82 デジャヴな珍事件
サブタイトル変えた。
個人的に、このギャグ好き。
どんなに微笑まれても、どんなに優しく話しかけられても、気を許すことはなかった。
ただ、今になってピリピリしていることがバカらしく思えた。
「まてー、逃げるなー!」
「いけー、トレントー!」
「なんかデジャヴー!?」
「ちょっとお三方、静かにしてくれんかね」
トレントに乗り操る双子が、白い狐のパジャマ的なアレを着た狐影を捕まえようと必死になっていた。
ジェフリーは、傍らで防具を修理している鍛冶市の元へ行き状況の説明をねだった。
「まあこの状況なんだが、なるべくして起きたというか何というか……最初、あたしが狐影の防具を修理するってところから始まるのさね」
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《おもむろな回想、15分前》
「なあ狐影や。一応聞くがアタシ以外に鍛冶師のツテがないんだろ。その間防具や武具のメンテナンスはどうしてたんだい」
「一応、ホーさんに教えてもらった通り自個メンテはしてましたが……」
「それじゃあ、耐久は完全に回復しないさね。下手に壊して素っ裸になりたかないだろ」
「え?」
素っ裸になる、は少々語弊があるため訂正すると、防具にも耐久値は定まっており無くなればもちろん壊れる。
本来多くのプレーヤーは重ね着などで防御力などを上げるが、シーフなど軽装備を理想とする者たちは必然的に布面積が減り、最悪壊れて下着姿になりかねないだとか。
「とりあえず、それ脱いでこっちに渡しな。直してあげるからね」
「ですがこれ以外に着るものが……」
「ほんと壊れた時の対処、一切考えてなかったんだね。ほら、これやるから変わりに着てくれ」
「ありがとうございます」
その後、渡された装備があの『パジャマ』だとは思いもしなかった。
事実、双子に言われるまでただ温かい厚着としか思っていなかった。案の定、その双子に追い回されるはめになった。
=☆☆=☆☆=☆☆=
「少しは見られてることに恥じらいを持つべきだね。あの娘、男じみた性格してるからね」
「そもそも、狐影ちゃんは性別はどっちなのかナ?」
「ゆうちょうに話す暇ない。放置してて、良くないだろ。いろいろ壊されてる」
「そこは問題ないと思うヨ。ここいらの家具は、あの双子が作った物だしネ」
「あら、そうだったんだねぇ。後でその木の素材譲ってもらおうかな」
トレント暴れる一室の中で、狐影を心配する者はいなかった。ただし、そんなことを気にする余裕など彼にはなかった。
=☆☆=☆☆=☆☆=
「さて、装備のメンテナンスが終わったよ」
「アリガトウゴザイマス」
双子に左右から抱きしめられながら、げっそりした顔を見せる。声にも力が入っていなかった。
「それと、最初に渡した白霊のなりきりパジャマはそのまま持っときな」
「サイズといい尻尾穴といい、これ確実に自分用に作ってましたね。てか狙ってましたね」
「さて、なんのことやら」
「………」
そもそも、狐影に対して白霊なりきり装備を渡すとは……
ちょくちょくここのギルドの住民は、正体に気づいてそうな行動や言動をするからビビる。
いや、一人多いな。誰だ?
「ねーねー、ジェフリー」
「ねーねー、それだーれ?」
「ああ、この少年かい?彼は……」
「クラリス・ラットだ」
「この少年はネー、時計台の上で出くわしたのよネ」
「……ああ、なるほど」
気づかれないように、悟られないように、皆は気づいた。彼が、青空騎士団が抱えている諜報員なのだと。
それでは作戦の実行だ。
次、月




