十一回目
いつの間にか俺たちは、教師たちとの仁義なき戦いを繰り返していた。
どうやら教師でリアをやっているのは、数学教師だけではなく、他にも何人かいるようなのだ。
まったく、教師のくせに学校でゲームとか、なかなか良い仕事しやがるぜ。
俺は真面目な教師より、こういう教師の方が好きだ。
ちゃんと本音でぶつかりあえるからな。
それにゲームの事を、成績に影響させるような事はしていないようだし。
つかむしろ、成績は上がっていたりする。
昨日やった抜き打ちテストでは、数学七十点とか、俺にあるまじき点数だ。
当てられても、前に出ないで口頭で全部こたえられるようにしていたら、いつの間にか俺は、勉強していたようなのだ。
こんな裏ワザがあるなら、もっと早くに知りたかったぜ。
そんなわけで、テーブルの下で足を踏み合うような戦いは、なかなか楽しかった。
しかし流石に相手は教師、一応大人に分類される人間だから、こちらがやられる方が多かった。
俺達は緊急対策会議を開いていた。
「坂本、お前、井上との勝負はどんな感じだ?」
井上って誰だ?
俺は、吉田の言う井上が、誰の事だか分からなかった。
「数学教師だよ」
さっちゃんの言葉に、俺は理解した。
なんだあいつ、井上って名前があったのか。
俺はぶっちゃけ、奴の事は人間だと理解していなかったから、名前なんて無いのかと思っていたよ。
「一進一退だな」
一進一退ってよりは、俺の完敗に近かったが、俺にしては頑張っている方だろう。
毎日充実しているしな。
「なるほどな。どうやらみんな先生たちには負けているのか」
おいおい吉田、俺は一進一退と言ったのだぞ。
ちゃんと理解してくれよ。
しかし、みんな先生にはかなわないのか。
あいつら一体、どうやってレベル上げしているんだ。
俺はそう思いながら、彼女にアイコンタクトをした。
「えっと~。直也くんが、あいつら、一体どうやってレベルあげてるんだ?だってぇ~」
うむ、相変わらずさっちゃんは、俺の事をよく分かってくれている。
「確かにそうだな。なんであいつらあんなに強いんだ?」
吉田もどうやら、その答えは分かっていなかったようだ。
すると普段は俺以上に無口な「南りえこ」が、突然喋りだした。
「それは簡単だと思うの。きっと店で買い物をいっぱいして、良いアイテムを貰っているに違いないと思うの。私もお母さんのお買いものを進んで手伝うようにして、頑張って集めているけど、やっぱり大人の買い物には叶わないと思うの。買い物で貰えるアイテムってやたらと使えるの多いし、要するに私が言いたいのは、金の力って言いたいと思うの」
南は普段マジで喋らないのに、いきなり喋りだしたと思ったら、凄いなおい。
でも言いたい事は分かった。
俺も服買った時に貰った「うさ耳」のおかげで、「イシコローン」倒せたしな。
「南ちゃんの言うとりだと思うお。やっぱり対抗するには、親の買い物を手伝って、僕たちもアイテムゲットするしかないお」
佐藤はあいかわらず、よく分からないオタ喋りをするな。
気持ち悪くて何喋っているのか、理解できないのだが。
まあいい。
作戦の結果は、後でさっちゃんにメールして聞けばいいや。
俺はそう判断し、会議は後の五人に任せて机に突っ伏した。




