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リア充RPG  作者: 秋華(秋山 華道)
25/44

二十五回目

 今日も、陽菜ちゃんと冒険ランニングの旅に出る為に、俺は交番へと向かった。

 毎日交番に通う人って、傍から見たらどう思うのだろうか。

 冷静に考えると、俺は恐ろしい事をしているのかもしれない。

 そんな気持ちがわき上がる中、俺はいつの間にか、いつもの交番に到着していた。

 交番の前には、六十歳を超えていそうなジャージのじいさんと、何処かで見た事があるような、スウェット姿のOLっぽいお姉さんが立っていた。

「坂本きゅ~ん。待ってたよぉ~」

 おえっ!

 日に日に安藤が気持ち悪く進化していくのだが、この流れは止められないのだろうか?

 まあそれは軽く無視するとして、一体この二人はどういう事なのだろうか。

 ニコニコしながら、俺の顔を見つめている。

 こっちのOLっぽいお姉さんに見つめられるのは一向に構わないが、こっちのじいさんに見つめられるのは、ちょっと怖いのだけれど。

 とにかくこのままでは埒が明かないので、俺はどういう事か聞こうとした。

 するとやっぱり、その前に安藤が話し始めた。

「この二人も、一緒に夜の町を走りたいそうだ。最近物騒で、一人じゃ不安だからね」

 物騒なのは、貴様がこんなところで、情報屋なんてやってるからだろうが。

 ちゃんと、不審者という名のモンスターを、捕まえにいけよな。

 それにしても、やっぱり、俺の予想は当たっていた。

 でも、お前ら大人だろうが。

 一人が不安なら、二人で走れば良いんじゃね?

 なんで俺なんだよ。

 陽菜ちゃんと二人も、世間の目が怖かったし、俺にとっても救いと言えば救いだけどな。

 よし、一人も二人もかわらない。

「ああ、いいよ」

 俺はあっさりとオッケーしたが、よく考えたら、三人じゃねぇかよ。

 でも、じいさんとお姉さんと陽菜ちゃんの笑顔を見ていたら、こんな微妙なメンバーで走るのも、意外に面白いかもしれないと思った。

 とりあえず俺は、ちゃんとついて来れるのかどうか、様子を見ながらゆっくり走った。

 どうやらこのペースなら楽勝のようだ。

 ではもう少しペースを上げてみるか。

 それでもみんな楽勝でついてきていた。

 陽菜ちゃんはお姉さんと何やら喋っていて、小三とは思えない余裕だ。

 そんな二人を見ていると、じいさんが話しかけてきた。

「君は、名前なんていうのかな?」

「あ、坂本っす」

「ほう~はらぐちくんかぁ」

 いや、ちげえし。

 メッサ坂本ってゆったし。

 まあ走りながら喋っているから、こっちの声も聞こえづらかったのかな。

 でも訂正するのも面倒だし、原口でいいや。

「わしは、木村琢磨きむらたくまってゆうんじゃ。キムタクって呼んでくれていいぞ。はははは」

 なんだかなれなれしいじいさんだが、微妙に面白いぞ。

 俺はこういう変なじいさんは好きだ。

「じゃあキムタクで」

 俺がキムタクと呼ぶ事を宣言すると、じいさんは凄く嬉しそうだった。

 だからだろうか、走りながらも、やたらと話しかけてくる。

「原口くんは、マラソン選手なのかな?」

「いえ、勇者です」

「ほう~それはなかなか大変そうじゃな」

「はい、日々モンスターとの戦いです」

「いつ戦っているんじゃ?」

「今もモンスターと戦っています」

「わしがモンスターと言いたいのか?これはウケル!はっはっは」

「いや、違うんですが・・・」

 そんな会話を続けていると、どうやらお姉さんも後ろを走りながら聞いていたようで、興味を持ってしまったようだ。

 そこでランニングは一旦休憩って事で、公園のベンチに座って話す事になった。

 俺と陽菜ちゃんは、スマフォのゲームの事を話した。

「って事は、モンスター倒す為に走ってるんだ?」

「うん、そうなの!お兄ちゃんと一緒だと、強いモンスター倒せるから、とっても良い感じなんだぁ」

 お姉さんに対して、陽菜ちゃんは嬉しそうに話していた。

 しかし、ちょっと照れるな。

「お兄ちゃんと一緒だと」とか言われて、鼻が高くなりそうだ。

「アイテムとかは、どうやって集めるの?」

 お姉さんの質問に、俺は少し照れていた。

 だってこのお姉さん、よく見ると結構綺麗なんだもん。

「えっと、モンスター倒したり、宝箱開けたり、店で買ったり、リアルの店で買い物すると貰えたり・・・」

「へぇ~。お店で買い物すると貰えるって、どういう事?」

 お姉さんの疑問ももっともだ。

 普通のRPGなら、店での買い物ってのは、ゲーム内での事だ。

 このリアルとリンクしたバーチャル世界の中で、どんな買い物ができるのか気になるのだろう。

 だから俺は詳しく説明した。

「実は交番が、アイテムショップだったりするんですよ。だから交番前にみんな集まって、売買してるんです。後は服屋とか、電気屋とか、ゲーム会社と提携している店で買い物すると、アイテムが貰えたりします」

 俺が久しぶりに頑張って長々と話すと、何かスイッチが入ったのか、キムタクがいきなり、身を乗り出して話しかけてきた。

「わ、わしでも、アイテム貰う事ができるんかい?」

 なんのスイッチが入ったのかは分からないが、俺はキムタクの迫力に押されて、再び長々と話した。

「ええまあ。まず店は、このマークのあるお店が、アイテムをくれる店です」

 俺はそう言いながら、スマフォに映る、提携店に貼られたシールの映像を見せた。

 するとキムタクは、「おお、見た事あるぞ」なんて言いながら、頷きまくっていた。

 俺は更に話を続ける。

「その店で買い物をする時にですね、スマフォ・・・これの事ね。これについているお財布機能で買い物をします。千円以上の買い物をすると、自動的にアイテムが貰えるようになっています」

「そうか。お財布ケータイてやつだな。でもそれじゃ、スマフォが無いと貰えないのか?」

 キムタクは、やたらと寂しそうな顔になった。

 ゲームはやっていないのに、なんでそんなにガッカリしてるんだ?

 でもまあ、貰う方法もあるんだけどね。

 俺は尚も話を続けた。

「スマフォが無いとアイテムが貰えないでは、店も儲からないので、買い物した時に「アイテムチケットください」って言えば、番号の書いてあるレシートが貰えます。その番号を、後でスマフォで登録すると、買い物したのと同じように、アイテムが貰えます」

 キムタクの顔は、何故か輝いていた。

 そんなにアイテムが欲しかったのか?

 俺はこの時、キムタクの本意が分からなかった。

 だけど、横で話を聞いていたお姉さんは、それが何やら分かっているようで、終始ニコニコしていた。

 この後も俺たちは、町中や公園を走った。

 途中、あのトレードした兄ちゃんとすれ違ったが、俺のスマフォが震える事はなかった。

 どうやら又、やっちまったようだ。

 悪いけど、俺かなり強くなっちゃってるから。

 こんな感じで、楽しくみんなで走った後、夜の十時前に、今日のランニングは終了した。

 って、だんだん何の為に走っているのか、分からなくなってきたよ。

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