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ゲームは狐と共にあり  作者: フィング
第4章みんな個性豊か
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81 大物一本釣り

 水晶都市アルデン、そのスラム街にそびえる時計の塔。

 そこの上から顔を覗かせる少年の影あり。


 迷彩柄を基調とした軽装備の数々。その手にはボウガンらしき武具が見られた。

 この風景を目にする眼光は赤く輝き、右耳につけられた赤のピアスと共鳴している。


「ったく、空の団長さんは何を考えてるのやら。ある特定のギルドを調査しろって、そもそもできたてホヤホヤの弱小ギルドじゃん」


 視線の先には、ギルド狛狐の施設があった。

 なんか、瓜二つの少女が楽しく玄関を掃除している。


「とりあえずメモ。ギルドには下働きの双子らしき人物がいる。現時点で確認されたプレーヤーは二人。共に役職(ジョブ)及び能力(スキル)は不明」


 音声記入を駆使し、目に入った情報を書き記す。近代のゲームならでわの機能だ。

 しかし、この長距離を見通す機能は存在しない。つまり、彼のスキルなのだろう。


 そして、空中に浮く複数の鏡も彼のスキルであろう。

 それらは死角を全て映し出す。背後に現れたピエロも例外ではない。


「おっと、気づくのが早いネ。そういったスキルかい?」


「そちらも、気配を遮断していたのにも関わらず僕を見つけた。どうして?」


「ま、お互い隠密に長けてたってことだネ」


 双方ともに手の内を明かそうとしない。当たり前だ。ここでペラペラと語るほど愚直ではない。


 だが、敵対する事がジェフリーの目的ではない。


「まあ、落ち着こうかネ。別に戦うために来たわけじゃないノヨ」


「ではなぜここに?」


「率直、実に真っ直ぐな質問。君は裏のある話し方は苦手なようだネ。でも教えちゃう!」


 クルクルと回りながら場の状況を楽しむジェフリー。傍から見ればふざけてるようにしか見えず、何なら少々挑発気味だ。


「ここは見晴らしがいいって狐のリーダーから教えてもらったのサ。ただそこに……先客がいただけダヨ」


 しかし、ジェフリーはいつだって真剣だ。その笑みの裏にいつだってジョーカーを隠し持っている。


 その不穏な気配にあてられたのか、その手に持つボウガンを向けた。

 しかし、ジェフリーはそれに一切動じる様子はない。いつでもケラケラ笑っている。


「あんたは不気味。不確定要素。敵対しない理由なんてない」


「もー、さっきも言った通り戦う気はないヨ。むしろ仲良くしていきたいネ。ワタクシいつでも笑顔の味方サ」


「笑顔?」


「そうそう。ほら笑わなくていいノ?楽しくないのかナ?」


「楽しくない。あんたに見つかった。いろいろ台無し」


 いくら笑えど少年の心は安らぎを得ることはなかった。そこにジェフリーは多大なる闇を抱えてると感じ取った。


 では、ふるいをかけてあげよう。


「君は、ウチのギルドに興味があるのかな?楽しいヨ、愉快だネ」


「………」


「その興味は空からのお告げからきてるのかナ?」


「……っ!?」


 空。それは青空騎士団のことだ。


「それで、提案なんだけど……うち見学するかネ?」


「え?」


 突飛押しの無い発言に目を丸くし固まってしまう。一体何を思えばそういう考えに至るのか理解できなかった。


「ではここで、我が名はジェフリー。カラクリピエロの道化師サ。少年の名も聞かせてもらおうか?」


 突飛押しの無いあの言葉の意味。そんなの十中八九罠である確率が高い。だが、それに乗ってみるのも一興。


 少年はその名を答えた。


「ラット。クラリス・ラットだ」


「よろしくネ。ラット君」

次回、土曜に出せたら出す。

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