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ゲームは狐と共にあり  作者: フィング
第4章みんな個性豊か
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87 決断を

 ジェフリーにとある一通のメールが届く。


『ジェフリー様、大事なお話がございます。青空騎士団を代表し、再びお話をしに伺いたいのですがよろしいですか?』


 そのメールには、すぐ返答が帰ってきた。


『問題は無いよ。時間、空けとくからね』


 メールでのやり取りはこれで終わり。

 寂しくもあれば切なくもある。でも今は、友達として会いに行くのではなく、使者として向かうのだから。


「それでも、これが()()に会えるチャンス。せめて、サヨナラは言いたいな」


 その言葉が誰かの耳に入ることはなかった。しんみりとした空気の中、ラットはスラム街に向かうのだった。


 =☆☆=☆☆=☆☆=


「これから自分は学校に向かいますが、ジェフリーさんはこのままゲームを続けるのですか?」


 日が変わり、早朝。今ギルドの中にいるのはピエロと狐の二人だけだった。


 とはいえ、狐影はやるべきことを今の内に済ませ、ログアウトする直前であった。


「今日は、かれこれ仕事も何もない日でネ。こっちの用事を優先するノネ」


「そうですか。頑張ってください」


 そう言い、狐影はログアウトした。


 それを見計らったかのように、天井からラットが飛び降りてきた。音を立てず着地する姿は『プロ』を連想させる。


「やあ。またせたかネ?ラット君」


「別に、待ってはいない。あと、いつから気づいてた?」


「天窓を開けて入ってきたときからだヨ」


「ほぼほぼ最初からじゃないですか」


「まあ、そう興奮することじゃないヨ。そうだね〜気晴らしに散歩にでも行こうか?」


「は?」


「ついてきてネー」


「ちょっ、待ってください」


 大事な話があるというのに、外に出るなど怠慢である。


 さらに、外はスラム街。犯罪プレーヤーがはびこる無法地帯である。いくらそこにギルドを持つ者とはいえ、あまりにも危険だとヒヤヒヤしてしまう。


 己の身も安全ではないと承知していながらも、ラットは、ジェフリーの後を追った。


「待ってください。危険じゃないですか!?」


「さては、地理ばっか調べてプレーヤー達を見てなかったネ」


「え?まあ、必要ありませんでしたし」


「イヤ、そこそこ!とても大事なところだよー!」


「大事?」


「みんなここを危険な場所と呼ぶけどネ〜それは違うのサ。みんな、ここ特有のルールを守り、密かに暮らしているのヨ」


「ですが、許可なき者にはいつだって制裁がくだされる。犯罪者も真っ当な人であっても……」


「それは、賞金目が眩んだ欲深い人間のことさ」


「欲深い……人間」


 ラットは、心の奥底で引っかかる何かを感じた。かと言って、彼が嘘を言ってる様子はない。

 この慣れぬ感情に戸惑いながらも、話を聞き続けた。


「そもそも、赤いピアスという犯罪者の証は結構最近に実装された物サネ。でも、実装時点ですでに余罪がある者全てにも付けられてしまった。ワタクシ、その事実がとてもキニイラナイ!」


「きゅ、急に大声出さないでください」


「ラット君も、その被害者なんだと推測するヨ」


「………っ!?」


 彼の言うことに間違いはない。

 改めて、ジェフリーの観察眼には驚かされた。話してないこと、隠していたことを見抜いてしまう。

 凄いと思うが、同時に怖くもあった。だが、彼なりに配慮しているとは感じていた。


「ピエロはいつだってスマイル。それは、観客を笑わせるためにわざとそうしている。いつ何時だって、仮面や化粧を用いて安い笑顔を提供している。苦しい感情を一切表に出してはならないのさ」


「また同じようなことを言う。もう、聞き飽きた」


「でも、君はまだ理解していない」


「理解してる」


「じゃあ、答えを言わせてもらうケド……騎士団との不可侵条約は断らせてもらうよ」


「何で……!?」


「言ったでしょ、ワタクシはいつだって笑顔の味方。たとえそれが、犯罪プレーヤーだとしても、笑顔を葬る行為は断じてユルサナイ!」


 表情は変わらない。しかし、可視化するかの様に怒りの思念が吹き出してくる。


 同時に周りの者達は、NPCプレーヤー構わず逃げの衝動にかられていった。


「少しばかり、じゃれ合いといこうか」


 ジェフリーの笑顔に恐怖を覚えた。

 謎めいたピエロによって、初めて見られる戦闘。

 彼と対峙するする鼠の運命やいかに!?


 次回、土曜日

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