96 双子座の意味
今週テストあるのに何小節書いてるんだ、って怒られた。ごもっともです。
星を見ていた。
窓の外を見れば綺麗な夜空に星が見えた。お母さんは、私たちにお星さまの図鑑をプレゼントしてくれた。その図鑑に載ってる星を見つけるため、夜通し窓の外を眺めてた日もあった。
一番好きな星座は双子座。なぜなら私たちに一番似ているから。
そして、ここグランドエデンにて双子座テイマーの称号を得た。
運命を感じた、希望を見つけた。
この称号に恥じぬ勇者になるため、今日もまた限りある一生を楽しむ。
なのに…
なのに……
「「なのに…」」
あのお馬さんのせいで、胸糞悪くなった。
「なぜ、そこまで怒る。ここの連中は頭のいかれた野郎しかいないのか?」
クロムとノアルが使役するトレントの蔓を、しなやかに打つ返し続けるカルマの槍捌きは見事なものであった。数多の連撃も死角からの攻撃も全て、通用する気配がない。
「称号持ちと知り少しは期待をしていたんだがそんなものか。もし、まだ隠している力があるのなら使いたまえ」
「どうする、ノアルちゃん」
「どうするか、クロムちゃん」
「一旦トレント引っ込める?」
「そしたら、羊さんが逃げ…フリーになっちゃうよ」
「メェェ…いつまで吊るされていればいいのよぉ」
そう、現状騎士団の一人を捕縛した状態で戦っている。とはいえ、相手側は一切見向きをしない。むしろ足かせが無くなり動きやすくなったというべきか。
そんな現状を、捕縛されたメービィーも薄々察したらしくあきらめムードをにじみ出していた。
「とりあえず、別の子サモンする?羊さんはほかの子に捕まえてもらお」
「しよしよ、そうしよ。羊さんは…あまり強くないみたいだしスライム一匹でもいいと思う」
「メッ!?スラ…イ」
「大丈夫だよ、暴れない限りおとなしくさせとくから」
「平気だよ、暴れなければ服とかとかされないと思うから」
「メ……ーーーー!?」
あながち冗談の域を出ない発言。装備には耐久地が定められており、それが無くなれば破損し消えてなくなる。シーフやアサシンなどの軽装備の者は特に気を付けなければならないだろう。
そんなシステムがある以上、己の貞操を守るべく流されるがままに、重くのしかかるスライムを受け入れるのであった。
「あれ…意外とこの子、小さくて可愛…」
「さて、お待たせしました」
「ここから、マジの本気で挑みたいと思います」
「ふむ、やっとか。アーラよ、ここからは援護を頼むぞ」
「わ、わかってるわよ。つかこれ以上放置しようものならアンタのこと殴ってたから」
「やめとけ。その拳では我が鎧で怪我を負わせかねん」
「相変わらず口減らず」
「「では、心してかかってきなさい」」
「来るぞ…」
双子は天にその手を伸ばし、魔方陣を展開した。空を覆ってるのかと錯覚するぐらい大きなそれは、光の帯を伸ばし、ドーム状の結界を作成した。
『奥義…』
「なに…?」
『双子座星雲・黒星の牢獄』
双子の掛け声と共に結界が完成し、ドーム状の空が星を映し出す。同時に流れ星に複数の流れ星が落ちてきた。
「キラキラ、宇宙の神秘」
「キラキラ、宇宙の結晶」
「「それが砕けた時、本来の形を取り戻す」」
空から降り注ぐ星の結晶。それは、みるみる生物の姿を形どったモノへと変形していった。その容姿はまるで、かの白霊狐が用いる銀霊のそれと似ていた。ただし、その形は全く別物のモンスターのそれであった。
「奥義だと。それを使えるプレーヤーはグリコ様だけではなかったのか!?」
「知るかそんなこと。どう見たって雑魚の模造品じゃないか」
「確かにウルフやロック、トレント…第一の島『イスティア』に生息するモンスターばかりだな。これまた懐かしいものを」
「いいから全部かたずけるわよ。ボムを食らいやがれ!」
アーラの投げた爆弾は、今いるモンスターを半分ほど一掃した。だが、それはつかの間のこと。新たに降りそそいだ流れ星によって、新に召喚された。それだけにとどまらず、倒したはずのモンスターも新たなる姿となり復活した。
「直感で分かった、これまずいよ。増えるからキリがないし、強化されて復活する様子だし」
「ならば、より不利な状況になる前にここを出るか、術者を倒すまで!」
自慢の金属馬にまたがり、双子の元へ速攻を仕掛ける。道中モンスターに阻まれるも、その手のランスで蹴散らされるだけでスピードが緩むことは無かった。
「力を見せろといった手前、後も早く葬るのは少々悪いかもしれんがこの際しょうがない。不利になる前に終わらせる」
「別に、その心配はいらないよ」
「私達はまだ何も仕掛けてない」
「なに…まだ何か」
「サモン、ミドルナイト」
現れるは純白の騎士。その手に持つロングソードを構えたカルマに襲いかかる。
「フン、この程度…」
「サモン、ボムライダー」
「は…?」
召喚されたミドルナイトもろとも、爆弾を抱えた人形によって爆発した。金属馬はガラクタに、ガルム本人も甲冑が取れその素顔を見せる。
「あの騎士は囮か。だがこの程度で」
「いやー、勘違いしないでね」
「そう、まだ終わってないよ」
爆炎を切り裂き、現れるは先程のナイト。爆発をもろともせずその刃を振りかぶった。それは、喉を切り裂く致命的な一撃となり、メービィーの加護を破壊した上で負傷効果を付与した。
「何、勝手に突っ走って怪我してんのよ。協力しろと言ったあんたが統率見出してどうする」
「すまない。だが、傷が深くて動くたび痺れが走る。これは中々やってくれたものだ」
「あんたはそこで回復してろ。早くしないとこのまま押し切られるからな」
「気をつけろ…そいつは」
「ボムが効かない。だったら真っ当に戦ってやる」
「君たちに、まだ勝てる希望はあるのかな?」
「君たちは、この技の本当の怖さをまだ知らないくせに」
「ああもう。何でこんな面倒なことなるのよ」
嘆いても仕方ない。正面からは純白の騎士。後ろからはモンスターの群れが押し寄せる。
ただ、そんな絶体絶命の二人を背景にメービィーはあのスライムとほのぼの過ごしていた。
次回、土曜投稿予定。




