71 チームの一歩
遺跡探索を終えた狐影たち一行は一度街に戻っていた。
日も落ち、暗がりに沈むはずの大地は碧き結晶によって照らされていた。
そのせいか暗い中の人通りも多く賑やかだった。
「あの結晶キレイ」
「あの結晶光ってる」
「永光石ダネ。このエルゼアで多く採れる結晶サ」
「ジェフリーって結構物知りですね」
「知識は魅力のオンパレードだからネ」
「そうですか。あ、あそこの宿で一旦休憩しませんか?」
「オーケイ」
「「ラジャー」」
とりあえず、疲れを癒やすために宿を取ることにした。そこで今回の調査結果を振り返る。
単刀直入に言うと、白霊狐に関わる情報は見受けられなかった。だが、アリアと呼ばれる女神について記されていた本を発見した。『忌まわしき戦争』についても心当たりがある。完全なる無駄足ではなかったと思いた……
「ナーニ考え込んでるのかな、狐影ちゃん」
「え?ああ、すみません。悪い癖が出てましたね」
「どうせ探索振り返りでもしてるんじゃないかナ?」
「いや、そんな。特にレアなアイテムもモンスターもいませんでしたし」
「確か本を拾って読んでたネ。古代文字だったみたいだけど、狐には読めたんじゃないかな」
「うぐ…」
また図星をつく発言だ。それに、思わせぶりにまた狐と言っていた。一体どこまで気づいているのやら。
「きっと狐は、別の遺跡にも調査に行くんだろうネ。中には危険な場所もあると思うけどダイジョウブ?」
「何度も何度も狐と……一体どこまで気づいているんですか?」
「ソレ、認めてるのと同じだよ」
「………」
返す言葉がない。
ここでやっと確信した。このピエロは食えない人形だと。
「二人して難しい話ばっかでつまらない」
「二人とも訳わからない話ばっかりだよ」
「オー、ソーリー。でも、暇な二人にいい提案があるヨ」
「「提案?」」
「この四人でギルドを結成しないかい」
「「ギルド!?」」
双子は声高々に叫び、狐は吹いた。
「このまま狐影ちゃんに付いて行って、遺跡で宝探しもありなんじゃないかな?」
「すっごく面白そう」
「とっても楽しそう」
「なんか話が勝手に進んでる」
「「いいよね狐ちゃん?」」
「うぐ…」
心揺さぶる眼差しだ。ここで断るのは正直気が引けた。
「わかったよ。でも、ギルドの設立方法なんて知らないのだが」
「施設を購入して、リーダーと副リーダーを決めた後に、12万リルを払えばいけるヨ」
「「たっか!?」」
「全然安いですね」
「「え!?」」
「ちなみに全財産なんリル?」
「192万リル」
「まるで上級者があり余してる位の金額ダネ」
まさかの額にさすがのジェフリーもドン引きし始めた。
一応大会の賞金で70万リルだったはずだ。
「お金の問題は解決したネ。ただ、重大な問題はそこじゃないんだ」
「問題?」
「そもそも、購入できるギルド施設が少ないんヨ。残ってるのはせいぜい、治安の悪いスラム街だね」
「スラム街ですか」
「ここグランドエデンにて、犯罪はご法度中のご法度だね。もしそんな事すれば、どこかの刑務所に入れられるか一生賞金首となるネ」
「マジですか」
「でも、スラム街となれば話は別。そもそも、そういったプレーヤーやNPCの集まる場所だからね。賞金求めて立ち入ったが最後、タコ殴りにされるヨ」
「うわー」
「やだー」
そんな場所があるとは知らなかった。少なくともゲーム内でそんな場所があっていいものだろうか。
まあ、この豪華メンバーなら馴染めそうだが。
「どうする?」
「まあ、見学程度に行くのもありだけどね」
「怖いのやー」
「さらわれるー」
「てことで、行ってみるとしようか」
「「いやー」」
と言いながら内心楽しんでる双子の了承を除いて、四人は不法地帯に足を踏み入れることのした。
次土曜




