十二回目
家に戻ってから、俺はさっちゃんにメールして、会議の結果を尋ねた。
すると返ってきたメールには、「親の買い物をとにかく手伝って、アイテムを集める事に決まった」なんて書いてあった。
なんだよそれ。
最近町を歩き回って疲れているのに、更に疲れるような事をしろって事か。
って、よく考えたら、どうせ歩きまわるんだから、買い物しても対して変わらねぇじゃねぇか。
まったく、最近の俺はおかしいぞ?
つい最近までは、部屋に引きこもってゲーム三昧だったのに、今では外を出歩きゲーム三昧だ。
しかも、教師との仁義なき戦いをしているせいで、成績まで上がってきているし、足腰鍛えられて健康的だし、ご飯は美味しいし、この上親の手伝いをするなんて。
俺はもしかして、リアに改造されているのではないだろうか。
まあ、そんな事を考えていても意味がないな。
とりあえず母さんに、買い物の手伝いができないか聞いてみよう。
俺は自室を出て、台所へと向かった。
「母さん、何か買い物あるなら、俺行ってくるけど?」
俺がそう言うと、母さんは驚いていた。
挙句涙まで流し始めた。
おいおい、俺ってそんなに親不孝な息子だったのか。
くそっ、ちょっと俺まで感動してきたじゃねぇか。
これからは、少しは親の手伝いもしてやろう。
しかし俺がそう思ったのもつかの間、母さんは俺を不審の目で見てきた。
「あんた、最近夜遅くまで町を徘徊してるんだってね。三丁目の交番の安藤さんが言っていたよ。買い物はいいから・・・」
母さんは此処まで話して、驚いた顔で俺を見ていた。
なんだ?どうした?
つかあの警察官、安藤って言うのか。
つかなんで、俺の母さんと話なんかしてるんだ?
もしかして・・・
俺も母さんを驚いた顔で見つめていた。
「もしかしてあんた、リアルRPGやってるのかい?」
「という母さんも・・・」
俺は母さんと抱きあった。
「直也!」
「母さん!」
って、俺たち何してるんだ?
別にそんな場面でもないだろうに。
とりあえず俺は母さんを引きはがし、右手を差し出した。
「スマフォ」
俺は母さんのスマフォを要求した。
母さんはポケットからスマフォを取りだして、俺の右手に乗せた。
そして適当に操作して、キャラのステータスを見てみる。
レベル低!
でもアイテムめっさ強!
そして名前も「母」かい!
流石親子だな。
「どうだい?母さん強いかい」
母さんが聞いてきた。
正直、アイテムのおかげで俺より強いが、レベルは俺の半分以下だった。
俺は無言で、俺のキャラのステータスを見せた。
「あんた強いね。母さんよく分からないし、アイテム全部あげようか?」
なんと、この強力なアイテムをくれると言うのかい、母さん!
「うん、欲しい」
すると母さんは、俺からスマフォを受け取り、操作し始めた。
仲間登録をして、それからアイテムを全部くれた。
母さん、今日生まれて初めて、俺は母さんに対してお礼が言いたくなったよ。
「ありがとう」
すると母さんは、「一千万貰ったら、半分頂戴ね」と言ってきた。
くそっ、少しでもお礼を言った俺が、バカみたいに思えてきた。
だけど今のままだったら、俺はきっと勝てなかっただろうから、これで戦えるようになったのも確かだ。
俺は黙って頷いた。
夕食の後、俺は今日も、夜の町を徘徊するのだった。
そして結局、買い物もやらされたのだった。




