十四回目
最近はようやく、先生との戦いも互角以上に戦えるようになっていた。
俺も装備でかなり強くなり、レベルもみんなに追いついてきていた。
良い感じに強くなってきたので、我々は新たな作戦にでていた。
それは、プレイヤ同士の対決で、直接相手を倒す作戦だった。
プレイヤは、普段は「とおりすがりモード」でプレイしていて、プレイヤと出会っても、何事もなくすれ違う。
しかし、別のプレイヤと出会った時、どちらかのプレイヤが「やんのかこらモード」にしていると、プレイヤ同士の戦いが始まり、決着をつける事になるのだ。
前までは、自分が勇者である事を隠してプレイしていたから、プレイヤ同士のあからさまな戦いは避けていたが、対する相手をお互い知ってしまった今、隠しておく必要もない。
多くのプレイヤは、みんな既に顔がわれている。
そろそろガチンコ対決をする時期だった。
そんなある日の事だった。
数学の井上に、俺は職員室に呼び出された。
なんだ?どういう事だ?
理不尽にも俺は怒られなければならないのだろうか。
とにかく俺は、パーティの高橋を連れ立って、職員室へと足を踏み入れた。
そして井上の前に立つ。
井上はこちらに椅子を向けると、クイクイと寄ってくるように促してきた。
俺と高橋は、井上の方に耳を傾ける。
すると井上は、小さな声で言ってきた。
「せっかく最近面白くなってきて、坂本の成績も上がってきていたのに、残念ではあるが、先生たちは、学校でこのゲームができなくなったんだ」
えっ、どういう事だ?
もしかして校長にばれて、スマフォ持ち込み禁止になったとか?
「保護者の方から苦情がきてさ。その保護者ってのが、三年の荒川のところの親でさ」
なんと!
荒川先輩と言えば、俺達の倒すリストのトップに入っている勇者ではないか。
姑息な手段を使いやがる。
「仇はとります」
俺は先生にサムズアップすると、笑顔でウインクした。
すると井上も、サムズアップを返して、笑顔でウインクしてきた。
俺は一瞬、井上のウインクが気持ち悪くて吐きそうになったが、かろうじて堪えた。
だけど隣の高橋は、遠慮なく吐いていた。
職員室に、ほのかな香りが漂う。
俺たちは無言のまま、逃げるように職員室を後にした。




