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リア充RPG  作者: 秋華(秋山 華道)
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十五回目

 俺たちは休み時間の度に、「やんのかこらモード」にしてパーティを組み、みんなで連れ立って、校舎内を闊歩していた。

 傍から見ると、きっと新撰組のように見えるに違いない。

 他の生徒たちは、逃げるように我々に道をあける。

 はっはっは~、ユカイユカイ。

 しかし向こうから、我々と同じように、六人で歩いてくる一団があった。

 二年生の第二グループの面々だ。

 ちなみに我々は、各学年に存在するリアのグループを、学年と強さで分けて呼んでいる。

 要するに目の前のグループは、二年生の二番目に強いグループだ。

 今までの分析から、おそらく我々が負ける要素は無い。

 俺たちは真っ向勝負で、お互いの距離を詰めた。

 パーティでの戦いは、どちらかが全滅する事で決着がつく。

 死亡は全滅した時だけで、それまでは、やられたキャラはHPが一だけ残り、戦闘不能状態という事になる。

 全滅しなければ、戦いの後、回復行動が可能になり、またプレイが続行できるようになるというわけだ。

 後、一人でプレイしている場合でも、やられた後一分は、ゲームを続行する事ができる。

 だから直後なら、どんなモンスターにやられたのか、確認したりする事ができたり、別の勇者に蘇生を施されたりすれば、そこからゲーム続行が可能だ。

 ただし、その日やられた勇者やパーティとは、やられた方が本拠地に一旦戻らない限り、再戦は不可能だ。

 倒した相手を蘇生して、また倒して、また蘇生してを繰り返されると、経験値や宝具争奪戦に有利になってしまうから。

 まあとにかく、俺たちは今まさに、パーティ戦を行うべく、二年生第二グループとすれ違った。

 すれ違う時、相手のズボンのポケットから、スマフォのバイブ音が聞こえてきた。

 どうやら、我々の勝ちのようだ。

 俺たちは顔を見合わせて、ニヤリと笑った。

 その時俺は思った。

 こいつらみんな、俺を含めて、ヤバイ人間になっているのではないかと。

 いくら親孝行でも、いくら成績が上がっても、いくら健康的になっても、いくら社交的になっても、そしていくら一千万円の為だとしても、俺たちは、大切な何かを失っているのではないだろうか。

 俺は少し遠い目で、校舎の窓から見える太陽を眺めていた。

 って、目が痛いは!

 こんな感じで俺たちは、休み時間の度に、学校内の勇者たちを粉砕していった。

 先生たちがいない今、俺たちの敵は、きっと荒川先輩の、三年第一グループだけだろう。

 そこさえ倒せるようになれば、トイレも普通に行けるようになるかもしれない。

 毎日のように強力なモンスターを、トイレ入り口付近に配置しやがって、今では全員で倒してからじゃないと、トイレに入れないは。

 こちらも、そろそろ街にパーティで出かけて、強力なモンスターを仕入れてくる必要があるな。

 三年第一グループでも倒せないモンスターを大量に仕入れて、トイレ前に配置すれば、みんなトイレに行けなくなって、困る事だろう。

 むしろ教室の入り口に配置した方が良いか。

 でも、単独行動している勇者を倒しても、面白くもない。

 やはり勝負は堂々としないとな。

 トイレ前が堂々としているかどうかはわからないけれど。

 というわけで、放課後はみんなで街に出かけていた。

 俺たち六人が、みんで無事だったのは、もしかしたら今日が始めてかもしれない。

 確実に俺たちは強くなっている。

 せっかくなので、今日は、我がリアグループのメンバーを紹介しよう。

 今更とも思うが、まあ聞いてくれ。

 まずは俺、坂本直也さかもとなおや

 レベルは一番低いが、装備は充実しており、もしかしたら一番強いかもしれない。

 次に彼女の、鈴木幸奈すずきさちな

 レベルは現在も二位だし、装備もまずまずで、なかなか強い。

 俺の気持ちを読み取るのが得意だ。

 吉田由太よしだよしたは、このグループのリーダー的存在だが、実はあまり強くはないし、特にリーダーというわけでもない。

 レベルは五番目で、装備もそこそこ。

 佐藤悠二さとうゆうじはオタクで、レベルは一番、装備もかなり充実している。

 喋り方が気持ち悪くて、こいつが何を言っても、俺には言っている事が理解できない。

 みなみえりこは、喋らない女だが、偶に凄く喋りまくる時があるので一瞬ビビる。

 レベルは四番目のそこそこの勇者。

 高橋たかはしえりは、視力が良い事だけがチャームポイントの女。

 でも実は、結構破天荒極まりない。

 視力が良い事は周知の事実なのに、黒板が見えないからと、席を前にしてもらったり、井上のウインクを見て、遠慮なく吐いてみたり、結構面白い奴だ。

 なんにしても、男以外は俺好みのメンバーがそろっていた。

 俺が何処の誰とも分からないお前に仲間を紹介していると、道の向こうの交番前に、人が集まっているのが見えた。

 ちなみに、交番前は、プレイヤ同士のバトル禁止領域となっている。

「やんのかこらモード」にしていても、戦闘は起こらない。

 俺たちは遠慮なく、交番前へと進んだ。

「この交番、何売っているのか、チェックしようぜ」

 吉田の言葉に、みんなスマフォを取りだす。

 交番によっては、売っている物が違ったりするから、初めての交番では必ずチェックしてみるのが良いだろう。

 見ると、思わぬアイテムが売っていた。

「おい、ここの交番、「いぬ耳」売ってるぞ!」

「おっ、マジかお?でも僕は「ねこ耳」がほしいお」

 佐藤は何を言っているのか分からないが、吉田の言う通り、とにかくこの交番には、「いぬ耳」が売っていた。

 これをつけると、風属性が付与される。

 ちなみに、「ねこ耳」をつけると水属性、「くま耳」をつけると地属性が付与される。

 つか、なんて猫が水属性なんだよ。

 猫は水が嫌いなんだぞ?

 もっとよく考えて属性選べよ。

 さて、「いぬ耳」だが、俺には必要ない。

 俺の「切れる中二病ソード」は闇属性だし、使える魔法も炎系を選んでいる。

「うさ耳」があれば十分だろう。

 それに此処で売っている「いぬ耳」は、マイナスステータスがついていた。

 要するに、低品質の「いぬ耳」って事だ。

 だけど、風属性が欲しい人には、苦にならない程度のマイナスだから、欲しい人にとっては、これは使えるアイテムだ。

「私買おう。前から「いぬ耳」欲しかったんだぁ」

 そう言ったのは、彼女のさっちゃんだった。

 さっちゃんは、そう言えば風属性の魔法を好んで選んでいるみたいだった。

 俺はなんとなく、水属性じゃなくて良かったと思った。

 理由は・・・えっと・・・俺、炎属性だから、相性悪いじゃん?

 俺が尻にしかれてるみたいじゃん?

 それに「ねこ耳」は似合わないし、そういう意味では、ナイス制作会社だな。

 結局、「いぬ耳」を買ったのはさっちゃんだけで、後は南が「エビの鎧」を買っていた。

 南が「エビの鎧」を着た姿を見たが、凄く悲しくなるきぐるみ姿だった。

 だけどみんな、「似合ってるねぇ~」なんて褒めちゃって、南がノリノリになってしまったのは、見ていて更に悲しさを倍増させるものだった。

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