良いところ無しだった。

 更に三日間、みんながパーティに入れてくれなかったり、陸上部の奴らに部に誘われたり、踏んだり蹴ったりだった。

 特に陸上部の奴らは、来年の春にある、南北千住マラソン大会に出てくれとか、意味わからないし。

 下手に体力がついて、本当にろくな事がないな。

 しかしそれも、一千万円の為だ。

 俺は苦しくても頑張る事を、新たに決意するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ