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ゲームは狐と共にあり  作者: フィング
第4章みんな個性豊か
97/132

95 馬は無情

 (っ~_~)ネミイ

 真っ暗闇となった町の中心で、もし晴れていたのなら綺麗な夜空が拝めたであろう。しかし、天気は生憎の曇り時々毒瓶であった。


「ねえねえ、ピエロさん。すっごい暇なんだけど」


「ねえねえ、ピエロさん。とっても暇なんだけど」


「そうは言ってもネ、司令塔の狐影がどっか行っちゃったからネェ」


「じゃあ、私たちも戦いに参加しよ」


「じゃあ、私たちも参戦しに行こ」


「どうしたものかナァ~?」


 そう言い、ジェフリーは時計台についてる窓に目を向けた。そこには、双眼鏡を覗き込むホーの姿があった。


 西からは爆発による炎の柱が立ち上り、南では毒瓶の雨が降っていた。北は…なんか凄い罵声が聞こえてくる。いずれも、スラム陣営側が不利なように見えた。そこで、ホーは下で待っている三人に指示を出す。


「作戦通りみんなを収集するよ。そしてクロムとノアルは西側を、ジェフリーは北を、アタシは南を担当する。さあ、チャチャッと終わらせましょう」


「了・解」


「戦闘へ……」


「ゴー!」


「さぁて、覚悟してなさいソーラ。絶対痛い目に遭ってもらうからね」


 真っ暗なこの街で、闘志で燃えるプレーヤーが動き出した。たかが数名、普通ならそう思うであろう。事実、この戦況を一変させるほどの実力者はこのゲームにて、ほんの数名しかいない。


 たかが無名、たかがスラムの住人。だが、侮ることなかれ。この世の全てが常識の範疇で回り動いてるわけじゃないのだから。


 =☆☆=☆☆=☆☆=


 戦闘開始から一時間近くが過ぎたころだろう、相手の動きが変わった。

 先ほどまでこちらの隙を探り殺しにかかってきた連中が、あからさまに距離をとり始めた。その相手は雀蜂というギルドの連中であり、悪名高い連中でありながら、彼らの連携力は尊敬に値するほどの者であった。 


 そんな彼らが身を潜めず、追ってくれっと言わんばかりに見せるその背中に違和感を持った。


「あの、アーラさ…」


「話しかけないでくれる、鬱陶しい」


「じゃ、じゃあカルマさ…」


「話している暇があるならスピードバフをかけてもらいたい。彼らがまた何か仕掛けてくる前にここで仕留めておきたいのだ」


「メェ…わかりました」


 しかし、誰も聞く耳を持ってくれない。カルマは薄々相手が誘ってきていることに気づいているようだが、その突破方法が脳筋が過ぎる。

 言われた通り、スピードバフをかけるがまだ相手との距離が縮まらない。


「くそ、もうちょい早くなんねーのかよ」


「こうなったら、我が先行し壁を作るとしよう。この金属馬があれば追いつくなんてそう難しくはない」


 するとカルマはまたがる金属馬と共に加速していった。青いオーラと光の粒子を纏い、風を切る姿はまさしく流星のごとく美しかった。


「メッ!?雀蜂の人達が広いところに出たよ」


「問題ない。我にかかればこんな開けた場でも…」


 走った勢いを殺さぬままカルマは馬を飛び降り、そのスピアを地面に突き刺した。


「アース・キャッスル!」


 地面が盛り上がり、城壁を連想させるような大きな壁が生成された。これでもう、逃げ場はない。


「八方塞がりだ。観念して、その命をささげてもらおうか」


 青空騎士団もといカルマには、この場で相手に死の覚悟を与えるほど器のデカい男ではなかった。故に雰囲気というものを意識せず、ただ一直線に相手のリーダーめがけてそのスピアを突き刺した。


「が、は…」


「あ、姉御!?」


「ふむ、まずはリーダーを打ち取ったり」


 確実に、その矛先は相手の心臓を貫いていた。ただ無慈悲に、ただ無情で。


「くるし…お、兄ちゃ…」


 女の目線は一人のナイトに向けられた。そして砕け散り、死亡エフェクトであるガラスの破片がその場で弾けた。


「お、お前」


「なるほど、兄妹そろってゲームを遊んでたとみる。違うか、ナイトの男よ」


「…そうだ」


「それにしても哀れ。なぜわざわざ、悪に勤しむのだ?悪は必ず正義の名の元いつかは裁かれるものだ。そんなことを分かっているのなら何故涙をこぼす」


「肉親がああも無様に殺される姿を見たら泣くに決まっている。お前に人の心はないのか!?」


「ふむ、心外だな。同情してほしいのか?たかがゲームでそう熱くなる必要はないだろ」


「………」


 ナイトはただその拳を、怒りの限り握りしめた。

 他の仲間も同様、相手の言い草に腹を立てていた。


「まさか、これほど感情的になるとは思っていなかった。正直失望したよ、もう少し理性的で賢いやつらだと思っていたからな」


「その減らず口を閉ざさんか!!」


「……これは、耳にくる」


 そこへ、メービィーとアーラが遅れてやって来た。突然叫ばれた罵声に耳を塞ぎながら、カルマと合流を果たす。


「や、やっと追いついたメェェ…」


「ウ・ル・サ!耳キーンってきたんだが何なの!?」


「問題ない。ただ向こうが勝手に怒り散らしてるだけにすぎん」


「あっそ。で、それだけ?ならさっさとこいつら片付けてしまいましょ」


「早速またバフをかけたまえメービィー。こんな雑魚どもに費やす時間などもうない…メービィー?おいどこ行ったあいつ」


「さっきまでいたわよね?本とどこ行ったのよ!」


「・・だ・・ェ」


「ん?」


「ここだメェェ!」


「な!??」


「あれは、トレント!?」


 その蔓で持ち上げられるメービィー。彼女を吊り上げるは、生成された壁に根ずく巨大なトレント。


「ひどいな~あの馬の人」


「ひどいね~あの馬の方」


「なんだお前は、こいつらの味方か?」


「私達は、ギルド駒狐の一員」


「私達は、双子座のテイマー」


「「なんかムカつくから君から倒す」」


「ふむ。奴らに加担するなら、こっちは正義を執行するまで」


 雀蜂は怒りを叫び、羊は宙釣りに、双子は冷たい視線で見下ろし、馬はただただ無情で。

 カオスなこの場で、一番の狂人である兎が困惑するといった不思議な光景。だが、そんな中で新たな戦いの火ぶたが上がる。

 次回月曜投稿予定……………



 なんか区切りつけて、書き方変えたいんだよな。


 新しく書き始めた『風の鳴る頃』見ればわかるけど、質の高い作品を書けなくは無いんだよね。個人的に書籍化しても恥ずかしくないレベルの……


 ちょっとスラム防衛編を書き終わった後にどうするか考えてみようと思います。

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