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リア充RPG  作者: 秋華(秋山 華道)
17/44

十七回目

 荒川先輩を倒してからも、しばらくは戦いが続いたが、力の差は徐々に開き、今では我々の方が確実に強くなっていた。

 相手は受験生で、ゲームをする時間が少ない事、更にこちらは、親の買い物を手伝って、良いアイテムを常に集めている事が勝因だろう。

 だから学校の後、家に帰ってからの冒険という名の徘徊も、なんだか最近楽しくなってきていた。

 まずは情報を得る為に、交番に向かう。

 安藤と一日一回喋らないと、どうも落ち着かない。

 交番につくと、いつものように挨拶をかわす。

「うぃ~」

「おっ、きたな。今日も良い情報があるぞ」

 俺が挨拶をすると、安藤は想い人に会ったかのような、爽やかな笑顔をした。

 このおっさん、彼女とかいるのかな。

 まさかゲイじゃないだろうな。

 俺はちょっとだけ、体中に恐怖の痺れが走ったのを感じた。

「商店街の裏道あるだろ」

「ああ、あの人気ひとけの少ない」

 商店街の裏道と言えば、人通りが少なくて、「痴漢にご注意」みたいな看板が出ている、ちょっと薄暗い感じのする道だ。

 その道がどうかしたのだろうか。

「そうそう。その道にな、「ウンコ魔人」と、「ションベン女王」が出るらしいぞ」

 いや、そんな怪しいのがでるんだったら、警察が捕まえろよ。

 嬉しそうに笑顔で言う事じゃないだろ。

 ほらみろ、通りすがりの幼稚園児が、怖がっているじゃないか。

 つか安藤も、リアやれば良いのに。

 アイテムショップが本拠地とか、なんか格好良いじゃん。

 リアルの武器も持っているし、リアルとバーチャル、両方で世界を守る勇者になれよ。

 まあでも、安藤の言うモンスターは、ちょっと倒したいな。

 両方のモンスターを倒せば、なんか良いアイテムが貰えるとか、噂に聞くし。

 俺は軽く安藤に手を挙げると、商店街の裏道へと向かった。

 するとさっき、安藤の話に怖がっていた幼稚園児が、裏道の入り口で立ちつくしていた。

 おいおい、マジで怖がっているじゃねぇか。

 可哀相に。

 俺は仕方なく話しかけた。

「大丈夫だよ。お兄ちゃんがやっつけてやるから」

 俺がそう言うと、幼稚園児は俺の手をつかんで、ひっついてきた。

 ふむ、これは負けられないな。

 俺はドキドキしながら、幼稚園児と共に、モンスターに立ち向かう。

 なんだかそんな勇者、想像するとあり得ないが、まあこんな日もあっていいだろう。

 俺はスマフォを取りだし、カメラ越しに道を見る。

 そこには、しょぼい魔人と、しょっぱい女王が映されていた。

 なるほど、ウンコとションベンの意味は、そういう意味だったのね。

 どんなビジュアルなのか、一瞬期待しちまっていたぞ。

 俺は確認を終え、スマフォをポケットにしまおうとした。

 だけど、モンスターのビジュアルの上に、いつもは名前だけしか表示されていないはずなのに、それ以外に何かが書いてあったような気がして、もう一度確認してみた。

 すると、この二体のモンスターには、ペアモンスターと表示されていた。

 それは、両方倒さないとアイテムもモンスターも貰えない奴の事だ。

 なるほど、誰も倒せずに残っているはずだ。

 俺はゆっくりと、まずは「ウンコ魔人」に近づいていった。

 人通りの少ない道なので、俺はスマフォを見ながら進む。

 戦闘が始まった。

 すぐに結果が出る。

 ふぅ~、まずは勝利。

 意外と簡単に倒せたと思ったら、「ウンコ魔人」は地属性だったようだ。

 となると、「ションベン女王」は、きっと水属性か。

 俺はそう予想し、その場で止まって、「うさ耳」を外す。

 これで炎の魔法の威力は落ちるが、攻撃は主に「切れる中二病ソード」だから、大した問題はないだろう。

 それよりも水属性だったら相性悪いし、無属性の方が良い。

 俺は再び、幼稚園児の手を引いて、前に進んだ。

 さあ、勝てるかどうか・・・

 かろうじて、俺は勝利していた。

 危なかった。

 やはり予想通り、水属性だった。

 まったく、嫌らしいペアだな。

 どちらかに勝っても、もう一体は倒せないようにしていたわけだ。

 俺は、横で不安そうな顔をしている幼稚園児に、スマフォの画面を見せてあげた。

「ほら、「ウンコ魔人」と「ションベン女王」は、お兄ちゃんが捕まえたから、もう大丈夫だよ」

 すると幼稚園児は安心したようで、凄く喜んでいた。

「ウンコ、ウンコー!ションベン、ションベンー!」

 いや、そんな大声で叫ばれると、お兄ちゃん恥ずかしいんだけど。

 恥ずかしくてキョロキョロしていると、どうやら俺は挙動不審者と思われたようだ。

「誘拐よー!美沙子を返してー!」

 えー!

 俺、誘拐犯と思われてる?

「ママー!」

 どうやら幼稚園児のお母さんのようだけど、俺、誘拐犯じゃなくて、勇者なんだけど。

 近所の家から、人が出てきた。

 おいおい、勘弁してくれよ。

 結局、美沙子ちゃんの話と、警察官安藤のおかげで、俺の無実は証明された。

 お母さんからは、「すみません」とか謝られたけれど、俺は別に怒っていないし、二体のモンスターをゲットして気分が良かったので、笑顔で美沙子ちゃんとバイバイをした。

 その後俺は、ゲットしたアイテムをチェックした。

 するとそのアイテムは、なんと!「闇の黒タイツ」だった・・・

 いや、なんと言って良いのか。

 効果としては、正直凄くうれしい。

 俺に闇属性を付与する、超欲しかった効果がついている。

 しかしこれを着て、勇者を名乗れと言うのか?

 とりあえず着てみた。

 防御力も何故か意外にあって、ビジュアル以外は最高なのに。

 嫌がらせだ。

 これは絶対に、ゲーム制作会社の嫌がらせだ。

 だけど俺は、背に腹は代えられないと考え、仕方なくその装備をつける事にした。

 まあ特にピンチにあっているわけではないから、背に腹を代えなくても、別にいいんだけどね。

 とりあえず俺は、近くのポストに行って、今までつけていた装備は売らずに、倉庫に保存しておいた。

 改めてステータス画面を見ると、そこに映る俺の分身は、とても勇者には見えず、ハッキリ言って変態そのものだった。

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