旅立ち
コロニー・フィオナの領主の館の応接間で領主はアスラは勿論、娘のドルフィナとジェイソンを交えて話をした。
「BBB団の襲撃を聞きました。ご無事で何よりです。」
襲撃の件を兵達から聞いたアスラは領主を労った。
「まあ、撃退出来たのはジェイソンのお陰だ。彼の的確な行動が大きいとわしは思うがな。」
領主はBBB団を撃退に一役買ったのはジェイソンだと述べた。
「それがしら等まだまだに過ぎません。娘のカムイ『クジライヌ』の大きな身体に水しぶきがBBB団に恐慌を齎し、そこに乗じて奇襲を仕掛けただけの事です。」
ジェイソンもドルフィナの相棒の水属性動物型巨大カムイ『クジライヌ』のお陰と謙遜した。
「ところでですが…、BBB団とは一体…?」
アスラは領主にBBB団について尋ねた。
「ブラーガルドのブラック組織だ。略奪、襲撃等手段を選ばない為、BTから摘発の対象となっておる。わしらが安心して生きられるのもBT…、いや、管轄する雫の騎士団のお陰だな。ああ、あとミドルガルドで新たな情報が入った。かのアスティアがブルー地方とパープル地方を統一したとの事だ。」
「なっ…、何と…!」
「このままモルガナまで勢力を広げられたら最悪じゃな…。アスティアがこのまま世界の頂に立つと…、ミドルガルドに輝ける未来はない…。」
アスラとジェイソンはアスティア王国の勢力が年々拡大していく事を危惧した。
「爺、行こう。これ以上アスティアを放っておくわけにはいかない。僕は15なんだ。水の加護もあるんだ。」
「若、それがしも同じです。何としてもアスティアを止めましょう。」
アスラとジェイソンはコロニー・フィオナを出る決心をした。
「そうか…、旅立つのか…。娘よ…、お前も彼らの力になってやれ。お前の相棒のクジライヌと共にな。」
「お父様…、フィオナは大丈夫でしょうか?またBBB団が…。」
領主は娘ドルフィナにクジライヌと共にアスラ達の力になるよう命じるが、ドルフィナはフィオナの事を案じた。
「案ずるには及ばぬ。ウンディーネとBTの連携もあるのだからな。危機あらば必ず駆けつけるさ。」
領主は娘ドルフィナに心配いらないと述べた。
「わかりました、お父様…。ドルフィナ、クジライヌと共に皆の力になります!では、ジェイソンさん、アスラ、宜しくお願いします!」
ドルフィナは皆に自分の決意を伝えた。
「ああ、それからだが…、いきなりアスティアに戻るのは危険だ。アスティアの軍事力はBBB団とは比べ物にならぬ程強大だと聞く。ならば…、各ガルドを回って紋章を集めてからでも遅くはあるまい。生涯の友等、色んな出逢いがきっとあるかもしれないぞ。」
領主はアスラ達に『紋章集め』を奨めた。
「わかりました…。では…、行き先はどうすべきでしょうか…?」
アスラは領主に自分達の行き先について尋ねた。
「そうだな…、グルンガルドが吉だな…。森の中で迷いやすいが、空にそびえる大樹を目指すといいだろう。そこにグルンガルドの国境なき騎士団『四つ葉の騎士団』の拠点がある。そこで四つ葉の紋章を授かるといいだろう。」
領主はグルンガルドを奨めた。
「有難うございました。」
アスラは領主にお礼を述べた。
紋章集め…各ガルドのELエムブレムを集めるというブルドラシルのAU達の務めの一つ。ELエムブレムを集めると、ELアーツやELアビリティ等のスキルの幅が広がったり、カムイと連携を取ったりと様々なご利益がある。その為、ELエムブレムはAUの重要アイテムである。
そして、夕焼けの船着き場ではクジライヌに乗る前に領主や村人達がアスラ達を見送る為にやってきた。
「お世話になりました。それがし共は参ります。」
「皆、お達者で…。お父様…、私…、行って参ります…。」
「娘の事はそれがし共にお任せ下さい。では、参ります。」
アスラ達は出発の挨拶をした。ドルフィナは父や故郷との別れに涙が止まらなかった。
「うむ、皆に水の加護を!」
アスラとドルフィナとジェイソンに旧マルス兵達はクジライヌの中に乗って出航した。果たしてアスラ達にどんな出逢いが待っているのか?