2話
ゴゴゴゴゴゴゴ
大きな音がすぐ近くで聞こえた。どんどん近づいてくる。
音の方向を見ると、大型トラックが...
「聞こえてますか?」
思い切って目を開けると、青い空と2、3個の雲だけが映った。
誰かの声はまだ何かしゃっべている。
「生きてますか~?」
体に力が入らない。起き上がれない。耳元で足音がする。誰かが視界に入ってきた。
「生きてるじゃない」
髪の長い女の人だった。歳は20歳ぐらい、俺と同じぐらいか?
節々が痛い体を何とか起こして座った。
「俺はどうなったんですか?」俺が聞くと、
「どうなったも、こうなったもないですよ。私が聞きたいくらいです」
彼女はよくわからないことを言った。どういうことかと聞きながら顔を上げると、さっきまで都会の見慣れた道路だったところが、木だらけの森になっているではないか
「ここどこ」
2人は少し沈黙をおいてから目を合わせた。
まさか最近流行りの転生系漫画が現実で俺に..いやそんなわけ....あるかも。
「あの、あなたさっきここへ来る前に事故に遭いました?」
彼女がいきなり聞いてきた。そうだと答えると少し安心したように笑った。
「どうしてわかったんですか」
「私もおなじですから」彼女は言った。
話を聞くと俺も彼女もこの森の中へ来る前に同じように交通事故に遭ったらしい。
ならここは、事故に遭った人が集められているのだろうか。
でも周りに人の気配はない。どこを見ても木しかない。
その時...
目の前トランプのカードみたいなのが10枚くらい出てきた。
「なんだこれ」
「何がですか?」
彼女には見えていないのか。
「これ見えない?」
何も見えないと答えると彼女は周りを確認してくると離れて行ってしまった。
このカードは何だ。
どのカードも両面に模様が書いているだけで数字もマークもない。
試しに1枚触ってみるか。
真ん中のカードを触ってみると...
触ったカードだけが光りだした。すると、模様しかなかった面に絵が浮かび上がってきた。
その絵は、真ん中に死神に似たどくろがいて、その周りにいくつかのカラフルな丸がある。
意味は全く分からない。もう1度そのカードを触ってみると他のカードが光りながら消えた。
残った1枚は青白い光を放ちながら俺に近づいてきた。
すると、さっきまで浮いていたカードが足元に落ちた。
拾ってみるとやっぱり絵の描かれたトランプだった。
なんかよくわからんが一応ポケットに入れておこう。
「何かあった?」
姿が見えない彼女に大きな声で呼びかけると
「ちょっと来てください!」と少し離れた所から声が返ってきた。