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リア充RPG  作者: 秋華(秋山 華道)
24/44

二十四回目

 我がパーティがトレードに出す事を希望していた「天使の羽」は、無事、「悪魔の羽」と交換してくれる人がみつかっていた。

 そもそも、光属性を望む人の方が多いわけで、むしろレートは「天使の羽」の方が上だった。

 相手はどうやら良い人みたいで、交換の際、「鬼の角」という、闇属性を付与するアイテムも、おまけにつけてくれると言う事だった。

 ちなみにトレードの方法は、ゲームシステムとして確立しているわけではない。

 ネットの掲示板サイトで募集し、希望者とメールでやり取りして、ようやくトレードとなるわけだ。

 しかもトレードは、実際に会わないと、交換できない。

 まあ当然と言えば当然だけれど、これくらいのシステムくらいは実装しとけよ。

 だから、実際に会える距離に住む人とのトレードとなるわけで。

 俺たちは六人そろって、今日は「とおりすがりモード」でその人に会う事にしたわけだが、向こうから歩いてくる男は、俺の見た事のある男だった。

 大学生くらいのその男は、俺の地元で活動している勇者だった。

 しかも、何度か「やんのかこらモード」で俺に戦いを挑んできていて、返り討ちにしている奴だった。

 凄く気まずい。

 俺はみんなの一番後ろを歩き、俯き加減でついていった。

 それにしても、このトレードは複雑な気分だ。

 このトレードが成立すれば、奴は強くなって、再び俺を狙う事は必至。

 となると、今度戦いを挑まれたら、俺が負ける事もありえるではないか。

 でもよく考えたら、俺は最近陽菜ちゃんとずっと一緒だし、一人の帰り道を狙われない限り大丈夫だろう。

 だいたい、一人の帰り道を狙うとか凄く怪しいし、普通の人ならできるはずがない。

 俺はトレード中も、あさっての方向を向いて、決して目が合わないように注意した。

 そしてなんとか無事、気づかれずにトレードは終了した。

 ふぅ~、セーフ!

 俺が一つ息を吐くと、さっちゃんがニコニコしながら話しかけてきた。

「直也くん、トレード終わったよぉ。それでさっきの人がね、帰って行く時、「次は倒す」って、直也くんに伝えておいてほしいって、言ってたよ」

 ガーン、アウトだった。

 俺は屍のように、さっちゃんを見つめた。

 さっちゃんは俺をそっと抱きしめ、太陽を指差した。

 俺はその太陽を見て、頑張って生きてゆこうと思った。

 なんて、そんなどうでもいいドラマのようなネタはやめて、とりあえず、トレードしたアイテムを、誰が貰うか相談しなければ。

 まず俺は、闇属性は既に持っているので、「鬼の角」は必要ない。

「悪魔の羽」は、能力強化もあるから、欲しいのは欲しいが、闇属性付与は二つもいらないだろう。

 だから俺がどちらかを貰う事は、普通に考えればあり得ない。

 だけど今まで、俺はパーティからアイテムを貰った事がなく、優先されてしかるべきだ。

 そのあたりは、吉田も考えているようだった。

「まず今まで、パーティから物を貰った事が無い人~」

 吉田はそう言いながら、皆に挙手を求めた。

 手を挙げたのは、俺と南だけだった。

「ふむ。でも闇属性を持っている坂本に、これらのアイテムは必要無いし、南は「エビの鎧」をつけてるから、どちらも装備できないな」

 吉田の言っている事が分かりにくいかもしれないので、此処でアイテム装備について、少し説明しておこう。

 装備は、全部で七種類ある。

 兜、鎧、盾、武器、靴、羽、装飾である。

 しかし、どんな時も七つ装備できるわけではない。

 南のつけている「エビの鎧」は、エビのきぐるみのようなビジュアルで、兜、鎧、盾、武器、羽の五つの装備個所を利用して、装備できるアイテムである。

 だから、「エビの鎧」を着ると、他に装備できるのは、靴と装飾だけだった。

 その代わり、「エビの鎧」の能力は安定している。

 更に、水属性アイテムだから、水属性を持つプレイヤなら、効果は倍増だ。

 しかも自身のレベルによって能力が上がってゆく、成長型アイテムだから、南はこの鎧で、最後までゲームをするつもりでいた。

 と言うわけで、吉田の言う通り、今回も俺と南は、何も貰えない方向だろう。

 別に良いけどね。

 今では俺は、パーティの中で一番レベルも上だし、アイテムもそれなりにそろっているから。

 そう思っていたら、さっちゃんがナイスな事を言ってくれた。

「とりあえず、今まで貰っていない直也くんとりえこちゃんが貰って、トレードすればどうかな?」

 そういう手があった。

 つか、トレードなんてついさっきやっていた事だし、普通あり得る事なのに、なんで今までやらなかったんだろうか。

 無能者の集まりとしか、言いようがない。

「そうだお。今までトレードするの忘れてたお。みんなで持ってるアイテム見せ合うお」

 佐藤が何か言っていたが、何を言っているのか俺には理解できず、こっそりさっちゃんに通訳をお願いした。

 するとどうやら、みんなでアイテムを見せ合って、トレードしようって事のようだ。

 なんだ佐藤、意外と良い事言う奴だったんだな。

 ただ、日本語でオケだよ。

 そんなわけで、俺たちは近くの郵便ポストに移動して、倉庫からアイテムを取りだす。

 そしてそれを紙に書いて、みんなで見せ合った。

 とりあえず、「悪魔の羽」は俺が貰い、「鬼の角」は南が貰った。

 俺は「うさ耳」をつけていたから、「鬼の角」とは競合するという事でね。

 そんなわけで、みんなでトレードして、俺たちパーティは、各段に強くなった。

 俺の装備だが、順番に「偏光グラス」「軍服(大佐仕様)」「罪盾」「切れる中二病ソード」「霊のブーツ」「悪魔の羽」「炎のリング」となった。

「闇の黒タイツ」と「うさ耳」はトレードに出した。

 どう考えても、俺には似合わなかったから。

「闇の黒タイツ」は佐藤が着て、「うさ耳」は高橋がつける事になった。

 高橋のキャラは、「セクシービーキニ」と「うさ耳」でかなり良い感じだ。

 そして「うさ耳」により、炎属性がついた。

 南はトレードで、「アルフィン」という足ひれ装備を手に入れ、後は「水のリング」を手に入れて水属性が付与されれば、良い感じになるだろう。

 さっちゃんは「いぬ耳」をつけている風属性で、「ベロのムチ」を振りまわす。

 佐藤は「ネコ耳」に「闇の黒タイツ」と、装飾で「ネコの尻尾」をつけているので、正にデブの黒猫って感じだった。

 属性は、闇の水属性。

 そして吉田は、「鬼の角」を手に入れ、めでたく闇属性になったが、まだまだ方向性が決まっていない感じだった。

 トレードしたら、今日はもう帰る時間になっていた。

 俺は帰ってからも、冒険に出る予定だが、みんなはどうしているのだろう。

 そんな事を考えながら、俺はみんなと別れた。

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